ニンジンは太くまっすぐ下に伸びる根を持つ野菜なので、移植で根が傷つかないよう必ず直まきにします。石や分解途中の堆肥のかたまりに根が触れると、岐根(きこん)〔また根〕や根の表面のシミなど品質低下の原因になるので、たねまき前に取り除いておきましょう。
たねは乾燥すると極端に発芽率が低下するので、乾燥させないように毎日水やりして管理します。乾燥を防ぎ、発芽を促すために寒冷紗をべたがけしたり、もみ殻やわらをかけるなどの対策もおすすめです。ただし、生育後半はあまり水分を必要としないので、過湿になり過ぎないよう注意しましょう。
幼苗の段階では比較的暑さに耐えられますが、初期生育が遅く雑草の方が早く生長してしまうのでこまめに取り除きます。肥大したニンジンに光があたると緑化してしまうので、しっかりと土寄せをしましょう。
【左】深さ1cmのまき溝を作り、1~2cm間隔にすじまきします。薄く土をかぶせて表面をしっかり押さえ、たっぷりと水やりしましょう。
【右】乾燥防止のために寒冷紗をべたがけしたり、もみ殻やわらなどをかけましょう。
7~10日で発芽します。本葉2~3枚で2~3cm間隔に、本葉5~6枚で8~10cm間隔に間引き、株元に土寄せをします。
【追肥】2回目の間引き後に化成肥料を1m2あたり50g程度散布し株元に軽く土寄せします。冬越しする栽培では更にその1ヶ月後に同量程度の追肥を行います。
【土寄せ】根が太り肩の部分が土から出て日光に当たると緑化(青首)してしまうので、大きくなってきたら少し多めに土寄せしてやりましょう。
根の直径が5~6cmに育ってきたら、株元を持って引き抜いて収穫します。収穫が遅れると根が割れることがあるので収穫適期を逃さないことが大切です。
●土づくりワンポイントアドバイス
指導:岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)
品質の良いニンジンを作るために、堆肥の施用は欠かせません。ただし、岐根やシミを防ぐため、堆肥は大きなかたまりがあったら手でよくほぐしてから、1m2あたり1kg程度をたねまきの1ヶ月以上前に施用してください(間に合わなければ堆肥は無施用でも可)。同時に、苦土石灰100g(前作に石灰類を散布している場合は不要)も施用して、根が伸びやすいように深く耕してください。
元肥はたねまきの1週間前に、化成肥料(8-8-8)を1m2あたり100g散布し土に混ぜ込みます。
●ニンジンの栽培スケジュール
(ベランダでも畑でも栽培できます)