連作障害の原因と対策を教えてください
連作障害とは同一種または近縁種の作物を、同じ畑に毎年繰り返して作付ける(連作する)ことによって、その作物の生育が徐々に不良になり、ひいては収穫物がほとんど得られなくなるという障害です。同一の作物だけを侵す特定の病原菌、害虫、または有害物質が土の中で増えることや、同一の作物が好んで吸収する特定の養分が土の中から奪われることが、連作障害発生の主な原因といわれています。その中でも特定の病害虫の発生が、連作障害発生の一番の原因です。
連作障害はナス科、ウリ科、マメ科、サトイモ科などを中心に、ほぼ全ての作物で起こりえます。しかし、作物の種類により障害発生の難易、言い換えれば障害が現れるまでの連作の回数や、再び作付け可能となるまでに必要な休作の年数が異なります。概してナス科(ナス、トマト、ピーマンなど)、ウリ科(スイカ、キュウリなど)、マメ科(サヤエンドウ、サヤインゲンなど)、サトイモ科(サトイモ)などの作物は連作障害が発生しやすく、ヒガンバナ科(旧ユリ科:ネギ、ニンニク、ラッキョウなど)、シソ科(シソ、バジルなど)、イネ科(トモロコシ)などの作物は連作障害が発生しにくい作物です。
連作障害を防ぐための簡単な方法はありません。同種の作物の連作を避けて、異なる種類の作物を計画的に輪作することが一番の対策です。どうしても連作したい、または連作しなければならない場合には、①スイカやナスなどの果菜類では、病気に強い台木(根として利用する植物)に接ぎ木〈つぎき〉した苗を利用することで、自根苗〈じこんなえ〉(接ぎ木していない苗)に比べて連作障害が発生しにくくなります。②水をヒタヒタに張ることができる畑なら、夏の間に水を張って上から透明なビニールで密閉するように覆い、高温多湿の条件を1ヵ月程度継続させると、土の中の病原菌、害虫、有害物質の数や濃度を減少させる効果があり、連作障害の発生を低下させることができます。③梅雨明け頃に栽培が終わる作物でマルチが被覆してある場合は、そのマルチをはがさず夏の間に密閉状態にするだけでも、太陽熱で地温が上昇し土の中の病原菌や害虫をある程度は退治することができます。④サトイモなどの畝間を広くとる作物では、前作で畝間(通路)だった場所を今作の畝にし、逆に前作で畝だった場所を今作の畝間にするだけでも、連作障害をある程度は軽減させることができます。⑤完熟堆肥の施用は土壌の物理性・化学性・生物性を総合的に改善し、健全な作物生育を促すことで、連作障害を間接的に軽減させる効果があります。⑥天地返し(2021年2月号参照)も場合によっては有効です。深層の病原菌のいない土を表層に露出させ新たな作土として利用し、連作を繰り返した古い土を下層に閉じ込めるので、連作障害の回避ができます。一方で、これまで堆肥や肥料などを混ぜ続けて、肥沃な状態に改良してきた作土を下層に埋めて、代わりにこれまで人の手が加えられていない養分の少ない下層土を、新たな作土として利用することになるので、堆肥やリン酸や苦土石灰などの、土づくりのための肥料をしばらくの間は多めに施用する必要があります。また当然ですが、下層の土が砂利や粘土などの物理性の悪い土の場合には、天地返しを行うことはできません。このように天地返しにも一長一短があります。連作障害を避けるための基本はやはり「輪作」です。