どのように保存したらよいか?
秋から冬にかけてとれる野菜は多く、上手に保存して長く味わいたいものです。しかし、まとめて冷蔵庫に入れておけばよいということではありません。野菜の種類によって長く持たせるコツは違います。野菜の性質や使用目的に合わせ、保存方法を使い分けるのが得策です(表)。
・保存適温が0℃程度の野菜 ~葉物野菜は低温で~
野菜は収穫後もしばらくの間、栽培中とほぼ変わらない生命活動を続けています。ホウレンソウなどの葉物野菜やニンジン、ダイコンなどは低温と湿度を保って保存します。低温・多湿にすることで、糖を消費する呼吸やしおれを発生させる葉からの蒸散、葉を黄化させるエチレンの発生を抑制し、新鮮さとおいしさを保つことができます。したがって、保存適温が0℃程度の野菜は、収穫後、ポリ袋などに入れて野菜室で保存するのがよいでしょう。
・保存適温が8~15℃程度の野菜 ~寒さに弱い野菜もある~
サトイモやショウガ、サツマイモなど熱帯地域原産の野菜は、温度が低い所に置かれると腐敗してしまいます。このような野菜は、低温にならない室内や、土に穴を掘って保存します。
保存するとおいしくなる野菜もあります。サツマイモやカボチャなど、デンプン含量の多い野菜は、収穫してしばらおくとデンプンが糖に変わり、しっとり甘くなります。
野菜の種類 | 保存適温(℃) | 保存適湿度(%) | 新芽が伸びる温度(土) | 凍害・腐敗発生温度と保存方法 |
根深ネギ | 0 | 95~100 | 5 | 地上部は−5℃以下で凍害を受けるが、地中部分は凍害を受けない。温暖地では畑で越冬できる |
ハクサイ | 0 | 95~100 | 5 | 頭部をひもなどで結束すると−8℃くらいまで耐える |
キャベツ | 0 | 98~100 | 5 | −3(春系品種)~−5℃以下(寒玉系品種)で凍害が発生する。温暖地では畑で越冬できる |
ニンジン | 0 | 98~100 | 6~7 | −5℃以下で凍害が発生する。温暖地では強い霜が降りる前に土を10cmほどかけておくと畑で越冬できる |
ダイコン | 0~1 | 95~100 | 7~8 | −3~−5℃以下で凍害が発生する |
カブ | 0 | 98~100 | 6 | −3~−5℃以下で凍害が発生する |
ゴボウ | 0 | 90~95 | 6~7 | 地中の根は地上が−20℃でも凍害を受けない。温暖地では畑で越冬できる |
サトイモ | 8~10 | 85~90 | 15 | 6℃以下で腐敗がはじまる。深さ50cmほどの穴を掘り、イモを掘り上げたままの状態で埋める。温暖地では強い霜が降りる前に土を10cmほどかけておくと畑で越冬できる |
ショウガ | 13~15 | 90~95 | 18 | 保存の下限温度は、大ショウガ13℃、小ショウガ12℃。新聞紙で包んで発泡スチロール箱に入れて室内で保存する |
サツマイモ | 13~15 | 85~90 | 18 | 10℃で糖化は促進されるが、1ヵ月以上おくと腐敗がはじまる。収穫したら2~3時間ほど日に当てて乾かし、新聞紙で包んで発泡スチロール箱に入れて室内で保存する |
カボチャ | 10~13 | 50~70 | ー | 7℃以下で内部褐変、腐敗が発生する |