
「リーキ」は地中海沿岸が原産の西洋ネギで、イタリア語でポッロと言うことから「ポロネギ」とも呼ばれています。
イタリア・フランス料理のグリルや煮込みなどには欠かせない食材で、近年ホテルやレストラン等を中心に国産リーキの需要が高まっています。
15年かけて地域の特産に育て上げ、「満点リーキ」と名付けてブランド化を進めるJA晴れの国岡山の矢掛アグリセンターを訪ねました。
受験シーズンの1月中旬~3月に出荷


リーキは、葉がV字状でにらのように平たく、軟白部は20cmくらいと日本の白ネギより短いですが、太さは直径4cm前後と白ネギの2倍以上あります。切り口の断面が年輪のように輪が重なって見えるのが特徴。JA晴れの国岡山 矢掛やさい部会リーキ部では、出荷時期が受験シーズンと重なることから、たくさんの○(まる)、満点を目指して合格してほしいとの気持ちを込め「満点リーキ」と命名しています。
「矢掛町では、2005年には数名の生産者がリーキ栽培に取り組んでいました。冬でも温暖な気候はリーキの栽培に適していたため、町の新たな特産にしようと11年からは生産者やJA、行政など関係機関が一丸となってさまざまな品種を試作し、病害虫に強く味の良い“ロングトン”という品種で20年に栽培技術を確立しました。今では矢掛町ブランド品のひとつとして県内の学校給食にも使われています」と話すのは、JA晴れの国岡山 矢掛アグリセンター営農課の堀水祐介さん。
岡山県南西部にある矢掛町は、江戸時代に旧山陽道の宿場町として栄えた由緒ある町で、近年、空き家を宿泊施設として再生させ、地域交流を促す観光まちづくりに力を入れています。豊かな自然を生かした農業も盛んで、リーキ、アスパラガス、たまねぎなどが特産です。
リーキは、4月下旬にたねまきし、6月末に定植、翌年1~3月に収穫を迎えます。
「定植後、7~10月にかけて葉と葉の間に土が入らないよう手作業で慎重に土を寄せます。さらに、追肥をすることで軟白部分の太さを出します」と、栽培10年目になる矢掛やさい部会リーキ部の髙見直樹さんは栽培のポイントを話します。リーキ10アールのほか、ナス、カーヴォロ・ネーロ(黒キャベツ)、フェンネルなど10種類の野菜を育てています。リーキは水はけが悪いと病気にかかり葉が溶けてしまうので、徹底した排水対策も欠かせません。夏でも水分が多いと根が傷んで育ちが悪くなるので、こまめに畑を見回り、生育に合わせた水分量で水やりをします。

適期のものを1本1本手掘り
「収穫は週に1回。1月中旬~3月末まで10週かけて、畑から太く長く巻きがしっかりしたものを選び、スコップで1本1本掘り取ります」と、髙見さん。外葉3~4枚をむいてタオルでふき、全長40cm前後になるよう葉をカットしてコンテナに入れます。9~16時まで、500本ほどを掘り取り、翌日に洗って箱に詰め、JAの集出荷場に出荷します。
「和服の合わせのように伸びた葉の内側は土が入り込みやすいので、1本ずつ奥まで目視で確認しながら洗い落とすのが大変です」と話す髙見さんですが、品質の高さは折り紙付きです。



【右】集出荷場ではスタッフが1箱ずつ検品して品質をしっかり管理します

「東京2020オリンピックの際にイタリアチームに野菜を送ったことをきっかけに、イタリアントマトやフェンネルなどのイタリア野菜も作付けを始めました。今はリーキも入れて12種類の西洋野菜を『矢掛町イタリア野菜プロジェクト』として推進しています」と、堀水さん。国産リーキの栽培は広がっているものの、まだ輸入リーキが主流です。輸入ものを超える良品を目指して目ぞろえ会※や、栽培講習会などを定期的に開いています。
リーキは西洋ネギですが味はまろやかで癖がなく、日本の白ネギに特有の香りや辛味もありません。加熱すると、トロリとやわらかく強い甘味が出ます。髙見さんのおすすめの食べ方は輪切りにホワイトソースをかけたグラタン。煮崩れしにくいのでポトフやスープなどもおすすめ。一見硬そうな葉はカロテンを多く含み、しっかり煮込むとやわらかくなります。この甘味のある独特な食感に驚き、ファンになる方も多いそう。一番味がのるのは2~3月。あったかメニューの食材に、冬野菜のひとつとして、リーキの甘さとトロトロの食感をぜひお楽しみください。
(2025年2月上旬取材)
※ 作物を出荷する前に、出荷要領や基準などを決める会合。味や品質などが一定に保たれる安全・安心への取り組みのひとつ

●JA晴れの国岡山
【リーキ】矢掛地区生産概要
栽培面積:約60アール
生産者数:10人
出荷量:約2379kg
(2024年産全農取扱実績)
主な出荷先:東京、名古屋、大阪、県内