「土おこし(荒起こし)」とはどのような作業ですか?
土おこし(荒起こし)とは、作物の作付けをしばらく行わない時に、畑や田んぼの土をスコップなどで、大きな塊のままひっくり返すように掘り起こして、そのまま放置する作業のことです。放置されている間に土の塊は風雨などにさらされて、大きな土の塊が徐々に崩れて、無数の小さな土の塊ができます。このように大きな塊が崩れてできた小さな塊の土は、土の粒と粒との間に適度な隙間があるのが特徴で、その隙間に空気と水が蓄えられるので、保水性と排水性とを併せ持つ、作物の生育に適した理想の土となります。これを「団粒構造の土」と呼びます。
荒起こしの前に堆肥を撒いて、土にザックリと混ぜておくのも効果的です。また荒起こしの時に雑草を埋め込んでしまえば、除草対策にもなります。
荒起こしを冬の初めに行い春先まで放置すると、冬の間に土の塊の表面で、霜柱が固まったり溶けたりを繰り返すことで土の塊をよく崩し、小さな塊がより多くできます。これを「霜崩れの土」などと呼ぶ地域もあり、良質な土として重宝されています。
土の大きな塊は、放置されている間に全てが崩れる訳ではないので、その後に施肥やたねまきや植えつけなどの農作業を行う際には、作業が行いやすいように残ったままの大きな塊は細かく砕くようにほぐしてから、自然にできた小さな塊とよく馴染ませるように畑全体を耕してください。これも荒起こしの後に必要な作業です。ただしこの時、あまり細かく入念に耕し過ぎると、せっかくできた小さな塊(団粒構造)まで壊してしまい、通気性や排水性を損ねてしまうこともあるので、荒起こしの後に畑を耕す時には、あまり入念に細かく耕し過ぎないように注意してください。
荒起こしの後に限らず、あまり細かく入念に耕し過ぎないようにするのは、土の保水性や排水性を確保するための、畑の耕し方のコツとも言えます。