コラム 記事一覧

ふるさと探訪

日本各地の農畜産物を産地からリポート

初夏を彩るオレンジ色の果実房州ぼうしゅうびわ

撮影◎鎌田啓之介

びわは中国原産ですが、日本にも野生種が自生していたと奈良時代の書物に記録が残っています。現在栽培されているものは、江戸時代に中国から長崎に伝来した大玉の品種です。
千葉県南房総市は、約270年前からびわを栽培している歴史ある産地。大粒な「房州びわ」は、1909(明治42)年から毎年皇室に献上されていることでも有名な特産品です。
そのおいしさを探るため、収穫期を迎えた現地を訪ねました。

ハウスから露地2ヵ月間出荷が続く

 千葉県南部、房総半島の先端にある南房総市。沖合を流れる黒潮の影響で夏は涼しく、冬は暖かい海洋性気候で、古くからびわの栽培が行われてきました。
「びわは寒さに弱く、マイナス3℃以下になると花や実が凍死してしまいます。初冬に花をつけ、寒さの中で幼果が育つため、房総の温暖な気候と、冷気が停滞しにくい海沿いの傾斜地は、びわの栽培適地です。また、傷つきやすいびわを船で江戸へ運べたことも、栽培が広がった理由のひとつと言われています」と、JA安房(あわ)富浦支店の羽山幸夫さんは話します。現在栽培されているびわは、1879(明治12)年に植物学者の田中芳男氏が長崎から持ち帰った品種「田中」から選抜したものが中心になっているそうです。
 代々続くびわ農家のJA安房温室びわ組合の福原茂樹さん。栽培歴40年になるベテラン生産者でハウスと露地を合わせて約33アールのびわ園を手掛けています。

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「ジューシーで食べ応えのある果肉と清涼感ある甘みを、ぜひ常温で楽しんでみてください」と、JA安房温室びわ組合の福原茂樹さん(取材時は組合長)

「1花房に50~60個の花蕾(からい)がつくので、栄養を集中させて実を大きくさせるために重要なのが摘蕾(てきらい)・摘果作業です。まず蕾の段階で花房数を半分に減らし、1つの花房の中間3〜4段を残して、各先端部を摘蕾します。そして、袋かけする時に1房1~2個に摘果します。まだ小さい実にひとつずつ手作業で袋をかけるので大変です」。
 摘蕾は、ハウスも露地も10月下旬~12月ですが、袋かけはハウスが1~2月、露地が4月。害虫や強い日差しによるシミ・そばかすからデリケートな実を守り、美しいびわを作るための作業です。
「びわ栽培は『寒さとの戦い』と言われますが、ハウスは露地より温度を管理しやすいです。ただ、剪定作業は露地よりも大変になります。ハウスの大きさが決まっているので、屋根近くの実が高温障害にならないよう、こまめに枝葉を落として風通しを良くします。高温になると果肉が固くなったり、あざができてしまったりするからです」と、福原さん。

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2019年の台風15号により露地のびわは大きな被害に遭い、ハウス栽培に切り替える生産者も

 出荷は、ハウス栽培の「富房(とみふさ)」が4月中旬頃より始まり、その後、大玉の「瑞穂(みずほ)」に移ります。5月中旬からは露地栽培の「大房(おおふさ)」や「田中」の出荷が始まり、6月半ばまで続きます。いずれも「房州びわ」ブランドで統一して出荷され、「富房」は締まった果肉とストレートな甘み、「瑞穂」はみずみずしく大玉、「大房」は酸味が低く強い甘み、「田中」は甘味と酸味のバランスが良く濃厚など、品種ごとに異なる味わいが楽しめます。

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時間との闘い。丁寧かつ迅速な出荷・調整作業

 ハウス内は袋かけされたびわでいっぱい。まるで袋の花が咲いているようです。はちきれんばかりに膨らんだ袋も見えます。

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袋を破り、黄橙色に色づいているかを確認して収穫です

「収穫は袋に切れ込みを入れて中を覗(のぞ)き、お尻から軸までしっかり色づいていたら、袋ごと取ります。最盛期は1日3200個ほど収穫するので、時間に追われて大忙しです」と、福原さん。収穫した実は、自宅の作業場で袋を外して1個ずつ重さを計り、専用の化粧箱へ詰めていきます。「箱の中で揃って見えるよう、1個ずつ膨らみ方や向きを揃えて箱詰めするので、とにかく時間がかかります」。鮮度の証である産毛が取れないように、できるだけ触らず慎重に作業します。目視での外観や玉ぞろいのチェックは、実から袋を外した時、計量時、箱詰め後と3回。JAの集出荷場でも検品します。「房州びわブランドを維持するために、検品を強化しています」と、JA安房の羽山さん。技術講習会や目ぞろえ会なども行っており、生産者と一緒にさらなる品質アップに取り組んでいます。

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実の膨らみ方が同じものを選び、お尻を上にして詰めていきます
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JAの担当者が品質と規格を最終チェック

 やわらかい果肉はジューシーで食べ応えがあり、爽やかな甘みは飽きの来ないおいしさ。冷やし過ぎると香りや甘味を感じにくくなるので、常温で食べるのがおすすめです。冷やすなら、食べる1~2時間前に冷蔵庫へ入れてください。ヘタ(軸)を持って、手でお尻から皮をむくときれいにむけます。贈り物としても人気の高いびわ、初夏限定の味わいをぜひお楽しみください。

※作物を出荷する前に、出荷要領や基準などを決める会合。味や品質などが一定に保たれる安全・安心への取り組みのひとつ

(取材:2024年4月下旬)

羽山幸夫さん
「びわは初夏ならではの旬の味です。ぜひ、そのみずみずしさをたくさんの方に味わってもらいたいです」と、JA安房の羽山幸夫さん

●JA安房

【びわ】生産概要
生産者:296人
栽培面積:約131ヘクタール(2022年産千葉県内)
出荷量:約29t(2024年度実績)
主な出荷先:千葉県内、東京都

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ひき肉のボリュームおかずフライパンミートローフ

兵庫県・うっちゃん

1人分:約375kcal 調理時間:約50分

材料4人分

  • 合びき肉 400g
  • ベーコン 4枚
  • アスパラガス 3本
  • にんじん 30g
  • たまねぎ 1/4個
  • 1個
  • パン粉 大さじ4
  • 牛乳 大さじ2
  • デミグラスソース 大さじ4
  • 小さじ1/2
  • こしょう 少々
  • ベビーリーフ 適量

作り方

  1. パン粉を牛乳でふやかしておく。たまねぎをみじん切り、にんじんを細切りにし、アスパラガスの根元は切り落とし、下の固い部分はピーラーで皮をむき、20cmにカットする。

  2. ボウルにひき肉、塩、こしょうを入れて粘りが出るまで練り、1のパン粉とたまねぎ、卵、デミグラスソースを加えてさらに練って肉だねを作る。

  3. 長さ35cmのアルミホイル2枚を十字に重ねておき、ベーコンを少し重ねながら縦に並べる。

  4. 3の上に2の半量をローフ型(縦8cm×横20cmくらいの長方形)に広げ、中央ににんじんを並べ、アスパラガスをのせる。残りの2を上に重ねて形を整え、ベーコンの端を巻きつけて全体をアルミホイルで包む。

  5. 24~26cmのフライパンに水1カップ(分量外)と4を入れ、ぴったり蓋をして中火にかける。沸騰したら弱火にして10分、上下を返してさらに10分加熱したら、火を止めてそのまま余熱で10分おく。

  6. 取り出して、アルミホイルを外して切り分け、器に盛ってベビーリーフを添える。

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ひき肉のボリュームおかずカレーメンチカツ

愛媛県・ミッフィーさん

1人分:約455kcal 調理時間:約45分

材料4人分

  • 合びき肉 400g
  • キャベツ 400g
  • たまねぎ 1/2個(100g)
  • 1個
  • A
    • カレー粉 大さじ2
    • ウスターソース 小さじ2
    • 小さじ1/4
    • ガラムマサラ(あれば) 小さじ1
    • ナツメグ(あれば) 小さじ1/2
    • パン粉、片栗粉 各大さじ1
  • 小麦粉、溶き卵、パン粉 各適量
  • 揚げ油 適量
  • フリルレタス、パセリ 適宜

作り方

  1. キャベツは粗みじん切り、たまねぎはみじん切りにして合わせてボウルに入れ、塩小さじ1(分量外)を加えてもみ、10分おいて水気を絞る。

  2. ボウルにひき肉、卵、Aを入れて粘りが出るまで練り、1を混ぜ合わせてよく練る。8等分にして丸めてから手のひらで平らに押さえて形を整える。

  3. 2に小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。

  4. 揚げ油を170℃に熱して3を入れ、途中で上下を返し、泡が小さくなってきつね色になるまで揚げる。

  5. 器に盛り、フリルレタスとパセリを添える。

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ひき肉のボリュームおかず切り干し大根と ひき肉のトマト煮

岐阜県・ごとうさん

1人分:約155kcal 調理時間:約25分 (切り干し大根を戻す時間は除く)

材料4人分

  • 鶏ひき肉 200g
  • 切り干し大根(乾) 20g
  • にんじん 50g
  • えのきたけ 1/2パック(50g)
  • オリーブ油 大さじ1
  • トマト水煮(カット缶) 1/2缶(200g)
  • A
    • 大さじ2
    • 1カップ
    • しょう油 小さじ2
    • 顆粒コンソメ 小さじ1/2
  • B
    • 砂糖 小さじ1/3
    • 小さじ1/4
    • こしょう 少々

作り方

  1. 切り干し大根は水で洗い、たっぷりの水で戻し、ザルにあげてよく絞る。

  2. にんじんは4cm長さの細切りにし、えのきたけは根元を落として長さを2等分にしてほぐす。

  3. 鍋に油を引いてひき肉を入れ中火にかける。木ベラでひき肉を鍋底に広げて焼き付け、大きめにほぐしながら炒めて火を通す。12を順に加えながら炒める。

  4. 全体に油が回ったらトマト水煮を加えて軽く炒め、Aを順に加え、中弱火で15分ほど煮て汁気が1/4程度になったらBで味を調える。

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野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ナス

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

比較的育てやすい人気の夏野菜。収穫期間が長いので、水やりと適切な追肥が大事です

 ナスの原産地はインド。高温を好み、蒸し暑い日本の夏でもよく育ちます。植えつけの頃はまだ十分な温度が足りないので、畑にマルチを敷き、あんどん囲いやホットキャップをすると安心です。草丈が20〜30cmになったら、これらを外して本支柱を立てましょう。
 ナスは生育期間が長く次々と実がなるので、様子を見ながらこまめに追肥を行います。株を疲れさせないためにも実は早めに収穫し、乾燥が苦手なので土が乾いたら水やりをしましょう。株の勢いが衰え、実つきが悪くなってきたら、枝を切る「更新剪定」をして株を若返らせ、秋ナスを楽しみましょう。
 連作障害が出るので、同じナス科の野菜は4〜5年空けてから育てましょう。また、共通の害虫を防ぐため、ジャガイモの近くに植えないこともポイントです。

植えつけ

本葉が7~9枚で葉と茎の節間が詰まり、茎が太くて1番花が咲き始めている苗を選びましょう。耐病性のある接ぎ木苗なら、連作障害にも強く安心です。苗は十分に水やりを行い、根鉢を崩さないように取り出し、根鉢の上面が地面と同じ高さになるように注意して、植え穴に植えつけます。

4本の支柱を立てて肥料袋などをかぶせる「あんどん」囲いや「ホットキャップ」をかぶせておくと、保温効果が高まります。草丈が20~30cmになったら外しましょう。

芽かき

1番花の実(1番果)が大きくなり始めたら、1番果より下の勢いの良いわき芽2本を残し、それより下のわき芽はすべて取り除きます。

支柱立て

主枝に長さ1mほどの支柱を立て、2本の側枝も伸びてきたら枝に沿って支柱を立てて3本仕立てにします。

追肥・水やり

1番果の収穫が始まった頃から、化成肥料(8-8-8なら40g、14-14-14なら20g程度)を施用します。2週間に1回程度が目安で、枝の伸び方や果実の肥大の仕方を観察しながら加減してください。土が乾いていたら追肥の後に水やりすると、肥料の効きが速くなります。

収穫

株に負担をかけないように1~2番果はやや早く小さいうちに収穫します。3番果以降も取り遅れないよう、適期に収穫しましょう。

更新剪定

7月下旬頃になると株の勢いが衰え、実つきも悪くなってきます。おいしい秋ナスを収穫するために、太い枝を3~4本残し、伸びてきたわき芽や込み入った枝を切り詰める更新剪定をします(株全体を1/2から1/3くらいまで思いきって剪定)。こうすると、新しい枝葉が伸びて約1ヵ月後に再び収穫できます。剪定後は追肥を必ず行いましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間以上前までに、1m2あたり完熟堆肥2kgと苦土石灰100g(前作で石灰類を散布している場合は省略)を散布し、深く耕しておきます。ナスの根は深く張るので、できるだけ深いところまですき込んでください。
ナスの施肥量は他の野菜に比べるとやや多目です。ただし生育の初期に肥料があまり効きすぎると「蔓(つる)ぼけ」といって、茎葉ばかりが繁茂して果実の着果や着色が悪くなる場合があります。これを避けるため、元肥には化成肥料と有機肥料を併用するか、またはCDU化成などの緩効性肥料の利用をお勧めします。化成肥料と有機肥料を併用する場合には、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら100g、14-14-14なら50g)と油かす(5-2-1など)100gを併用し、緩効性肥料を利用する場合にはCDU555(15-15-15)100gを、植えつけの1週間前までに散布して、土に混ぜ込んでください。


●ナスの栽培スケジュール

(プランターでも畑でも栽培できます)

スケジュール
※地域や品種によって多少の違いがあります。
※遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。

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家庭菜園Q&A

家庭菜園のよくある質問に先生が回答

指導◎川城英夫(元JA全農 耕種総合対策部技術主管) イラスト◎かとうともこQ.初心者でも育てやすい夏野菜、トマトとキュウリの仕立て方は?

 5月になると果菜類の苗の植えつけ本番です。植えつけ時に仕上がりの形(仕立て)をイメージしておきましょう。果菜類は、枝やつるを伸び放題にしておくと、生育に支障が出るばかりでなく、管理作業もしにくくなります。良質な果実をたくさん収穫するためには、主枝や側枝を摘むなどして枝を整える、整枝が欠かせません。整枝とは枝の摘芯や芽かき、せん定、誘引などにより草姿を整える作業をいいます。
 そこで、今回は定番の夏野菜であるトマトとキュウリの仕立て方を紹介します。

〇トマトの仕立て方

 トマトは1本仕立てが基本です。
 主枝の各節から出るわき芽をすべて摘み取って主枝のみを伸ばし、支柱にひもなどで縛って誘引します。栽培管理や草勢を維持しやすい初心者向きの方法です。

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〇キュウリの仕立て方

 キュウリは、早くから雌花をつけると草勢が低下しやすいため、株元から5~6節のわき芽と雌花を摘み取ります。主枝から出る側枝(子づる)は1~2節で先を摘み取る摘心を行います。この作業をすることで養分を果実や残った茎葉に届け、果実の肥大や草勢を維持することができます。しっかり仕立てることで、良質な果実を長く収穫できるようになります。

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[投稿]わが家の菜園

読者の家庭菜園の写真とエピソードをご紹介

わが家の菜園5月

あなたが育てている作物をスマホなどで撮影して送ってください!畑やプランターでの栽培の様子、どんなエピソードでも大歓迎。皆さまのわが家ならではの菜園体験談をお待ちしています。

『芽生えの味』神奈川県 みーさん

遊びに来た姪っ子が我が家のかいわれに興味津々でした。赤ちゃんが食べるにはちょっと辛いかな?と思いましたが、いつもネギ入りのうどんを食べてるそうで同じように軽くつゆで温めたらパクパク食べてました笑

『嬉しい無限レタス』千葉県 ちゃこさん

市民農園の抽選に外れてしまったので、ベランダに、3段と4段のミニグリーンハウスを購入して、小松菜やレタス、苺を育てています。昨年10月に種を蒔いた小松菜は、お正月のお雑煮にバッチリなタイミングで収穫できました!家族皆に、新鮮で美味しいお雑煮を作ってあげられて嬉しかったです。
今は、毎朝、ミックスレタスの収穫を楽しんでいます♪リーフレタスやロメインレタスなど、色とりどりのレタスが次々と収穫できて、ここ数ヶ月、毎朝、とびきり新鮮なサラダを食べることができて幸せを感じています!苗がたくさんできたので、ご近所さんにも分けてあげたら、とても喜ばれています。生ゴミのコンポストを使っているので、野菜達は、とても元気に育ってくれています。野菜を中心に幸せの輪が広がっています!

『雪菜』群馬県 かぜのこさん

長野県に出かけたときに買った、長野県北部で育てられる雪菜。寒さに強いということで、冬も元気よく育ち、春になり大きな葉になりました。味が濃く、かき菜に似ていて、炒めてもおひたしもおいしいです。

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料理のポイント

おいしく作る料理のポイントを写真付きで解説

シロップを使って、おいしさを余さず楽しみます。びわのコンポートゼリー

料理◎太田晶子 撮影◎武井優美

1個分:約65kcal 調理時間:約30分(コンポートを冷ます時間、ゼリーを冷やし固める時間は除く)

材料

  • びわのコンポート ※作りやすい量
    • びわ 8個
    • 2カップ
    • グラニュー糖 60g
    • レモン汁 大さじ1
  • びわのコンポートゼリー(150mlの容器4個分)
    • びわのコンポート 4個分
    • コンポートのシロップ 320ml
    • レモン汁 小さじ1
    • 粉ゼラチン 5g
    • 大さじ2
    • コアントロー(あれば) 小さじ1
    • ミント 適宜

作り方

  1. びわの下ごしらえをする

    びわは種の周囲まで切り込みを入れて縦半分に割り、種と薄皮を取り除いて、ヘタとヘソ(ヘタの反対側)を切り取って皮をむく。変色を防ぐために、むいたものから水につける。

    Point
    ポイント

    ●びわは、薄皮と実の間にスプーンを入れると、種ごと薄皮を簡単にむくことができます。

    ポイント

    ●実の下から上(ヘタ)に向かって、包丁で皮をむきます。

  2. コンポートを作る

    鍋に水とグラニュー糖、レモン汁を入れて中火にかけ、沸騰したら水気をきったびわを入れ、再沸騰したらアクをとって弱火にする。落とし蓋をし、5分ほど煮て火を止め、常温に冷ます(ゼリーにしない分は冷蔵庫で保存する)。

    Point
    ポイント

    ●中心に穴を開けて鍋の大きさに切ったクッキングペーパーなどを、落とし蓋にして煮ます。

  3. ゼリーを作る

    粉ゼラチンを水でふやかしておく。
    コンポートのシロップを小鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら火を止めてふやかしたゼラチンを入れてよく溶かす。レモン汁とコアントローを香り付けに加え、鍋ごと水につけて粗熱を取る。
    4つの容器に均等に流し入れ、びわのコンポートを2切れ(1個分)ずつ真ん中に入れて、冷蔵庫で2時間ほど冷やし固める。お好みでミントを添える。

MEMO

コンポートとは、果物を食感や風味を残してほんのり甘く煮たもの。ジャムのように糖度が高くないので、保存は冷蔵庫で4~5日です。

「食」と「農」のエッセイ

日本ペンクラブ会員の著名人によるリレーエッセイ

第77回 田原総一朗さん
今こそ循環型農業を

著者のプロフィールはこちら

 現在、農業が大問題だ、大変な危機を抱えている、と多くの人たちが声高に訴えている。だが私は正直言って何が大問題でなぜ危機なのか、容易に理解できなかった。というのは私が幼い頃は、食糧難が深刻な問題だったのである。
 小学校1年生のときに第二次大戦が始まって、米は配給制になった。そして、2年、3年と戦争が激しくなると、配給量がどんどん少なくなって、3年生の秋くらいになると、食事はお粥になり、学校への弁当が持って行けなくなった。しかもお粥も満足に食べられなくなり、米の代わりに芋を食べなくてはならないことが増えてきた。
 その芋も自由に買えなくなって、私の家でも近所に畑を作って芋を栽培することになった。
 このように、食糧難といえば、食料が少なくなることが、危機だと捉えるようになっていたのである。
 現在の日本の食料自給率は38%である。
 だが、農業の専門家たちに問うと、現在の農業の問題は農家の生活がどんどん苦しくなっていることだと言う。そしてその主な原因は円安のせいもあって生産コストの上昇や、高齢化による生産者の減少のためだと言うのである。
 さらに、少子化が続き、日本の人口がじわじわと減少して、米の消費量が減少すると見込まれていることだ。食糧難ではなくとも、米の消費量が減少することで農家の生活も苦しくなる。そして輸出拡大もはかばかしい成果を出していない。
 食糧難が切実ならば、田園を拡張させて農業の技術を向上させればよいのだが。米の消費量の減少はどう対処すればよいのか、非常に難しい問題だが何人かの専門家たちにどうすればよいのか、と問うと家畜などに飼料米を食べさせるべきだ、と強調した。農林水産省も日本の飼料米を食べて育った畜産物をブランド化して循環型農業を進めようとしている。
 何とかして、日本の食料安全保障のため、農家には頑張ってもらいたい。

イラスト:はやしみこ

田原総一朗(たはら そういちろう)

ジャーナリスト。1934年滋賀県彦根市生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)ディレクターを経て、1977年にフリーに。1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。主な著書に『原子力戦争』(筑摩書房)、『日本の戦争』(小学館)、『全身ジャーナリスト』(集英社)など。

田原総一朗(たはら そういちろう)
『老人の知恵』毎日新聞出版
『老人の知恵』
毎日新聞出版
日本ペンクラブ

日本ペンクラブとは、詩人や脚本家、エッセイスト、編集者、小説家など、表現活動に専門的、職業的に携わる人々が参加、運営する団体です。
https://japanpen.or.jp/

なるほど全農

食と農についての「なるほど」な情報をお届け

日本茶を楽しもう【緑茶】
味わいや香りもさまざま 
お湯を沸かして緑茶を淹れましょう

5月は新茶の季節です。新茶ならではのすがすがしい香りを楽しむことを心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。
普段何気なく飲んでいるお茶の世界には驚きがいっぱい。
お茶の魅力を知り、急須で茶葉本来の味や香りを楽しみませんか。
さあ、素敵なお茶時間を過ごしましょう!

 日本茶も紅茶もウーロン茶も、原料は同じツバキ科の常緑樹「チャ」の葉から作られます。色や味の違いは、茶葉の発酵度合いによるもの。完全に発酵させる紅茶、発酵を半分で止めるウーロン茶に対して、緑茶は発酵させずに作ります。摘んですぐに加熱(蒸す・炒る)し、酵素の働きを止めることで、生葉の香気が残る緑色のお茶ができます。
 古くから日本人の生活の中にあり飲まれてきた緑茶は、栽培や製造方法などによって、味や香り、淹れ方も異なってきます。緑茶生産量の半分以上を占め、日本茶の代表ともいえるのが「煎茶」。高温で蒸し、手や機械で揉みながら細く撚(よ)り、乾燥させて作ります。程よい渋み、苦みと甘みのバランスが良いお茶です。通常の煎茶より長時間蒸すことで、色や味を濃厚に仕上げたものが「深蒸し煎茶」です。収穫前に遮光用の覆いをかぶせて栽培するのが「玉露」や「かぶせ茶」。20日以上遮光した新芽のみを使う玉露は高級茶として知られます。緑茶のうま味成分であるテアニン(アミノ酸)は太陽光によって渋み成分のカテキンに変化するため、遮光することで渋みを減らし、うま味の多いお茶になります。新芽を摘み取った後に伸びた古葉などを用いた「番茶」はさっぱりとした味で安価なので普段使いに。この番茶や煎茶を焙(ほう)じて、香ばしく仕上げたのが「ほうじ茶」です。玉露のように遮光栽培した「碾茶(てんちゃ)」を、揉まずに乾燥させ石臼などで挽いて微粉末状にした「抹茶」は、スイーツにも使われ、海外でも人気です。
 緑茶の味は、テアニンなどのアミノ酸のうま味とカテキンの渋み、カフェインの苦みが調和して生まれます。カテキンとカフェインは熱い湯でないと溶けにくいけれど、テアニンはぬるい湯や水でも溶け出すので、玉露は50~60℃でうま味を引き出せます。70℃前後で煎茶を淹れると渋みも加わりバランス良く味わえます。ほうじ茶や番茶は熱湯で淹れ、香りとさっぱりとした飲み口を楽しみます。
 同じ煎茶でも、1煎目はぬるめで「甘み」、2煎目はそれより高温で「渋み」、3煎目は熱めで「苦み」と徐々に温度を高くすると味の変化を楽しめます。2~3煎目は茶葉の撚りがほどけた分、抽出時間は短めに。通称「ベストドロップ」と呼ばれる、うま味が凝縮された最後の一滴までしっかり注ぐと、2煎目以降もおいしく飲めます。
 緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用、テアニンにはリラックス作用があるなど、健康機能との関連が知られています。日常のさまざまな場面で、お茶は私たちの心と体を癒し、幸せなひと時をもたらしてくれます。もっと身近に素敵なお茶時間を楽しみませんか。

煎茶のおいしい淹れ方

  1. 1 お湯を冷ます

    水は必ず沸騰させ、人数分の茶碗に八分目ほど注いで冷ます。

    1
  2. 2 茶葉をはかる

    目安として1杯約2~3グラムの茶葉を急須に入れる。

    2
  3. 3 茶碗のお湯を入れて待つ

    上級煎茶70℃・約2分、中級煎茶90℃・約1分半。

    3
  4. 4 茶碗にお茶を注ぐ

    廻し注ぎをして量や味を均等にし、最後の一滴まで出し切る。

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参考:農林水産省「お茶のページ」(茶をめぐる情勢 令和7年1月時点)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/ocha.html

プロのおすすめレシピ

料理のプロがすすめる旬の食材を使ったレシピ

鶏肉のうま味が詰まった一皿 ソースで味の変化も楽しみましょう海南鶏飯(シンガポールチキンライス)

料理◎太田晶子 撮影◎武井優美

1人分:705kcal 調理時間:約25分(米を浸水し炊く時間は除く)

材料4人分

  • 鶏もも肉 2枚
  • 3合
  • 570ml
  • しょうが 1片
  • ねぎの青い部分 1本分
  • A
    • 大さじ1
    • 砂糖 小さじ1
    • 小さじ1/2
  • B
    • 大さじ2
    • 鶏がらスープの素 小さじ1
  • サラダ菜、きゅうり、トマト、パクチー 適宜
  • ●しょう油ソース
    • しょう油、オイスターソース、水 各大さじ1
    • 黒こしょう(粗びき) 少々
  • ●レモンジンジャーソース
    • しょうが(みじん切り) 1片
    • ナンプラー、レモン汁、水 各大さじ1
    • ごま油 小さじ1
  • ●ケチャップチリソース
    • にんにく(みじん切り) 1/2片
    • トマトケチャップ 大さじ2
    • レモン汁 小さじ1
    • 豆板醤 小さじ1/2
    • 大さじ1

作り方

  1. 米は洗って炊飯器に入れ、分量の水を注いで20〜30分浸水させる。

  2. 鶏肉は余分な脂と筋を取り除きフォークで5〜6カ所刺してからAをまぶして10分おく。

  3. しょうがは皮付きのまま薄切りにし、ねぎの青い部分はよく洗って10cm長さに切る。

  4. 1Bを加えてよく混ぜ、3をのせ、その上に2の皮目を下にして並べて置き、普通に炊く。

  5. ソースを3種、それぞれ混ぜ合わせて作る。

  6. ご飯が炊けたら、鶏肉、しょうがと長ねぎを取り除き、ご飯をほぐしておく。鶏肉は食べやすく切る。

  7. 器にご飯を盛り、鶏肉をのせてサラダ菜、きゅうり、トマト、パクチーを添える。5を器に入れ、かけていただく。

ココがポイント

しょう油・しょうが・チリの3種のソースでいただくシンガポールの名物料理を、家庭で作りやすくアレンジしました。ソースの黒こしょうや豆板醤を控えれば、子どもや辛みが苦手な人もおいしく食べられます。

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読者から寄せられたお便り&絵手紙

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大切に扱われた野菜

 店頭に「なばな」が並び始めると、春が近いなあと思っています。2月号のふるさと探訪「三重なばな」の表紙を見つけて、ほっこりしてしまいました。でも中を読んで生産者の方が大切に扱われている様子が分かり、食べる時にその苦労を感じながらいただこうと思いました。まだ寒さ厳しい中で1本1本刈り取ることを知り、本当に「三重なばな」をわが子のように思われているんだなあと感じました。おひたしにしたり、和え物にしたり、これから楽しみです。
(兵庫県・中村三千代さん)

おいしいジャガイモ作りに再トライ

 いつも楽しく読んでいます。3年ほど前から家庭菜園を始めましたが、なかなかうまくいかず、あきらめようかな…と思っていました。2月号わくわく菜園づくりは「ジャガイモ」。菜園を始めた頃に栽培をしましたが、芽が緑色になってしまいました。説明を読み、土寄せがとても大切だと知りました。肥料も家にあったものを適当にまいていたけれど、やはり時期や量が大切だったんですね。しっかりと読みました! 特に土づくりのワンポイントアドバイスは参考になりました。気を取り直して基本に忠実になり、おいしいジャガイモ作りに再トライします。
(愛知県・柴田斉子さん)

  • 埼玉県・野口寿夫さん
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  • 愛媛県・田内公雄さん
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  • 岡山県・串馬敬子さん
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  • 愛媛県・勝本ヨシヱさん
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  • 福岡県・佐々木鈴子さん
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