スキムミルク(脱脂粉乳)は、牛乳から乳脂肪分と水分を取り除いて乾燥させた粉末状の乳製品です。
戦後の給食で牛乳の代用品として飲まれていた輸入品と異なり、今は溶けやすくおいしい国産スキムミルクが作られています。
料理に加えて健康維持に役立つスキムミルクの特長や活用方法などに迫ります。
乳牛から搾った生乳は、殺菌処理などを行って牛乳に、乳酸菌や酵素の働きでヨーグルトやチーズに、脂肪を分離して取り出すと生クリームやバターにと、私たちが日々食べるさまざまな乳製品になります。スキムミルクは、バターを作る際に分離させた脱脂乳から作られます。100kgの生乳を遠心分離機で乳脂肪分と脱脂乳に分け、乳脂肪分を撹拌・凝集すると4kgのバターができ、脱脂乳から水分を取り除き乾燥させると8kgのスキムミルクもできます。
スキムミルクの特徴は脂質が少ないので低カロリー。例えば、スキムミルク10gを水90gで溶いたスキムミルク液100gと牛乳100g(約97ml)を比べると、たんぱく質とカルシウム量はほぼ同じですが、脂質は牛乳3.8gに対してスキムミルク液は0.1gと少なく、エネルギー量は牛乳が61キロカロリーなのに35キロカロリーとほぼ半分※1です。また、保存性の良さも特徴の1つで、常温で1~1年半も品質を保持できます。こうした利点を生かして、業務用ではヨーグルトや乳酸菌飲料、ミルクコーヒーのような乳飲料、アイスクリームなど、幅広くスキムミルクが使われています。特に、製パンや製菓業界では生地の水分量が品質や賞味期限に影響するため、粉末のスキムミルクが重宝されています。
しかし、乳製品の流通実態調査によると家庭での消費割合はバターが全体の約20%なのに対し、スキムミルクはわずか0.2%※2で業務用原料としての使用が約80%近くを占めます。家庭では、料理をミルク風味にするなら牛乳、コクを出すならバターと思われがちで、スキムミルクはなじみが薄いかもしれません。脂質やカロリーを気にせず栄養をプラスでき、さっと混ぜてミルクの風味をつけられる便利さは、使わないともったいない。200g前後のパックで販売されているので、飲み物や料理に活用してみませんか。

スキムミルク大さじ3杯半(約20g)を180mlの水やお湯で溶かすと、低脂肪乳のようなすっきりした味わいが楽しめます。熱湯だとダマになりやすいので、60℃を目安に溶かしてください。抹茶やきなこ、蜂蜜などを加えたアレンジや、果物を入れてスムージーにするのもおすすめ。コーヒーや紅茶に入れれば、軽い飲み口でいただけます。
料理では、まろやかさや風味づけに。ヨーグルトにかければ酸味が抑えられ、カレーに入れれば辛みが和らぐなど、食べやすさもアップ。水分を足さずに風味がつけられるので、パンやお菓子作りはもちろん、たこ焼きに混ぜてクリーミーさを増したり、ホットケーキに入れて香りと甘味をプラス、煮込みや漬けダレに使うなど用途はいろいろ。要冷蔵の必要がなく軽くて持ち運びも楽なので、キャンプやアウトドアでも大活躍。インスタントラーメンやリゾット、鍋などが、マイルドなミルク味に早変わりします。
手軽にたんぱく質やカルシウムが補給できるスキムミルク。長期保存できるので、防災備蓄になるだけでなくうっかり牛乳を切らした時にも安心です。ぜひ毎日の食卓にスキムミルクをとり入れておいしく健康に過ごしましょう。
▼「スキみる」HP
スキムミルクを使ったレシピやアイデアを楽しく紹介しています。
ぜひご覧ください。