なるほど全農

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地域の食生活をサポート【移動購買車】
買い物の楽しさ、人と人とのつながり 地域に安心を届ける「移動購買車」

近年、近くにお店がないなど、日々の買い物に苦労する方が増えていることをご存知ですか?
この社会問題の解決手段として「移動購買車」が注目されています。
トラックなどに商品を積み地域を巡って販売することで、買い物の利便性を向上させるだけでなく、人々がつながる場も生み出す「移動購買車」。全国で導入を進める全農の取り組みをご紹介します。

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65歳以上の約4人に1人が買い物困難に

 人口減少などに伴い、買い物に不自由さを感じる方が都市部を含めて全国的に増えています。生活全般や社会参加にも影響が懸念され、「食品アクセス問題」として重要視されています。農林水産政策研究所によると、「食料品アクセス困難人口」は2020年時点で全国に推計904万人。これは65歳以上人口の約4人に1人に相当します。

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 対策の1つとして導入が広がっているのが移動購買車です。国産農畜産物を提供するJAグループでも多彩な移動購買車を導入し、地域の実情に合わせて行政と協力しながら活用を進めています。現在、全国で300台以上の移動購買車を運用中です。全農では、移動購買車事業の先駆けである(株)とくし丸と業務提携を行い、各地域のAコープを拠点に移動スーパー「とくし丸」の導入を進め、運営体制づくりの強化を図っています。

※ 農林水産省「2020年食料品アクセス困難人口の推計結果の公表及び説明会の開催について」令和6年2月27日
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/240227.html

車にAコープ商品を満載 自分で見て選べる楽しさ

 福岡、佐賀、大分県を拠点とするAコープ九州では、2018年から「とくし丸」を導入し、現在は全42店舗のうち16店舗で運行しています。軽トラックには約400品目、1000点以上の商品が積まれ、生鮮食品、惣菜、お菓子、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品まで取り扱います。ドライバー兼販売員が、地域に暮らす1人ひとりのニーズに応じてAコープの商品を積み込み、週2回決まったルートを巡回し、利用者の自宅やその近くまで訪問します。商品を自分の目で確かめて購入できる点が好評で、運転免許の返納をきっかけに利用を始める人も。販売員は「良き相談相手」として日常の困り事にも応対し、定期的に顔を合わせることで一人暮らしの住民の見守り役も果たします。停留所では住民同士がおしゃべりに花を咲かせ、買い物の場がコミュニティの拠点にもなっています。このように住民に寄り添ったさまざまな対応は地域での生活に安心感をもたらしています。

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 JAグループでは「とくし丸」のほかにも、軽トラックの荷台を改造して陳列棚や冷蔵・冷凍設備を備えた車両や、JA貯金の入出金や通帳記帳ができる金融サービスを提供する窓口を併設した車両も運行されています。また、農産物直売所のように新鮮な野菜や果物を届ける車両や、コンビニエンスストアと連携して、コンビニ商品とJAの地場野菜を一緒に届けるコラボレーション方式の車両などもあります。
 自然や資源を守りながら、より良い生活を目指すサステナビリティ(持続可能性)が求められている今、各地域で継続的な支援を行う必要があります。私たちの生活に欠かせない食を支えるために、全農は移動購買車を今後も広く展開し、皆さまの食生活をサポートしていきます。