なるほど全農

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先端技術を活用して持続可能な農業へ【スマート農業 前編】
デジタル技術を使う「スマート農業」 労働力を補い農作物の安定生産を実現

国、企業、研究機関、生産者などが一丸となって活用を進めている「スマート農業」。
担い手不足や高齢化といった農業の課題を解決する方法として注目されると同時に、環境にやさしく持続可能な食料生産体制につながると期待されています。
全農が提供する2つの営農システム「Z-GIS(ゼットジーアイエス)」と「xarvio®(ザルビオ)フィールドマネージャー(以下、ザルビオ)」を取り上げ、スマート農業のメリットや効果について掘り下げます。

国内生産の拡大に向け 先端技術で労働力を補填

 スマート農業とは、ロボット、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの先端技術を活用した農業です。デジタル技術によって、これまで経験や勘に頼ってきた作業を省力化・効率化し、作物の品質向上や収量アップを目指します。
 2024年には、スマート農業の普及を支援する新しい法律※1も制定され、本格的な取り組みが進んでいます。その背景には、生産者の高齢化や担い手の減少による深刻な人手不足があります。生産者数は15年の約176万人から、25年には約102万人※2まで大きく減少しました。さらに、近年は国際的な紛争や価格高騰などで資源や資材の供給が不安定になり、国内での食料生産を増やす必要性が高まっています。一方で、担い手が減ったことで一人当たりの管理する農地は増えており、人手不足を補うためにもスマート農業の普及が重要となっています。

※1 農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(スマート農業技術活用促進法)2024年10月1日施行

※2 農林水産省「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」2025年11月28日

電子地図やAIを活用 営農システムで一元管理

 全農は、農地の集約・大規模化に対応するため、初期投資が少なく導入しやすい営農支援システムに着目。Z-GIS、ザルビオという2つのシステムを提供し、農業機械や他社システムなどとつないで情報共有できるように利便性を高め、JAや生産者への普及を進めています。

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Z-GIS画面イメージ
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ザルビオの生育マップイメージ

 Z-GISは、田畑の情報とエクセルのデータを結びつけて管理できるクラウド型のシステムです。点在する田畑の品目や品種などの栽培情報を、電子地図上でまとめて管理できます。米や大豆、ビール麦など約240区画の田畑を管理している農業法人では、同システムについて「紙の地図は分かりづらいが、航空写真なら見やすいし、理解しやすい」と高く評価。コシヒカリなど米の品種や、大豆などの転作作物、水稲栽培委託者ごとに色分けして管理効率を上げ、会議資料としても活用しています。
 ザルビオは、AIを活用して農地を解析し、最適な管理方法を提案してくれるシステムです。人工衛星の画像から田畑の生育状況の違いを確認でき、生育や病害の予測結果をもとに施肥や防除、水やりなどの判断をサポートします。導入したJAでは、同じ畑の中でも必要な場所にだけ肥料を多くまくなど、細やかな管理を実現。JAが生産者に営農指導を行う際にもデータを活用することで、収量の向上につなげています。
 これら2つの営農システムが広がることで、生産者は天候や病害虫などの影響を最小限に抑え、適切なタイミングで水やりや施肥、農薬散布ができるようになり、品質向上や収量拡大が見込めます。
 全農は、今後も営農システムを核としてスマート農業の普及を進め、持続可能な農業の実現と、安全な農作物の安定的な流通に向けて取り組んでいきます。