生鮮品より長期間保存でき、カット済みですぐに使える冷凍野菜は、忙しい現代人にとって頼れる存在です。
消費者ニーズの高まりとともに、高品質で安全性の高い国産冷凍野菜の生産拡大が求められる中、全農としては初めての冷凍青果物製造工場を2026年4月から稼働させました。
工場の加工品目などに焦点を当てながら、冷凍野菜の魅力に迫ります。
利便性で冷凍需要アップ 国内流通量は年々拡大
冷凍野菜は、収穫直後の新鮮な野菜を洗浄、カット、加熱などの下処理を施し、急速冷凍した食品です。食品の組織が壊れにくく、解凍時のうま味成分の流出も最小限に抑えられるため、鮮度や味、食感を保つことができます。旬に収穫した野菜を加工することで、うま味のある味わいと長期保存ができ、そのまま調理できる利便性の高さが特徴です。
近年、人口減少が進む一方で一人暮らしや共働き世帯は増加しており、調理に時間がかからず簡単で、必要な分だけ使うことができる冷凍野菜の需要は年々伸びています。2025年度の冷凍野菜の国内流通量※は、業務用を含め全体で129万tと10年前に比べて28%増加しました。しかし、国内で生産されている冷凍野菜は約6万tに留まり、輸入が9割を超えています。大規模農場による大量生産で価格が安いことなどが要因ですが、近年の円安基調や国際情勢の不安定化、食料安全保障への懸念などを受けて、国産冷凍野菜を求める機運が高まってきています。
※ 農林水産省「野菜をめぐる情勢」(2026年7月)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai/attach/pdf/index-118.pdf

資料:(一社)日本冷凍食品協会「冷凍食品の生産・消費について」を基に農林水産省にて作成
注1)冷凍野菜輸入量は、財務省「貿易統計」から引用
注2)冷凍野菜の国内流通量は冷凍野菜輸入量と国内生産量を合計した数値
冷凍青果物製造工場で国産品の生産増を目指す
全農では、国産冷凍野菜のシェア拡大に向けて、26年に茨城県坂東市に初めて冷凍青果物製造工場を設立しました。原料となる野菜は、茨城県、千葉県、埼玉県の11のJAから調達します。品目は、各地域に産地があるさつまいも、かぼちゃ、にんじん、なすで、グリル・スチーム・カット・ペーストなどの加工をして、冷凍焼きいもや冷凍グリル野菜、冷凍野菜ペーストなどを製造します。
焼きいもやグリル野菜の工程では、過熱水蒸気式焼成機を使い、高温の水蒸気で一気に焼き上げて野菜の味わいをしっかり閉じ込めた後、トンネル式のフリーザーで急速凍結することで、食感やうま味を維持した冷凍野菜へと仕上げます。ペーストの工程では、スチームコンベクションオーブンを導入し、原料を蒸してから焼き上げます。さつまいもは、蒸かした時のホクホク感と焼き芋特有の香ばしさを兼ね備えたペーストに仕上がります。これらは、生協などを通じた消費者向けの商品に加えて製品原料としても出荷されます。青果用だけでなく加工用の野菜栽培にも広げることで、国産野菜の需要拡大と付加価値の向上を目指します。

野菜をマイナス18℃以下で冷凍しても栄養素は保たれるため、冷凍野菜もおいしい時期の味わいがあり、安心感のある国産野菜を使うのがおすすめです。使うときは凍ったまま直接加熱しましょう。生野菜から調理するときよりも2~3割短い時間で料理が完成します。冷凍果物の場合は、熟れて食べ頃のものを加工しているので、食べる分だけ自然解凍しましょう。
手間暇かけて育てられた日本の野菜や果物。その一番おいしい時期をギュッと閉じ込めた国産冷凍青果物を上手に活用して、不足しがちな野菜を補いたいですね。