【岩手県奥州市】

焼いて、煮て、炒めてよし ピーマン

文◎編集部 撮影◎磯野博正

ピーマンは食卓に欠かせない野菜のひとつです。独特の風味と食感が楽しめ、緑色鮮やかで料理方法もバリエーション豊富です。一年中手に入りますが、夏秋産地として出荷量日本一として知られるのが岩手県です。
色つやがよくて肉厚で柔らかいと市場の評価が高く、県内トップクラスの生産量を誇るJA岩手ふるさとを訪ねました。

5月~11月にかけて長期出荷

夏は花が咲いてから30日前後で収穫できるまで生長します

 ピーマンは熱帯アメリカ原産で高温を好みますが、連作と乾燥、低温に弱い特徴があります。岩手県では昭和50年代に入り、水田転作作物として本格的な栽培が始まりました。
「導入当初は露地栽培が主流でしたが、冷害などの被害によりハウス栽培が行われるようになり、ハウス栽培ものは5月~11月、露地トンネルものは6月~10月にかけて長期出荷され、夏秋産地として全国第2位の出荷量を誇ります。昼夜の温度差が大きい気候によりじっくり育ち、実が締まって色つやがよく、日持ちがいいと品質に対する市場の評価が高く、生産の励みになっています」と、JA岩手ふるさと営農グループ園芸課の千田涼太さんは説明します。

6月のハウスピーマンほ場。どんどん株が大きくなって11月まで収穫できます

 ここまで大産地となったのは、農家の栽培技術向上はもちろんのこと、JAが選果施設を早期に整え出荷作業を軽減させたことが上げられます。収穫して1個ずつ大きさをそろえ、手作業で袋詰めをしていましたが、昭和55年に自動計量・自動包装機や予冷設備を導入しピーマン専用集出荷場を設置して省力化をはかり、栽培面積が拡大しました。
「これまで農家さんには、果形や大きさを選別して出荷してもらっていましたが、来年はセンサーで形状を見分ける機械を導入して、収穫して出荷するだけ、とさらに省力化をすすめます」とのこと。
 生産者の高齢化が進む中、労働力の軽減は栽培面積の維持にもつながっています。

活躍する若手生産者

「農業で働く場をつくりたい」と、若手生産者の齋藤博幸さん

 JA岩手ふるさとでは、ピーマン産地として新たな担い手育成の取組みも積極的に行い、平成25年度には20~30代の若手ピーマン生産者グループ「Growth」を設立しました。脱サラして新規就農者となった齋藤博幸さんは設立当初からのメンバーで、生産面積・出荷量ともにグループNo.1の実績を誇ります。
「農業をやろうと思った一番のきっかけは2011年の東日本大震災です。仙台で被災したとき食べものがなくて、毎日レトルト食品とか食べていると彩りがない。野菜がないんですよ。その時、野菜っていいなって。食事に彩りを与えられる野菜を作りたいと思いました。

 新規就農するにあたって、こちらのJAはピーマンの栽培技術や研修体系が確立していて、ブランド力がある産地なので、いろんなノウハウをもった人に話しが聞けるというのが大きな魅力でした」と、齋藤さん。
 若手生産者グループで生産したピーマンは、関東・東北市場へ出荷され、東北の量販店ではプライベートブランドとして販売しています。「顔の見える販売」を行い、年々仲間も増えてきているといいます。
「生育状況や病害虫の発生状況、防除対策など、生産者とJAとの情報交換を密にして、品質向上と安定した生産量の確保などを継続的に進めています」と、JA岩手ふるさとの千田さん。


最盛期には1袋、5個入り150gで自動計量、自動包装の大型機械がフル回転します

 齋藤さんは現在、ハウスと露地を合わせてピーマンを50アール栽培し、パートを7名雇っています。
「ハウスピーマンを収穫した後に、小松菜や菜花を作付けするなどして冬場の栽培体系を確立したいと考えています。1年中パートさんの仕事が途切れないように、農業で働く場所を作り地域の活性化につなげていきたい」とのこと。新規就農して4年目、試行錯誤しながらも地域に軸足を置いて、着実に農業経営者としての実績を残しています。
 夏の日差しをたっぷり浴びて育ったピーマンは色が濃く、肉厚で甘みも出てきます。豊富に含まれるビタミンCは加熱しても失われにくく、βカロテンは油で炒めると吸収率が高まります。上手に使いこなして食卓を彩りましょう。

●JA岩手ふるさと
【ピーマン専門部】 生産概要
生産者 : 305名
栽培面積 : 約31ヘクタール
出荷量 : 約1425トン(平成28年度)
主な出荷先 : 東北、関東、中京など

「若手生産者が頑張っています」と、JA岩手ふるさとの千田さん

2017.08更新