【徳島県鳴門市】

色白でスマート、滋味あふれる 徳島れんこん

文◎編集部 撮影◎磯野博正

れんこんは蓮の地下茎が肥大した部分で、穴が開いているので「先が見える」「見通しがきく」縁起物として、古くから親しまれてきた食材です。
徳島県は関西市場では圧倒的シェアを誇るれんこん産地。独特のシャキシャキ感とホクホク感の両方が味わえ、色白のきれいな肌が特徴です。どんな場所で栽培されているのか訪ねてみました。

粘土質の土壌で育まれる

れんこん専業農家の生垣和彦、亜矢子さん夫婦と今年4月から後継者として働く長男の亮介さん

 徳島県には「四国三郎」と呼ばれる日本有数の大河川、吉野川が流れており、れんこんはその豊富な水と河口近くの肥沃な粘土質の土壌で栽培されています。
「徳島のれんこん栽培は、今から100年程前に岡山から種れんこんを導入したのが始まりといわれています。昭和21年の南海地震による地盤沈下で水稲が塩害を受けたことをきっかけに、昭和40年代に入り転作作物として一気に栽培が本格化しました。その後、れんこん産地として成長し、関西市場ではトップシェアとなっています」と、栽培状況を説明してくれたJA大津松茂参事兼営農経済部長の沖野晴彦さん。

【写真右】穴が9つあることから「苦を抜く」ともいわれます

 れんこんの出回り期は一般的には9月~12月ですが、ハウス、トンネル、露地の栽培体系と品種を組み合わせて、ほぼ一年中出荷されています。
「露地栽培の主力は備中種です。関東でよくみるのは節間が短くて丸いダルマ系と呼ばれるれんこんですが、関西では節間が長く大型でスマートな備中種が好まれています。色も白くてツヤツヤとした光沢があり、シャキシャキ、ホクホクとした歯触りが抜群です」とのこと。
 こうした徳島れんこんの特徴は、陶器の土としても使われる良質な粘土質の土壌のたまもの。粘り気の強い圧力のなかで育つため、きめ細かく密度が高いれんこんになるといいます。

1本1本丁寧に手掘り

夏には青々としていた蓮の葉もすっかり枯れて、収穫の季節を迎えました

 早速、収穫しているれんこん田に案内してもらうと、なんと手掘りです!れんこん田の水を抜いて表土を20cm程重機で取り除いた後、専用の鍬(くわ)を使ってさらに30cm程掘りすすみ収穫します。
「地表に出た葉芽の位置を目安に掘り出します。粘土質の土は重く、れんこんにキズをつけたり、折れたりしないように慎重に掘るのが大変。腰を悪くして1年間休んだこともありました」と語る、生産者の生垣和彦さん。1本1本掘り取るだけでも重労働なのに、作業場に運んで泥を落とし洗浄機を使って水洗いをして、選別、箱詰め作業が日々続きます。

【写真右】こちらの田んぼでは種れんこんを育成中

「露地栽培の備中種は4月中旬から5月にかけて種れんこんを植えつけて、9月上旬から翌年5月頃まで順次収穫、出荷していきます。れんこんは生育が終わると休眠するので、水を入れておけば、おいしいままれんこん田で貯蔵ができ、計画や需要に応じていつでも収穫できるという作物特性があります」と生垣さん。

 種れんこんは自家栽培で、植えつけから収穫までの水管理など「一年中手が抜けない」といいます。心配なのは7~8月頃の台風。葉の光合成で養分を貯えるので、台風で葉が傷むとれんこんが育たないからです。肉厚で色白ツヤツヤ肌のべっぴんさんに仕上がった時は「達成感と満足感でいっぱい!」と、笑顔をみせてくれました。
 れんこんの栄養は糖質(でんぷん)で食物繊維が多く、その他ビタミンC、カリウム、鉄分なども含まれています。先端部分は柔らかいので生のままサラダや酢ばすにしてシャキシャキ感を、2節目は煮物やきんぴらに、3~4節目はでんぷん質が最も多いのですりおろして団子や蒸し物にすると、ホクホク、もちもちとした食感が楽しめます。部位ごとに使い分けていろいろな美味しさを楽しんでください。

泥を落として自動洗浄機を使って磨き上げると、ピカピカのれんこんが姿を現します

●JA大津松茂
【れんこん】 生産概要
生産者数 : 約114名
栽培面積 : 約222ヘクタール
出荷量 : 約2800トン(平成28年度実績)
主な出荷先 : 関西、四国など

「7月に台風がくるとダメージが大きいですが、今年は大丈夫でした。部位ごとに食感が違うのでいろいろ試してみてください」と、JA大津松茂の沖野参事

2017.12更新