【埼玉県深谷市】

甘味が凝縮した ブロッコリー

文◎編集部 撮影◎磯野博正

栄養たっぷりな緑黄色野菜として人気のブロッコリー。
地中海沿岸が原産で、ローマ時代から食べられていた歴史の古い野菜ですが、日本で本格的に栽培が始まったのは1980年代から。
日本各地でブロッコリー産地が形成されていく中、全国に先駆けて栽培技術を確立し、生産の中心となっていったのが、埼玉県のJA榛沢はんざわです。市場の高い評価を維持し続ける大産地を訪ねました。

40年近い栽培の歴史

 一年中スーパーの店頭に並んでいるイメージがあるブロッコリーですが、生育適温は18~20℃と冷涼な気候を好みます。そのため、埼玉県では8~9月に種をまき10月以降に収穫する夏まき秋冬どり栽培が主流となっています。北海道や長野など高冷地では春まき夏どり栽培、関東以南の暖地では夏まき冬春どり栽培など、栽培環境に合わせて作型を変え、産地間のリレー出荷により、国産ブロッコリーの周年供給体制が確立されています。

【写真左】生産者の久保克己、トシ子さん夫婦

「当JAでは、秋冬ブロッコリーと春ブロッコリーで10月から5月までの長期間出荷を行っています。同じ秋冬でも早生(わせ)種、中生(なかて)種、晩生(おくて)種などの品種を使い分けたり、種まきの時期をずらしたりしながら収穫時期を分散させ、高品質のブロッコリーを生産しています」と、JA榛沢販売課の佐藤優介課長。
 今回訪れた深谷市榛沢地区でブロッコリー栽培が多くなったのは、「昔は養蚕が盛んで桑畑がたくさんありました。1973~1978年にかけて畑地に転換させるための土地基盤整備が実施され、今後の需要増加が見込めるブロッコリーをJAが中心となり導入・普及したのが始まり」なのだとか。
 1979年には出荷協議会が発足し、日本一のブロッコリー産地を目指して生産者とJAが一体となって取り組んできました。さらに品質向上のためには地力を高めることが第一として、作付け前に畑の土壌分析を行い、堆肥を投入した土づくりを実施することを義務化。堆肥は地元の畜産農家と提携し、環境保全型農業を目指しています。

「土づくりをしっかりすると、水はけがよくなり、根が張りやすくなるので茎ががっしりしたブロッコリーが育ちます。茎が太くなれば、大きくて形のよいブロッコリーになります。冬場は気温が低いのでじっくりゆっくり育って花蕾(からい)のしまりがよく、全体的に甘みがのって特に美味しいですよ」と、JA榛沢ブロッコリー出荷協議会の久保克己さん。
 ブロッコリーの収穫が終わると次はスイートコーンを作付けする輪作体系を整え、連作障害を防いでいます。

露地栽培ゆえの窮地に直面

【写真左】余分な葉を切り落としてコンテナへ

「露地栽培だから天候に左右されてしまうのが一番の悩み」と、最近の異常気象で収穫量が安定しないことを気にしていた久保さんご夫婦。昨年2月に取材に訪れた時はシーズン後半の最盛期で季節外れの暖かな日が続き、収穫に追われていました。ところが、11月にJA榛沢を再訪すると状況は一変。

根元を切りそろえて調整、選別・箱詰めしていきます

「たねまきが終わって生長期に長雨と急な気温の上昇などで病気にかかり、最盛期を迎えたというのに例年の半分以下という収穫量です。11月は寒気も続いて生長が今ひとつうまくいきませんでした」と、苦しい表情の佐藤課長。台風や大雪などの影響で一瞬にしてやられてしまうというのはある意味諦めもつきますが、日照不足、長雨、寒気と立て続けにやってくるとボディブローのように効いて、立ち直るのも一苦労だといいます。さらに、国産が品薄になれば輸入物が増えてくるのももどかしいところです。
「今後の天候次第で先は読めませんが、生産者と協力しながら精いっぱい出荷できるようにがんばっていますので、ぜひ、安全安心で美味しい埼玉産のブロッコリーをお買い求めください」と佐藤課長。

集出荷場では一箱ずつ検査員による厳しい検査が行われます

 花蕾も軸も甘みがたっぷり。ビタミンCやカロテン、カリウム、リンなどの栄養素が豊富に含まれ、美肌のためにもこの時期ぜひ食べたいブロッコリーです。見つけたら買い求めて産地を応援しましょう!
(2017年2月、11月取材)

●JA榛沢
【ブロッコリー】 生産概要
生産者数 : 約80名
栽培面積 : 約160ヘクタール
出荷量 : 約1,596トン
(平成28年全農さいたま扱い)
主な出荷先 : 関東、関西、東北など

「生産者と協力して窮地を乗り越えます」と、JA榛沢の佐藤課長

2018.02更新