【佐賀県小城市】

甘く香り豊かな若芽 アスパラガス

文◎編集部 撮影◎磯野博正

最近、国産アスパラガスの出回り期が長くなったと感じませんか?
冷涼な北海道や長野産の露地ものが初夏に出回っていると思われがちですが、佐賀をはじめとする九州各県などで、雨よけハウスを利用して栽培する技術が確立され、露地栽培では春先だけだった収穫が夏にもできるようになり、早春から晩秋まで長期間出荷されています。
全国に先駆けて甘くて太い“春芽”をお届けするJAさが佐城地区を訪ねました。

出荷量、出荷期間ともにトップクラス

 アスパラガスが日本に伝わったのは江戸時代後期、当時は「オランダキジカクシ」の名前で呼ばれる観賞用で、食用として栽培されるようになったのは大正時代に入ってからといわれています。ユリ科の多年生の植物で、発芽直後の若芽の部分を食用とします。
「アスパラガスの株は一度植えると20~30年も芽を出し生き続けます。12月頃に枯れた地上部の茎葉を刈り取って片付け、堆肥を入れて畝を立て直します。翌年の春には新しい芽が出てきます。これが春芽で、今年の初出荷は1月5日でした。3月に収穫ピークを迎えますが、春芽の一部は収穫しないで茎葉を茂らせ、光合成をさせて養分を株に回します。そして、6月頃、生長した茎葉の間に出てきたものを夏芽として収穫します。収穫は10月いっぱいまで続きます」と説明してくれた、JAさが佐城地区中央支所園芸部野菜課の湊 武係長。

長さを確認しながら1本1本ハサミで収穫します

 雨が少なく冷涼な気候を好むアスパラガスは、温暖な西日本では栽培が困難な作物とされていました。佐賀県でも水田転作作物として昭和46年に導入したものの、病気の発生などにより収量が安定しませんでした。泥ハネによる土壌病原菌などに効果的なことがわかり、昭和56年頃に佐賀県で始まったのが雨よけハウス栽培です。ハウス内では茎が夏に過剰に繁茂する傾向があり、それまでの夏芽は収穫しないという常識を覆し、繁るならいっそ収穫をと試みたことがきっかけとなり、長期どりの栽培体系が確立されました。今では夏芽の方が収穫時期が長く、収穫量も多くなっています。県やJA、生産者が一体となって確立した雨よけハウスでの長期どりにより、単収は飛躍的にアップしました。

6月頃からは茎が生長して青い葉が繁茂した状態の中、伸びてきた「夏芽」を収穫します

 県内各地域にアスパラガスの栽培が普及し、平成4年には日本一のアスパラガス産地を目指して部会も発足、県内の産地間の情報共有や栽培技術の向上により、佐賀県は日本でトップクラスのアスパラガス産地として、市場で高い評価を得ています。

鮮度抜群のフライト野菜

【写真左】青年部代表の生産者、吉武 司さん

 佐賀空港からほど近い佐賀市川副地区でアスパラガスの専業農家になって6年目という吉武 司さんは、青年部代表で若手のリーダー的存在です。両親は米・麦、たまねぎなどの栽培をしていますが、吉武さんはアスパラガスを選択し、独立しました。
「1月から10月まで長期間収穫できる、というのが一番の魅力ですね。冬場の土づくりが年間の収量を左右するので、手が抜けません。また、光合成をさせるために残す春芽の見極めや追肥のタイミングなどまだまだ難しいことばかりですが、チャレンジし続けたい」と吉武さん。一昨年10アールのハウスを増設し、現在約40アールの栽培面積。高齢により廃業する生産者がいる中、若手生産者として意欲的に規模拡大も行っています。

自動選果機と自動計量結束機で100g束がどんどん出来上がります

 収穫は朝と夕方の2回。27cmの長さに切り揃えてコンテナで佐城アスパラガス集出荷施設に持ち込みます。自動選果機で大きさ、曲がりなどを選別し、25cmの長さに切り揃えて自動計量結束機で100g束にしていきます。
「ここは九州で一番処理能力の高い選果施設です。生産者は収穫後の出荷・調整作業の時間が省力化でき、栽培に専念してもらえるので、規模拡大や品質の向上につながっています。鮮度低下が早いアスパラガスは鮮度保持のため出荷前に予冷して各地へ輸送します。ここは空港が近いので、平成3年から関東を中心に空輸でも出荷しています」と、JAさがの湊係長。

鮮度保持のため発泡スチロールのケースに入れて予冷出荷します

 春芽は太くて甘く、夏芽は柔らかくて優しい味わいが特徴です。1月から10月いっぱいまで佐賀県産の新鮮なアスパラガスをどうぞお楽しみください。
 アスパラガスは伸び盛りの若芽です。冷蔵庫で保存する場合は、立てて入れ、できるだけ早く食べてください。

●JAさが佐城地区中央支所
【アスパラガス】 生産概要
生産者数 : 148名
栽培面積 : 約30.5ヘクタール
出荷量 : 約593トン(平成29年産実績)
主な出荷先 : 関東、関西、九州など

JAさがの湊 武係長

2018.03更新