常に一歩先のチャレンジを
SPF豚は特定の病原体を持たない清浄豚のため、外部から病気を持ち込まないよう防疫管理が徹底されています。農場内へは従業員も必ずシャワー入浴をして専用の作業服に着替えるなど、毎年の厳しい審査をクリアしてSPF豚農場を維持するため、日頃から細心の注意を払っています。
「農場建設の最大の課題が糞尿処理でした。各地を視察して最良の方法として見つけたのが微生物を生かすBMW(※)技術による自然浄化作用です。豚舎から出た尿などの汚水を、バクテリアのいる土と石の入った水槽でろ過すると、ミネラルの含まれた水に生まれ変わります。この水を豚の飲み水や豚舎の清掃に再利用しています。汚水を農場の外に出さないうえ、再利用することで豚の腸内細菌が活性化されて健康に育ち、いやな臭いもありません」。
桃豚の糞は完熟堆肥として地元の農作物の土作りに役立てるなど、養豚を中心とした循環型・環境保全型農業をめざしています。

平成16年から始めた室内放牧豚舎では、地域農林業から出るもみ殻や木質チップなどを1メートルほど敷き詰めて発酵させた「バイオベット(発酵床)」を利用しています。
「豚舎のなかを自由に動き回れてストレスがない。フカフカの床に鼻で穴を掘るなど、豚本来の行動がとれるので元気でイキイキとしていますよ」と、豚が喜ぶ環境づくりへも余念がありません。
また、飼料用米を配合したエサの給与を平成19年から実施。当初は10%だった飼料用米の配合割合は平成27年から30%に増量されています。
「飼料用米を使うことでエサの自給率向上や地域農業の活性化につながります。米を食べた桃豚の肉質は柔らかく、脂質が米由来のオレイン酸を多く含み、脂身が甘くさっぱりしていると評判がいいです」と、豊下代表も笑みがこぼれます。
「4つの農場とも『農場HACCP』の認証を取得しました。農場内のすべての作業工程を文書化、マニュアル化することで従業員の責任感が高まり、清潔は常に心がけています。衛生レベルのより高い農場に向け、この認証はゴールではなく、あくまでもスタート」と、継続した運用、改善の大切さを胸に刻みます。8年後の倍増計画に向けて農場増設をスタートするなど、ポークランドグループの更なるチャレンジは続きます。
(※)B(バクテリア)M(ミネラル)W(ウォーター)
香港へ初輸出

安全で美味しい「桃豚」は、生協や量販店など取引先から絶大な信頼がよせられています。大切に育てられた桃豚を消費者のもとに届けるため処理・加工しているのが鹿角市にある食肉センター、株式会社ミートランドです。ポークランドグループの規模拡大や全農安心システム等をはじめとする数々の認証取得に産地食肉センターの立場から対応してきており、平成22年には国際的な食品安全・品質管理規格であるSQF(セーフ・クオリティ・フード)の認証を取得しました。現在、ポークランドグループが消費地向けに出荷する豚肉の大半を同社が衛生的に処理・加工しています。
全農グループでは国産農畜産物の輸出拡大に取組んでおり、同社は豚肉の輸出拠点として新たな役割を担うことになりました。生産者のポークランドグループ、処理・加工のミートランド、販売を担当するJA全農ミートフーズ株式会社の力強い連携により、国内はもとより海外へも、安全安心、高品質の作り手の見える桃豚が届けられます。
●ポークランドグループ
【桃豚】 生産概要
従業員数 : 135名
農場面積 : 約60ヘクタール
出荷頭数 : 年間約15万頭
