【北海道釧路市】

大玉で肉厚、フルーティな国産 パプリカ

文◎編集部 撮影◎磯野博正

パプリカは1993年にオランダから初めて輸入され、日本に流通するようになりました。カラフルで栄養価が高くたちまち新顔野菜として人気がでましたが、国内消費の9割が輸入品で国産パプリカのシェアはなかなか増えませんでした。
株式会社北海道サラダパプリカは、パプリカ生産先進国のオランダの気候に似ている釧路の地で大規模温室による生産を平成27年より開始。安全・安心・高品質な国産パプリカを日本の食卓に届けています。

最先端のシステムで管理

【写真右】「年間を通して安定出荷が目標です」と、(株)北海道サラダパプリカの小林 豊社長
 パプリカはとても繊細な野菜で栽培が難しく、日本の高温多湿な夏は苦手で冷涼な気候を好むといいます。
「パプリカの栽培適温は17~27℃で、30℃を超えると実がつかなくなります。釧路はオランダの気象条件に似ていて、夏でも30℃を滅多に超えないし日照量が多い。雪は少ないですが冬場は気温がマイナス20℃くらいになるので、暖房に大きなエネルギーが必要になりますが、ここでは隣接する製紙工場の排熱蒸気を再利用したエコ栽培を行っています」と、(株)北海道サラダパプリカの小林豊社長。

隣接する製紙工場からパイプラインで蒸気熱を運びます
 小林社長は日本のパプリカ栽培の先駆者といわれる長野の(株)信州サラダガーデンで20年以上の栽培実績を持ついわばレジェンド。(株)北海道サラダパプリカの設立に際して、当初はコンサルタントとして参加するはずが、経営者として運営を任されることになったそうです。野菜ソムリエ協会の食味評価部門で表彰される味の良さと、トップレベルの反収量を誇る(株)信州サラダガーデンの高い栽培技術がここに結集されています。

手入れや収穫は作業台に乗って。 高い所は4メートル以上にもなります
「パプリカ栽培には最適な栽培環境をつくる温室が必要です。そこで、先進国のオランダで使われている装置やシステムをモデルに完成させたのが、現在の大規模温室です。パプリカは温度、湿度、CO2濃度などの変化にすぐ影響を受けてしまうので、センサーによる環境制御システムを導入しました。たとえば、昼夜の寒暖差など温度変化があったときは自動で加温したり屋根を開閉させるなど、的確に栽培適温が保てるよう空調管理されています」。
 また、美味しいパプリカを育てるためには日差しがとても重要です。天気が悪く十分な太陽光が得られないときのために高圧ナトリウムランプも設置して、質・量ともに安定出荷ができるよう最新技術を導入しています。

大規模経営で安定供給

花が咲いて実がついてから収穫まで7週間ほどかかります

 2.3ヘクタールという広大な温室内には養液栽培された6万本ものパプリカが整然と勢いよく伸びています。多いときには毎日1万~2万玉のパプリカが熟し収穫を待ちます。
 「天井の高さは5メートルありますから伸び伸びと生長できます。前年の9月20日頃に種まきをして、今年は1月中旬に初出荷を迎えました。色は赤、黄、オレンジの3色で、8月いっぱいまで出荷の予定です。パプリカはサラダなど生で食べることも多いので、害虫を食べさせる『天敵昆虫』を利用することで、農薬を最小限に抑えて栽培しています」とのこと。
 さらに、「まだ市場の9割は韓国やオランダからの輸入ですが、安全安心で品質がよく鮮度抜群な国産品を安定供給して市場を切り拓いていきたい。また、釧路という栽培適地で周年出荷にもチャレンジしていきたいです」と、力強い言葉が聞けました。

収穫するとすぐ隣で1個1個丁寧に選別、箱詰めされていきます。出荷の中心は2Lで180~230gのビッグサイズです
 国産パプリカは完熟したものを収穫するので、そのままフルーツ感覚で食べても甘く、シャキシャキとした瑞々しい食感が爽やかで美味しいと、輸入品に負けない高い品質が評価されています。安定して消費者の皆さんのもとへ届けられるよう国産品のシェアアップに向けて全国の大規模パプリカ生産者が一丸となって取り組んでいます。穫れたての国産パプリカをどうぞ召し上がれ!

●(株)北海道サラダパプリカ
【パプリカ】生産概要
栽培面積:約2.3ヘクタール
従業員数:約30名
出荷量:約600トン(平成29年度実績)
主な出荷先:道内、関東、関西

専用の出荷箱に入れて出荷します

2018.06更新