【富山県砺波市】

色鮮やかで肉厚、甘みとコクの 海藻アルギットにら

文◎編集部 撮影◎磯野博正

天然海藻を原料とする肥料「アルギット」を使って栽培された、こだわりの美味しいにらです。葉物野菜のにらは傷みやすいのが難点ですが、「海藻アルギットにら」は生命力にあふれ、肉厚で張りがあり、日持ちがいいのも大きな魅力です。
市場の評価も高く年々生産量が増えている注目のにら産地、JAとなみ野を訪ねました。

アルギットで健康な土づくり

「頑張った分の見返りがあるのが魅力」と、板橋一徳、篤子さんご夫婦
 JAとなみ野アルギットにら生産組合は1995年に設立されましたが、にら栽培を手がけたのはそれより12年前のこと。生産者5人でにら栽培を始めたものの、品質が安定せず”二束三文”の評価で大失敗。諦めかけた時、仲間のうち3人が倒れにくく美味しいアルギット米を作っていたことから思い立ち、アルギット農業でにらを作り始めました。
「その時の生産者の1人がうちの親父で、試行錯誤を繰り返しながら苦労して『海藻アルギットにら』の栽培を成功させたのをそばでみていました」と語る、板橋一徳さん。一旦は東京で就職しましたがUターンして後継者に。
「ノルウェー産の天然海藻アルギットと有機質肥料、粘土鉱物を使って丹念な土づくりを行います。アルギットにはアルギン酸、多糖類、ミネラルが豊富で、土壌の微生物が活性化して増え、ゆっくり有機肥料を分解するため、作物の力を引き出すよい土になります。元気に育つにらは病気になりにくく収量も多く、連作障害もでません」とのこと。

【写真左】もったいないけど必要な「捨て刈り」【写真右】一度収穫しても25~35日でまた新たに伸びて収穫できます
 3月下旬にたねまきをして、6月上旬に定植をしてから丸1年は収穫をせずに株を育てます。翌年の5月頃に伸びてきた葉は刈って捨ててしまいます。もったいない!と思っていると、「食べられないことはありませんが、冬を越したにらの葉は硬いので、一度”捨て刈り”をします。刈り取った株から25~35日ほどで新たに伸びた柔らかい葉を収穫して出荷します。同じ株で年に3~5回、2年目、3年目と収穫します」と説明してくれました。
 ていねいな土づくりと水管理、追肥などこまめに手をかけることで露地栽培の難しさをクリア。夏の暑さにも耐え、6月上旬から10月下旬まで出荷は続きます。

糖度はトマトと同じくらい!?

 にらの収穫は早朝4時半頃から始まります。刈り取ったにらの茎からは水分が滴り落ちるほどみずみずしく、その水滴をなめてみると甘い。「糖度はトマトと同じくらいあるんですよ」と、誇らしげの板橋さん。でも葉をかじるとにら独特のにおいが口いっぱいに広がります。

【写真右】今年米寿のおばあちゃんの見事な手さばき。誰よりも早くて正確です

 収穫はカマでザクザクと刈り取るだけですが、その後の調製・出荷作業に手間がかかり大変です。
「葉の幅は7mm以上、長さは36~55cmまでという規格があります。折れたり、汚れた葉を丁寧に取り除いてきれいに整え、計量して100gずつ束ねて袋詰め、さらに箱詰め作業をして出荷となります。これまでは全て、農家個々で手選別して出荷していましたが、昨年9月にJAの集出荷場に、大きさを揃えて袋詰めする選別機を導入しました。これで労力が少しでも軽減されて、栽培に集中してもらえればと思います」と、JAとなみ野経済部特産振興課の中村明嗣営農指導員。

 生産者/農協/全農とやまが三位一体となって技術を統一してブランドを確立してきました。富山県のほとんどは「海藻アルギットにら」となり、市場からの評価も高く、県をあげて産地を広めています。失敗を重ねてゼロから積み上げてきた栽培マニュアルはオープンにしており、指導も徹底しているので、新規参入・新規就農しやすく、JA間の垣根も越えて、生産量は年々増加しています。
 板橋さんの奥様の篤子さんは、「包丁を入れた時の”ザクッ”という音から違います。甘みはもちろん、味にコクがあるので、豚肉と合わせると美味しいですよ」と、アドバイスしてくれました。
 「海藻アルギットにら」を見かけたらぜひ食べてみてください。

●JAとなみ野
【海藻アルギットにら】生産概要
生産者:39名
栽培面積:約5ヘクタール
出荷量:約136トン
主な出荷先:北陸、中京、近畿

JAとなみ野の中村営農指導員

2018.09更新