【京都府京都市】

伝統のこだわりの味 九条ねぎ

文◎編集部 撮影◎磯野博正

1300年の歴史をもち、京の伝統野菜に指定されている青ねぎが「九条ねぎ」。
一年中出荷されていますが、本来の旬は冬。
口当たりが柔らかく甘味があり、葉の内部にぬめりがありますが、寒さが厳しくなるとこのぬめりが多くなり、一層甘味が強く美味しくなります。
昔ながらの栽培方法で、底冷えのする時期に出荷される九条ねぎの味を求めてJA京都中央の洛南支店を訪ねました。

二度植えで収穫まで13ヵ月

 九条ねぎは青々とした葉の部分を好む関西の食べ方に合った、青ねぎの代表品種です。
「関東は白ねぎでこれまで九条ねぎはなじみがなかったと思いますが、京野菜ブランドとして認知されたことやラーメンなどの薬味としての需要が拡大してきています。
 ちょうど管内の生産者も世代交代で25歳から45歳の洛南支店青壮年部が中心となって生産をリードし、栽培面積も年々拡大しています」と、状況を説明してくれたJA京都中央西南部経済センターの中野信也センター長補佐。

「伝統を守りつつ、チャレンジしていきたい」と、生産者の山本 忠さん

 今回訪ねた九条ねぎ生産者は、その青壮年部で部長を務め、活気ある部会をまとめている山本 忠さんです。
「小学3年生の頃から、祖母に農家を継ぐことは聞かされていました。京都というブランドがあり、マーケットが近くにあって立地条件もよく需要も高いとなれば、伝統を受け継ぐしかないと考えたのです」。脱サラして後継者となり、今年で4年目。「ちょうど農業が面白くなりはじめた」といいます。
「本来、九条ねぎの旬は冬です。寒さのなかじっくり時間をかけて太らせるため、うちの冬ねぎは伝統的な『二度植え』の栽培法で育てています」とのこと。

葉の中のぬめり。まだまだ少ないですが、寒くなるととろりとしたぬめりがたくさん入ります

 二度植えというのは、前年の10月に種まきして生長したものを夏場に掘り上げ葉を切り落として、干し苗にします。これを再び秋に定植して、11月から3月にかけて随時収穫、出荷していくというもの。根や新葉の伸びがよく苗が太るそうですが、収穫まで実に13ヵ月という手間ひまがかかる、九条ねぎ独特の栽培法だそうです。
 最近は、一年を通じた需要に対応するためハウス栽培が導入されるなど、栽培技術の改良も進んでいますが、山本さんのところでは代々大切に種をとり、こだわりの栽培方法で伝統野菜を守っています。

ぬめりが多く特に甘い冬ねぎ

 12月から3月にかけて出荷する冬ねぎと、7月から10月にかけて出荷する夏ねぎを収穫すると、次はキャベツを植えて連作障害を防ぎます。
「野菜はスケジュールを決めてキチンと作付けするのが農家の基本だと思います。連作障害や病気がでると、一年の苦労が無駄になってしまうから。この冬の暖冬をはじめ近年の異常気象もホント頭が痛いです」と嘆く山本さん。夏場の高温、干ばつや台風など大雨による冠水被害など自然災害を受けると、また来年という気持ちを奮い立たせるには相当なエネルギーが必要になってきます。
「野菜は水管理がとても重要ですが、この地区は近くに宇治川があって農業用水路が早くから整備されているので、給・排水がしやすく、九条ねぎの他、京みず菜、京壬生菜、伏見とうがらしや京山科なすなど京野菜を作る生産者が多いです」と、JA京都中央の中野さん。

1本1本丁寧に選別、調整して出荷します。長いので折れないように気を使い、鮮度を維持するため手早くが肝心

 九条ねぎは70cm前後で収穫して自宅の作業場に持ち帰り、枯れた葉や折れた葉などを取り除いて、1本1本丁寧に選別・洗浄し、束ねて出荷となります。
「寒さが厳しくなり霜に当たると、葉の中のぬめりが多くなり、甘味が強く一層おいしくなります。水分が多い分、傷みも早いので新鮮なうちに食べてください。旬の九条ねぎはすき焼きや煮物も美味しいですが、かしわ(鶏肉)と鉄板焼きにして、しょう油をたらして、山椒をふって食べるのがおすすめ」と、山本さん。
 美味しいこと間違いなしですね。早速、今晩のおかずにいかがですか?

●JA全農京都管内
【九条ねぎ】生産概要
出荷量:約1,447トン(2017年実績)
主な出荷先:京都府内、関東

JA京都中央西南部経済センター長補佐の中野信也さん

2019.02更新