【千葉県柏市】

甘くきめ細やかな食感 小かぶ

文◎編集部 撮影◎磯野博正

かぶは春の七草のひとつ「スズナ」として、昔からなじみのある野菜です。
大きいものや小ぶりのもの、赤色や細長い形のものなど日本各地に80品種もあり、地域特有の在来品種も多くあります。関東で小かぶといわれているものは、東京特産の「金町小かぶ」を改良したものです。
都心から30km圏内で農地減少など厳しい環境にありながら、全国一の生産量を誇る小かぶの産地、千葉県柏市を訪ねました。

8月を除いたほぼ周年で出荷

小かぶ栽培40年以上のベテラン生産者、谷口政夫部会長

 白と緑のコントラストがきれいな「かぶ」。玉は白くてきめ細やかで艶々なのが特長です。柏市の小かぶ生産が根付いたのは、大正時代(1920年前後)の頃、東京下町の漬け物需要を満たすため、柏市豊四季地区の開墾地に作付けされて定着したと伝えられています。
「千葉県のかぶ生産量は全国の3分の1を占める3・3万トン(2017年)で、なかでも柏地区が県内トップの生産量となっています。大正から今日まで、栽培技術の研究や品種の選定を重ねながら、季節に合わせてハウス、トンネル、露地と3つの作型で8月を除いたほぼ周年で生産が可能となっています」と説明してくれた、JAちば東葛 柏地区経済センター 副センター長の日暮勝夫さん。

 柏の小かぶは市場の評価も高く、肌が白く、甘くてしっとりと緻密な肉質が人気です。
「種まきから収穫まで冬場で約90日、夏場は40~45日かかります。昨年12月は暖冬、今年1月は干ばつで収穫のタイミングが早まったり、遅れたりでなかなか計画どおりにいきませんでした。また、かぶは大根などと違って地面の上に玉が大きく育ち、細い根が地中に潜っているだけなので、台風並の強風が吹くと飛ばされてしまうのも心配です。自然相手の仕事なので技術だけですべてカバーできるものではないですからね」と、JAちば東葛 柏小かぶ共撰部会の谷口政夫部会長。ちょうど取材に訪れた1月末頃は雨が降らず干ばつで収穫がいつになるのか読めない状況でした。

「でも玉太りが遅いだけで品質に影響はありません。むしろ寒さの中じっくりゆっくり育ったかぶは肉質が緻密で甘みものって美味しいですよ」と、笑顔をみせてくれました。
 連作障害を防ぐため、出荷のない8月を利用して畑の太陽熱土壌消毒と有機質肥料での土づくりが行われます。

夜明け前から収穫作業

 出荷のピークは春の4月~6月、秋の10月~1月の2回あるといいます。
「春かぶのピーク時には夜中の2時、3時頃から軽トラのライトを照らしながらコンテナで35~38箱を収穫します。収穫したかぶは自宅の作業場に持ち帰り、枯れた葉などを取り除いて選別し、サイズごとに束ねて(2L5玉中心)、葉先を落として洗浄します。水を切ってから箱詰め作業をするので、当日出荷するためにはどうしても夜明け前から作業しないと間に合わないんです」と、谷口部会長。

【写真左】1株ずつ枯れた葉や折れた葉を丁寧に取り除き、サイズごとに束ねて葉先を落として水洗いします
JAちば東葛のキャラクター「こかぶちゃん」が描かれたトラックで関東の各市場に出荷されます

 生産者は箱詰めまでしてJAの集出荷場に15時頃に持ち込み、検査を受けてトラックに積み込んだら各市場へ向けて出発します。それもこれも「新鮮で美味しいかぶを消費者に食べてもらいたい」という生産者の想いがあるからこそ。買ってきたらその日のうちに調理して、ぜひ鮮度抜群の美味しさを受け取ってください。もし、保存する場合は葉をつけたままにしておくと水分が抜けてしまうので、葉と実は切り分けて保存しましょう。
 生でも煮ても焼いても炒めても、どんな調理方法でも簡単に美味しく食べられる重宝な野菜です。今晩のおかずにぜひどうぞ。

●JAちば東葛
柏小かぶ共撰部会
【小かぶ】生産概要
生産者:36名
栽培面積:約100ヘクタール
出荷量:約3500トン(2018年実績)
主な出荷先:関東

「ピーク時には1日2000箱(1箱15kg)もの出荷があります」と、JAちば東葛 柏地区経済センターの日暮勝夫副センター長

2019.04更新