【鳥取県大山町】

初冬に旬を迎える期待の赤梨 王秋おうしゅう

文◎編集部 撮影◎磯野博正

鳥取県の梨といえば二十世紀梨があまりにも有名ですが、JA鳥取西部では、さまざまな品種を栽培し8月~12月までリレー出荷をおこなっています。
最近の注目株が二十世紀梨の遺伝子を受け継いだ「王秋」です。
大玉で長期保存ができるため、ギフト需要も年々高まっている人気品種で、リレー出荷のラストを飾るのに相応しい最高級の美味しさと評判です。

3品種を掛け合わせて誕生

10アールあたり約1万3600枚も袋掛けして、大切に育てます

 鳥取県西部、伯耆(ほうき)富士の名前でも知られる「大山」の麓、大山町で梨栽培が始まったのは昭和の初め頃といわれています。 「大山から湧き出たミネラル豊富な水と肥沃な大地に恵まれ、みずみずしくて甘く品質のよい梨を栽培し、市場から定評があります。現在、二十世紀梨を中心に新甘泉、なつひめ、あたご、新興、王秋など11品種を栽培し、8月~12月までその時々の旬の味を楽しんでもらっています」と、JA鳥取西部大山営農センター 大山梨選果場チーフの清水洋文さん。
 なかでも2003年に品種登録された「王秋」は推奨品種として栽培本数が年々増えているといいます。
「王秋は二十世紀梨に中国梨『慈梨(ツーリー)』を掛け合わせたものに、さらに晩生のジャンボ梨『新雪』を交配して誕生しました。果肉は白く緻密でやわらか、シャリ感もあって、酸味と甘みのバランスも絶妙で、とてもジューシーです」と説明してくれた、JA鳥取西部大山果実部の片桐 肇さん。

1ヘクタールの梨園を栽培管理するJA鳥取西部大山果実部の片桐 肇さん

 栽培の中心となる二十世紀梨は8月下旬から9月の収穫ですが、王秋は10月下旬から11月下旬までと梨シーズンの最後となる品種です。作業が分散されることや、食味の良さ、将来性を見込んで栽培農家が増えているのだそうです。
「1玉600~700gと大玉で台風の被害を受けやすく、果肉に茶色いコルク状の障害がでやすいなど栽培が難しいため、他県での生産量は少なく、鳥取県が全国生産量の約6割を占めています。その中でも当JAの管内が県内一です」と話します。
 二十世紀梨で培った技術力と妥協のない土作りを強みに、デリケートな王秋に細心の注意を払った栽培管理が行われています。

長期保存でギフト用として輸出も

丹精こめて育てた梨をいよいよ収穫。大玉でかなりの重労働です

 片桐さんの園地に案内してもらいました。傷などから果実を守るために袋がけされた王秋が一面にぶら下がっている風景は圧巻です。
「1本の樹に約600個ついたとして1果の平均重量が600gですから、約360kgを支えなければなりません。そのため台風など強風にも耐えられるよう、がっしりとしたパイプで枝を支えます。コルク状障害の対策として、乾燥時の水やり、摘芯や誘引など枝の管理をはじめ、根元を深く掘って土壌改良を行い細根の発生を促すなどして、元気で丈夫な樹になるよう育てています」

「1本1本、樹の根元を深く掘って土壌改良を行います」と片桐さん

 収穫の前にはコルク状障害があるか果実を輪切りにして確認。もし、障害があれば発生樹の梨はすべて出荷停止にします。さらに、選果場の光センサー選果機で障害のある梨は除き、選び抜いた高品質の梨だけを出荷しています。
「王秋は皮が薄くて傷がつきやすいので、外側にも内側にも本当に気を使います。難しくて手はかかりますが、梨シーズン最後にふさわしい大玉で美味しい梨です。一度食べたら忘れられない味だと、リピーターも多いですよ」

【写真左】大玉でやや縦長の卵型をしているのが特徴【写真右】ギフト用の3玉詰。海外への輸出も好調

 王秋は他の梨と比べてやや縦長の卵型をしているのも特徴です。11月末頃で収穫は終了しますが、日持ちがよく常温で1ヵ月くらい保存が可能です。冷蔵するとさらに長期保存もでき、国内はもちろん、年明けの台湾の旧正月に向けたギフト用も好調で、輸出量が倍増しています。
 1玉あれば家族4人で楽しめるほど大玉です。どうぞお試しください。
(取材:2018年10月下旬)

●JA鳥取西部 大山果実部
【王秋梨】生産概要
生産者:50名
栽培面積:約3ヘクタール
生産量:約12万4300kg(2018年度実績)
主な出荷先:鳥取県内、関西

「梨シーズンの最後を飾るのに相応しいとっても美味しい梨です」と太鼓判をおす、JA鳥取西部大山梨選果場チーフの清水洋文さん

2019.10更新