【愛媛県四国中央市】

大地の恵みが詰まった伊予美人いよびじん
※JA全農えひめ商標登録

文◎編集部 撮影◎磯野博正

愛媛県はさといもを400年前から栽培している歴史ある産地です。
近年、市場から評価が高く、一目置かれているのが「伊予美人」というJAグループがブランド化をすすめるさといも。
色白でしっとり滑らか、粘りが強く濃厚な甘みが大人気です。
品種導入当時から、生産の中心となっているJAうまを訪ねました。

さといも→山のいも→水稲の輪作

伊予美人の名付け親、宝利義博部会長

 JAうまのある四国中央市は愛媛県の東端に位置し、南は四国山脈の石鎚山系、北は瀬戸内海に面して平野部が狭く、山から海に向かって「やまじ」と呼ばれる局地風が吹きおろす自然環境にあります。
「風速30~40メートルという台風並みの強風です。春と秋にこのやまじ風が吹いて農作物に被害を及ぼすので、地上ではなく地中で育つさといもと山のいもの栽培が盛んになりました。この地域ではさといも、山のいも、水稲の輪作体系を確立し連作障害を防いでいます。さといもは乾燥に弱く水管理が重要ですが、田んぼの用水設備を利用できるので、水管理がしやすいのも強みです」と、JAうま営農経済部営農販売企画課の妻鳥芳紀さん。

 これまで約70年間栽培してきた主力品種の「女早生(おんなわせ)」から優良系統を愛媛県農業試験場が選抜育成し、JAうま、JA全農えひめ、生産者らが一体となって開発に取組み、平成16年に「愛媛農試V2号」として誕生。平成18年に「伊予美人」と命名され、愛媛県の「愛あるブランド」認定も取得しました。
「伊予美人は”愛媛生まれの白くて丸いさといもを食べて、体の中から美しくなってほしい”という願いから名付けられました。さといもは親いもから子いも、孫いもが生まれ、一株からいかに多くのいもをとるかが重要になってきます。子いもができる割合を優品率、孫いもができる割合を秀品率といいますが、伊予美人は孫いもが丸くて大きく秀品率が高く、収量が多いのも特長です」と、妻鳥さん。

一株ずつ土を落として、キズをつけないように丁寧に親いも、子いも、孫いもをほぐしていきます

 1個の親いもから30~40個のいもがつき、1.5kg~2kg位の重さになるというから驚きです。JAうま管内では、ほとんどの生産者が女早生から伊予美人に切り替え、年々増産されている期待のブランドさといもです。

9月から翌年3月まで長期出荷

JAうまグリーンフェスタで直径2メートルもある大鍋で郷土料理の「いもたき」を作り、伊予美人の美味しさをPR。「今回は1000人分仕込みました」と、陣頭指揮をとる宝利部会長

 JAうま特産部の宝利義博部会長の畑を訪ねると、「伊予美人の味はピカイチ、収量は日本一だよ」と、笑顔で迎えてくれました。宝利部会長は伊予美人の名付け親でもあり、ブランド化を牽引する立役者の一人です。
「9月から翌年の3月まで、順次収穫、出荷していきます。掘り取りは鋤(すき)を使う手掘りと機械を使い分けます。いもを掘り上げたあと、一株一株土を落としながら、親いも、子いも、孫いもをバラバラにほぐしてひげ根をむしる作業までを行い、選果場に出荷します。
 冬場は、いもが凍ってしまうと商品価値がなくなるので、畑の畝に土を厚くかぶせて保温してやります」と話します。
 さらに、品種特性を維持し、品質を安定させるため、JAが指導して5年ごとに種いもの更新を行っています。

四国中央市の2018年産業祭で伊予美人コンテストを開催。東予地方局長賞を受賞した見事ないも

 そして今春、四国中央市管内に東予地区4JAが参加する集出荷施設「愛媛さといも広域選果場」をJA全農えひめが新設。集出荷体制を整え、選果基準を統一することで、「伊予美人」生産販売のさらなる向上を目指しています。
「さといもといえば伊予美人といってもらえるのが目標です。『白くきめ細やかな肉質でさといも本来の味がする』と、市場はもちろん、京都の料亭の方からの評判も良いのでぜひ食べてみてください」と、自信たっぷりの宝利部会長。
 四国山脈の豊かな伏流水と瀬戸内の温暖な気候、そして「やまじ風」に耐えて、柔らかく粘りも強くうまみがある伊予美人が育ちます。味にクセがないので、どんな料理とも相性抜群。皮をむくのが面倒と思っている人は、さといもの両端を切ってラップで包み、電子レンジで加熱すると簡単にむけます。伊予美人を見つけたらどうぞ味わってみてください。
(取材:2018年11月中旬)

●JAうま
【伊予美人】生産概要
生産者:400名
栽培面積:約92ヘクタール
出荷量:約2,000トン(2018年実績)
主な出荷先:京阪神、関東、愛媛

「一度食べたら忘れられない味ですよ」と、JAうまの妻鳥芳紀さん

2019.11更新