【鹿児島県指宿(いぶすき)市】

甘くてほっくり、風味豊かなそらまめ

文◎編集部 撮影◎磯野博正

日本列島を北に行くにつれ、四月豆、五月豆、夏豆などと採れる時期により呼び名が変わっていくそらまめ。
その日本一の生産量を誇るのが鹿児島県です。
関東地方での旬は5~6月ですが、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた鹿児島県指宿市では、それより半年以上も早い11月下旬に出荷され、走りものとして食卓を賑わせます。
1月下旬、一足先に収穫を迎えたJAいぶすきを訪ねました。

露地栽培で早出し、長期出荷

新品種の試験栽培も手掛ける、栽培歴40年以上の高崎知一部会長

 薩摩半島の南東端に位置する指宿市は、年間平均気温が18度でほとんど霜の害がないという温暖な気候がそらまめの栽培に適し、鹿児島県全体の生産量の3分の2を占める中心産地です。
「例年11月下旬から収穫が始まります。それもハウス栽培ではなく全量露地栽培です。今年は暖冬の影響もあって、出荷のピークが例年に比べて早まりそうです」と、状況を説明してくれたJAいぶすき東部経済課の飯伏満博次長。
 そらまめは一定期間寒さにあわないと花芽がつきません。冬を越さず早く出荷するために、発芽した種を冷蔵庫に入れて冬を疑似体験させます。この処理をJAの冷蔵施設で一手に担うことにより、生産者はマルチを張る作業など植えつけ準備に専念できるといいます。

「低温処理した種子を9月上旬から10月上旬にかけて時期をずらしながら3~4回に分けて植えつけることで、11月下旬から4月まで長期間出荷ができます。植えつけの時期はちょうど台風の時期と重なるので、それが一番の心配事です」と、JAいぶすき東部地区そらまめ専門部会の会長を務める高崎知一さん。風で苗が折れたり、海が近いので塩害も懸念されます。生長に合わせて支柱を立て、さらに防風ネットなどの設置、病害虫の防除など手間のかかる作物ですが、長年培った栽培技術で高品質生産を目指しています。

県のお墨付きブランド

下に向けて軽くひねれば簡単に収穫できます

 鹿児島湾に向かってそらまめ畑が広がり、太陽の光を浴びてスクスクと育っています。枝の下の方から花が咲き、上へ次々に実がなります。莢が空に向けてニョキニョキと突き出て、実が熟すにつれて次第に垂れてきます。
「実が太って垂れてきたら収穫時。ハサミは必要なくて手でひねってもぎます。この畑はまだ収穫を始めたばかりだから下の方に実がなっているけど、膝から上くらいになるものが一番太くて形のいいものがそろいます」と、高崎部会長。花が咲いてから収穫まで気温にもよりますが40~50日ぐらいかかります。そして肝心なのが日照量。
「南国鹿児島といえども日照不足になると甘味がのらないし、豆も太らない。それに莢が曲がって収穫量も落ちてしまう」とのこと。

【写真左】ひと莢ひと莢、丁寧に選別し、箱詰めしていきます【写真右】出荷箱の左に「かごしまブランド」、右には「かごしまの農林水産物認証制度」のマークが入っています

 コンテナに詰めてJAの選果場に出荷されたそらまめは、豆の数や外観などを丁寧にみて選別し、箱詰め、出荷されます。そらまめは1莢に豆が3粒以上入ったものがLサイズ、2粒入りがMサイズ、1粒入りがSサイズです。通常は日量20~30トンの出荷ですが、ピーク時には70~80トンもの出荷量となります。
 JAいぶすきのそらまめは60年もの栽培の歴史があり、1998年に「かごしまブランド」として認定され、2007年には安心・安全の鹿児島県独自の認証制度「かごしまの農林水産物認証制度」(K-GAP)の認証も受け、品質は県のお墨付きです。

 最後に「そらまめの食べ方は、フライパンで1~2分蒸し焼きにするのが簡単でおすすめです」と、JAいぶすきの飯伏次長からのアドバイス。ゆでても、グリルで莢ごと焼いても美味しいそらまめが、さらに手軽に美味しく味わえます。風味豊かで大粒で甘く、ほっくりとしたそらまめを一粒、もう一粒、また一粒と、食べ始めたら止まらなくなってしまうこと請け合いです。
 美味しいのは3日間といわれるほど鮮度が命。買ってきたらすぐ調理して食べたいですね。

●JAいぶすき
【そらまめ】生産概要
生産者:約420名
栽培面積:約102ヘクタール
出荷量:約1800トン
主な出荷先:関東、中京、関西

「蒸し焼きなら手間なく簡単に美味しく食べられます」と、JAいぶすきの飯伏次長

2020.04更新

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