【岩手県盛岡市】

鮮度抜群!パリパリ食感の きゅうり

文◎編集部 撮影◎磯野博正

きゅうりの名前は、胡(西の方)から伝えられた瓜ということから「胡瓜(きゅうり)」、完熟した実が黄色いので「黄瓜(きうり)」に由来しているといわれています。
現在は未熟で皮が柔らかいうちに収穫しているので、緑色の爽やかなイメージが一般的です。
年中出荷されているきゅうりですが、夏本番を迎え、中心産地が東北へと移ります。夏の太陽をたっぷり浴びた旬のみずみずしいきゅうりを求めてJAいわて中央を訪ねました。

旬の7~8月が出荷のピーク

「生長に合わせた肥培管理が大切」と、キュウリ専門委員会の長沼直文委員長

 岩手県のほぼ中央部に位置するJAいわて中央。管内を北上川が流れ、内陸性の気候のため特に初夏から秋にかけての昼夜の温度差が大きく、日射量も多いので、きゅうりやトマト、ピーマン、ズッキーニなど夏秋野菜の作つけが多くなっています。なかでもきゅうりは県内有数の生産量を誇ります。
「遅霜の心配がなくなる5月下旬頃から植えつけが始まり、7月・8月に出荷最盛期を迎える露地栽培が中心です。その前後に無加温の雨よけハウスによる促成・抑制栽培で作つけ期間を延長する生産者もいて、10月頃まで出荷が続きます」と、JAいわて中央営農販売部園芸特産課の藤原裕介さん。

 きゅうりは生育時に水が大量に必要な一方で雨には弱く、土の過湿や通気が悪いと病気になりやすいなど繊細な作物で、長期間収穫を続けることは容易ではありません。「植えつけから約1ヵ月で収穫を迎えます。主枝から子枝、孫枝までうまく伸ばしてたくさん実をつけさせるためには、天気や生長に合わせて、木に負担をかけないような水やりと追肥が肝心です。実が葉の影にならないように、また、通気性をよくするために、葉と枝をこまめに摘みながら収穫をすすめるなど、手間を惜しまない毎日の管理が重要です」と、JAいわて中央野菜生産部会キュウリ専門委員会の長沼直文委員長。

 病害虫の被害や冷夏などの天候不順により生産量が落ち込むなど、さまざまな困難を乗り越え、きゅうり産地として40年近くの歴史を築き上げてきました。
「毎月、生産者同士が集まって情報交換したり、JAや種苗会社などから講師を招いて研修会を開いたりして技術の向上をはかっています」と、長沼委員長。「実は今日の午後からこの畑で研修会なんですよ」とのこと。畑で直に状況を確認し、情報や技術を共有することで、より高品質なきゅうりの生産を目指しています。

1日2回収穫。鮮度保持しながら店頭へ

【写真左】蜂が花から花へと飛んで受粉を促します【写真右】最盛期には朝と夕方の2回収穫

 きゅうりは風に揺られると実がスレて傷がつくので、内側に実がなるようトンネル型の支柱で栽培されています。蜂が花から花へと受粉を促し、次々と開花して、まさに最盛期。実は1日に2~3cmも伸びるので朝と夕方の2回収穫します。
「日中の暑い時間帯に収穫すると傷みやすいので、朝5時頃からと夕方、涼しくなってから収穫します。朝は収穫して作業場に運び、選別・箱詰めして10時までにJAの集荷施設に出荷します。出荷の中心となるMサイズは長さが21cm前後、曲がりは1.5cm以内などの規格に合わせて選別、箱詰めするので時間との勝負」と、長沼委員長。続けて、JAいわて中央の藤原さんは、「きゅうりは鮮度が命です。収穫に合わせて集荷施設も午前と夜の2回受付を行い、予冷施設で冷やした後、保冷車で鮮度を保持しながら出荷します。いわゆるコールドチェーンを築いて、品質を保っているのです」と、説明してくれました。

出荷の段ボール箱の隅にラインが引いてあり、ここできゅうりの曲がりを確認して箱詰めします。作業効率アップの一工夫です
曲がっている摘果品のきゅうりは「もぎりっこ」のネーミングで出荷。漬物にピッタリサイズで人気です

 夏の日差しをたっぷり浴びて育った露地栽培のきゅうりはみずみずしくて色が濃く、パリパリとした歯切れのよい食感と味、そして香りも断然違います。サラダや漬物などにしてよく食べられますが、皮の緑色の部分にはカロテンが含まれ、油に吸収されやすいので、炒め物に利用するのもおすすめです。
 発汗で消耗した身体には、ビタミンCやカリウムなどを補給し、体を冷やす作用もあり、暑い夏にはもってこいのきゅうり。岩手など東北6県のきゅうり産地では、「キュウリビズ」キャンペーンを推進しています。これから本番を迎える夏こそ、熱中症対策にきゅうりを食べましょう。
(取材:2019年7月下旬)

●JAいわて中央
【きゅうり】生産概要
生産者:約280名
栽培面積:約28ヘクタール
出荷量:約1960トン(2019年度実績)
主な出荷先:岩手県内、東京、神奈川など

「パリパリ食感が全然違うので、ぜひ一度食べてみてください」と、JAいわて中央の藤原裕介さん

2020.07更新