【新潟県佐渡市】

種なしで甘く濃厚な味わい おけさ柿

文◎編集部 撮影◎磯野博正

新潟の秋を代表する果物といえば「おけさ柿」が有名です。
佐渡島の民謡「佐渡おけさ」から名付けられた種なしの渋柿で、渋抜きをしてから出荷されます。
毎年売り切れ必至の人気の秘密は、種がないのでそのまま食べやすいこと、そして、柔らかくとろけるような食感、甘く濃厚な味わいにあります。
栽培をはじめてもうすぐ90周年を迎える県内一の産地、JA羽茂(はもち)を訪ねました。

八珍柿からまるはブランドへ

「柿本来の味がすると人気です」と、農事組合法人羽茂果実協会の渡辺茂幸会長

 おけさ柿は新潟県産の種なし柿のブランド名で、主力の「平核無柿(ひらたねなしかき)」と早生の「刀根早生(とねわせ)」の2品種があります。平核無柿は300年ほど前に新潟市で誕生したといわれ、原木が現存し今も実をつけているといいます。佐渡島には1932年に導入されて本格的な栽培が始まり、県内最大の産地となりました。
「種がないことから、当初は越後の七不思議に次ぐ八番目に珍しいものとして、『八珍(はっちん)柿』と呼ばれていましたが、1951年から羽茂産は『おけさ柿』の名前で出荷するようになりました。その後、佐渡以外にも産地が広がり、1966年に新潟県産柿すべてを『おけさ柿』のブランド名に統一しています」と説明してくれた、JA羽茂営農課の渡辺昌彦課長。
 特に90年近い歴史ある「おけさ柿」の最大産地であるJA羽茂は、ブランドの中でもまるは(まるは)の愛称で市場などでも一目置かれています。

【写真左】柿の畑は南向きの斜面にあり、収穫は重労働です
【写真右】畑の近くにある柿集積所に朝7時までに運んでおくと、共同選果場の車が集荷します

 柿の栽培は一年を通して作業が続きます。秋の収穫後はホッとする間もなく、来年に向けた土作りを行い、冬は枝の剪定、春から夏にかけて蕾を間引く摘蕾、実を間引く摘果などを行い、柿の木1本1本丹精こめて育てて収穫を迎えます。
「刀根早生が9月末から10月末頃まで、メインの平核無が10月中旬から11月中旬頃までの出荷となります。ひとつひとつ丁寧にハサミで収穫して、形・大きさ、品質をチェックして選別し、コンテナに詰めて畑の近くの柿集積所に運ぶと、JAの共同選果場のトラックが集荷に回ってきてくれます。選果場まで個人で運ばなくてもいいので、収穫に専念できますよ」と、農事組合法人羽茂果実協会の渡辺茂幸会長。毎年、研修や勉強会などを定期的に開催して、お互いの栽培技術や知識を高め合い、徹底した品質管理を行うといいます。
「果実は成熟してきているのに、温暖化の影響で温度が下がらず外皮が色づかないなど、毎年いろんな変化があるので同じことをやっていては追い付かない。臨機応変に対応する必要があります」と、渡辺会長。
“味よし、色よし、品質よし”のキャッチフレーズのもと、品質には絶対の自信をもってお届けしたいという生産者の熱い思いがまるはブランドを支えています。

渋抜きをしてから選別、出荷

【写真左】一玉ずつ、人の目と機械で厳しくチェックして選別、箱詰め
【写真右】共同選果場内の脱渋施設で30~40時間かけて渋抜きします

 JA羽茂の共同選果場に運ばれた柿は、まずアルコールと炭酸ガスによる渋抜きが行われます。その後、一玉ずつ、人の目と機械でキズの有無や大きさ、重さなど厳しい検査をして規格選別をし、箱詰め、出荷されます。
「キズのあるものなど”ハネ柿”(規格外)は、干し柿などに加工して余すことなく利用しています。12月まで出荷してほしいという声もたくさんありますが、11月上旬頃に雹(ひょう)や霰(あられ)の被害があるので、残念ながら時期的に無理なんですよ」と、JA羽茂の渡辺課長。

【写真右】まるはのマークが入った出荷箱で出荷

 季節限定の果実だからこそ、毎年心待ちにしている人がたくさんいるのです。
 購入後すぐは、程よい食感と甘さが魅力。少し日を置いて柔らかくなると、とろけるような果肉と濃厚な甘さ、豊富な果汁が楽しめます。熟しすぎたら冷凍してシャーベットにしてどうぞ。ビタミンCやポリフェノールがたっぷり含まれているので、風邪予防などこれからの季節にぜひ食べたいですね。どうぞお見逃しなく。
(取材:2019年10月下旬)

●JA羽茂
まるはおけさ柿】生産概要
生産者:約300名
栽培面積:約200ヘクタール
生産量:約4000トン(2019年実績)
主な出荷先:新潟県内、北海道、東京など

「アルコールと炭酸ガスによる脱渋方法は特許をもっています」と、JA羽茂の渡辺昌彦課長

2020.10更新