品種選びに気をつければ栽培しやすい香味野菜。長期保存できて重宝します。
生育適温は15〜20℃で、冷涼な気候を好みます。低温に一定期間さらされると、りん片の分化が始まるので冬越しをさせますが、耐寒性はそれほど強くありません。そこで、地域に合った品種選びが大切です。低温にあたる時間が長い寒地型と短い暖地型の品種があります。
たね球用に市販されているものの中から大きくて形の良いものを選び、球を割って1片ずつにばらし、カビや病変のあるものを除いて植えつけましょう。12月上旬頃までに本葉4〜6枚の大きさに育てて冬越しさせます。暖かくなると休眠から覚めて再び成長を始めるので必ず追肥をしましょう。
茎葉が3分の2程度枯れてきたら収穫時期です。採り遅れると傷むので梅雨入り前までには収穫を終え、乾燥させてから保存します。
植えつけ
たね球をばらしたりん片は、皮をつけたままでも、むいてもOKです(むくと発芽が早くなります)。深さ5cmの植え穴を作り、尖った方(芽)を上にして立てるように植えつけ、たっぷりと水やりします。畑を黒マルチ(穴あき)で覆うと地温が上がり、冬場の乾燥を防いで根の成長が良くなります。

発芽・芽かき
2~3週間で発芽。草丈が10~15cmくらいになって1株から2本の芽が伸び出していたら、勢いの弱い方の芽をかき取りましょう。

追肥
春先に茎葉が再び伸び始めるので、その少し前に化成肥料(1m2あたり8-8-8なら100g、14-14-14なら50g程度)を施用します。追肥が遅れると茎葉が軟弱になり、病気が発生しやすくなって収穫後の保存性も悪くなります。

花芽摘み
4~5月頃になると、トウ(花芽)が伸びてきます。そのままにしておくと球が太らず株が弱ってしまうので、やわらかいうちに摘み取ります。摘み取ったトウ(ニンニクの芽)は炒め物などにして食べられます。

収穫
ニンニクは茎葉に蓄えた養分を球に送りながら枯れていく性質があります。そこで、葉が黄色くなって2/3ほど枯れ、球が太ってから収穫します。ただ、採り遅れると球割れが起きるので、1本試し抜きする方が確実です。

乾燥・保存
収穫したニンニクは葉と根を適当に切り落とし、茎を4~5本ヒモで束ねて、雨や直射日光が当たらない風通しの良い場所に吊るし、乾燥させてから保存します。

●土づくりワンポイントアドバイス
指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)
ニンニクは根張りが浅く、肥料の吸収力があまり強くありません。特にリン酸は、土の中で水に溶けにくく吸われにくいため、不足しがちになります。また、酸性土壌を嫌います。そこで、リン酸と石灰(アルカリ分)の補給を兼ねて、たね球を植えつける2週間以上前に、熔燐(ようりん)を1m2あたり100g施用します。同時に完熟堆肥1kg(前作で施用していれば不要)を散布し、深く耕しておきましょう。
元肥は植えつけの1週間前に、化成肥料(1m2あたり8-8-8なら100g、14-14-14なら50g程度)を散布し土に混ぜ込みます。
●ニンニクの栽培スケジュール
(プランターでも畑でも栽培できます)
