トマトとナスは気温が低いと花粉の機能が低下し、花が咲いても着果しません。トマトは1段花房が着果しないと、草勢が強くなりすぎ、その後の着果も不安定になります。ナスは受精しないと落花したり、着果しても果肉が硬い石ナス果になってしまいます。
ホルモン処理を行うと、着果や生育が安定し、早くから良質な果実を収穫できるようになります。
トマトとナスで一般的に利用されている着果促進剤は、オーキシンという植物ホルモンの一種で、商品名はトマトトーン(4-クロロフェノキシ酢酸)です。本剤を使用する場合の処理法を見ていきましょう。
〇トマト
薬剤は水で希釈し、濃度は20℃以下では50倍、20℃以上では100倍にし、希釈した液はスプレー容器に入れます。1花房で3~4花咲いたら、天気の良い日に散布します。
ホルモン剤が成長点付近の葉にかかると障害が出ることがあるので、手で新芽を覆うようにして花房を指で挟み、花にだけ噴霧します(写真1)。同じ花に何度も散布すると空洞果になりやすいので、注意してください。
着果しにくい大玉トマトは、第1花房の着果が特に重要です。

〇ナス
夜温が低い6月上旬頃までは着果しにくいので、3~5番花までホルモン処理で着果させると良いでしょう(写真2)。
ナスの場合、希釈倍率は気温に関係なく50倍で、開花した花に向けてたっぷり噴霧します。
トマト同様、天候の良い日に処理し、芯葉にかけないようにします。かけすぎると果形が乱れるので、同じ花に2度がけしてはいけません。

