家庭菜園Q&A

家庭菜園のよくある質問に先生が回答

指導◎川城英夫(元JA全農耕種総合対策部技術主管) イラスト◎かとうともこQ.野菜の科名を知る意味は?

 植物の科名を覚えても、あまり意味がないと思っている人がいるかもしれません。しかし、科を知っていれば、野菜の栽培に役立つことが少なくありません。

〇なぜ、科を知ることが重要か?

 科が同じ野菜は、遺伝的に近い関係にあり、性質が似ています。根から分泌する物質や必要とする肥料成分が似ており、しばしば同じ病害虫の被害を受けます。このように、それぞれの科の特徴(共通する性質)を知ることは、野菜を栽培する上で、たいへん役に立ちます。メリットを挙げてみましょう。


・連作障害を回避する

 ひとつの場所に同じ作物を繰り返し栽培すると、根が土壌病害虫に侵されて生育が悪くなる「連作障害」が発生します。同じ科の作物でも、同様のことが起きます。ナス科の野菜の根には青枯病が、アブラナ科の野菜の根には根こぶ病が発生します。
 科を知っていれば、連作障害を回避するための輪作計画を立てることができます。

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・地上部の病虫害も減らすことができる

 同じ科の野菜には、茎葉に対しても被害を与える共通の病害虫があります(写真1、2)。

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【写真1】セルトレイで多種類の野菜苗を育苗中、アブラナ科のルッコラ(写真上方)とタアサイ(写真下方)だけが、アオムシの食害を受けた
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【写真2】ニンジンを食害するキアゲハの幼虫。同じセリ科のパセリやフェンネルにも被害を与える

 アブラナ科のキャベツには、アオムシが被害を与えますが、キク科のレタスにはつきません(写真3)。トマトの近くに同じナス科のジャガイモを植えると、どちらかに疫病が発生すると伝染します。
 科を知っていれば、地上部の病害虫の被害を減らす作付計画や配置ができます。

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【写真3】アオムシによって葉が穴だらけになったキャベツ。キク科のレタスにアオムシはつかない

・施肥設計に役立つ

 同じ科の植物は、必要とする肥料分や施肥のコツが似ています。アブラナ科の野菜はホウ素の必要量が多いので、元肥施用時にホウ素を含む微量要素複合肥料(FTEなど)を施しておくと安心です(写真4)。マメ科の野菜は、根に寄生する根粒菌が空中の窒素を肥料として使えるようにするので、元肥の窒素を少なめにします(写真5)。

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【写真4】ダイコンのホウ素欠乏症。アブラナ科の野菜は、ホウ素の必要量が多い
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【写真5】エダマメの根に寄生した根粒菌。マメ科の植物には根粒菌が寄生し、空中の窒素を肥料として使えるようにする。エダマメやラッカセイは、元肥の窒素を控えめにする

・台木に使える

 科が同じであれば、接ぎ木できることがあります。スイカは、同じウリ科のユウガオ(写真6)やトウガンのほか、カボチャやニガウリも台木にすることができます。
 防除が難しい土壌病害が発生した場合、同じ科の野菜を台木にして試してみようという発想が浮かびます。

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【写真6】スイカの接ぎ木作業。写真の台木はユウガオだが、ウリ科のトウガンやカボチャなどにも接ぐことができる
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