夏のセルトレイ育苗の注意点は?

指導◎川城英夫(JA全農耕種総合対策部テクニカルアドバイザー)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q夏のセルトレイ育苗の注意点は?

A 8月はキャベツやブロッコリー、ハクサイなどのたねまきシーズンです。これらの葉菜類は育苗して畑に植え付けます。
 育苗方法には、畑の隅に肥料を施してたねをまき苗を作る地床育苗、ポットで苗を育てるポット育苗、そしてセルトレイで苗を育てるセルトレイ育苗があります。
 セルトレイ育苗は、狭いスペースでたくさんの苗を作ることができ、培養土の量も少なくてすみます。同じ野菜の苗をたくさん必要としない家庭菜園では、1つのトレイに、数種類のたねをまくこともできます。
 必要な資材は、培養土、セルトレイ、そして持ち運びやすいようにトレイを入れる水稲用育苗箱があると便利です。セルトレイは、穴数が72~448穴のものがあります。農家では、野菜の種類や育苗時期によってセルトレイの穴数などを変えていますが、家庭菜園では128穴のトレイが使いやすいでしょう。
 セルトレイ育苗は、ほかの育苗方法に比べてさまざまなメリットがありますが、培養土量が少ないので、きめ細かな管理が必要です。特に高温と強い日射がある夏の育苗では苗を枯らさず、徒長させない水やりが重要です。また、害虫が多い時期なので、防虫ネットでトンネル被覆して虫害を防止するとよいでしょう。
 次に、セルトレイ育苗のポイントをイラストと写真でご説明します。

・セルトレイ育苗のやり方
①トレイに培養土をまんべんなく入れ、深さ0.8~1cmほどのまき穴をあけ、1か所に1粒ずつたねをまく。欠株に備え、必要な株数の3割ほど多くまく。
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②上から土をかけ、表面を平らにならすようにして覆土する。土が流れないように水流を弱くして、トレイの底から水がしみ出るくらい水をかける。気温が高い時は、発芽するまで軒下などの日が当たらないところに置く。
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③発芽後は日当たりのよい場所で管理する。
できればコンテナなどの上に置いてトレイ底面の通風をよくすると根鉢が形成されやすくなる。
 雨の日以外は午前中にたっぷり水をやり、晴天日には土の乾き具合に応じてさらに1~2回水をやる。2週間くらいすると肥料が切れてくるので、1週間に1回、液体肥料を希釈して水代わりに与える。
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④植えつける苗の大きさ
セル内で根が巻いて根鉢ができれば植え付けできる。キャベツ(写真1)やブロッコリー、カリフラワー、レタスでは本葉3~4枚、ハクサイ(写真2)では4~5枚が植え付ける目安になる。

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写真1 キャベツの植えつけ苗
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写真2 ハクサイの植え付け苗(根鉢ができている)

2023.08更新

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