家庭菜園・きほんの「基」

防虫ネットの選び方と使い方は?

指導◎川城英夫(元JA全農 耕種総合対策部技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q防虫ネットの選び方と使い方は?

A 野菜栽培に大きな被害を与えるのが虫害です。特に被害が大きいのがアブラナ科の野菜とエダマメです。
 キャベツやブロッコリー、ハクサイ、コカブ、コマツナ、ミズナなどのアブラナ科野菜は、アオムシ、コナガ、ハイダラノメイガ、キスジノミハムシ、ハスモンヨトウ、アブラムシ類などの大好物です(写真1、2)。アブラムシ類は、寄生した植物の汁液を吸い、栄養を奪って生育不良にし、口針からウィルスを媒介してモザイク病を発生させます。エダマメは、花が咲くとどこからともなくカメムシ類が飛来し、子実を吸汁し、莢の中の子実が肥大しない空莢や子実が苦くなるといった被害を与えます。
 このような虫害は、防虫ネットを使用することで未然に防ぐことができます。

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【左・写真1】アオムシに食害されたキャベツ
【右・写真2】アブラムシ類が寄生したハクサイ

〇網目の大きさは害虫に対応したものを選ぶ
 野菜に被害を与える害虫の大きさはさまざまです。モンシロチョウは羽を広げると5~6cmになり、アブラムシ類は体長1~4mm、アザミウマ類は体長1~2mmです。
 野菜の種類によって被害を与える害虫が異なるので、表を参考に害虫の大きさに応じた目合い(網目の大きさ)のネットを選ぶことが大切です。
 被害を与えるのは主に害虫の幼虫で、成虫の飛来を防止できれば虫害を防ぐことができます。したがって、表のネットの目合いは、成虫の侵入を阻止できるサイズを示したものです。また、割繊維不織布(ポリエチレン製などの被覆資材で耐候性や強度に優れ、長持ちする)や寒冷紗を使用しても、資材の目合いに応じて害虫の飛来を防ぐことができます。

表 害虫の種類と防虫ネット目合いの目安
対象害虫
目合い(mm)
コナジラミ類、アザミウマ類 0.4
ハモグリバエ類 0.6
アブラムシ類、キスジノミハムシ 0.8
コナガ、カブラハバチ 1
シロイチモジヨトウ、ハイマダラノメイガ、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、オオタバコガ、モンシロチョウ、カメムシ類 2~4
注1)赤色ネットは0.8mm目合いでもアザミウマ類の侵入を抑制できる。
注2)いずれの害虫も対象としているのはすべて成虫である。アブラムシ類は有翅虫(ゆうしちゅう・羽がある成虫)である。

〇効果的な張り方
 防虫ネットの張り方は、べたがけとトンネル被覆が行われます。
 べたがけの場合、トンネルの支柱が不要なので設置が簡単ですが、ネットと葉が接触していると害虫がネットの上から葉に産卵し、孵化した幼虫が被害を与えることがあります。それでもネットで被覆しないよりかなり防除効果があります(写真3)。
 一方、トンネルにすると、ネットと野菜の間に空間があるので葉に産卵される心配がなく、被害防止効果はべたがけより高く、安定しています(写真4)。

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【左・写真3】割繊維不織布でべたがけして栽培しているコカブ
【右・写真4】防虫ネットでトンネル被覆して栽培するエダマメ

 いずれの被覆方法にしても、たねまき後や苗を植えつけたら、直ちにネットをかけます。
 害虫が侵入しないようにネットの四隅の裾に土をかけるか、地面と裾の間に隙間ができないようにUピンなどでネットの裾をしっかり固定してください(写真5、6)。

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【左・写真5】防虫ネットの四隅の裾に土をかけてふさぐ
【右・写真6】地面と裾の間に隙間ができないようにUピンなどでネットの裾をしっかり固定する

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2024.08更新

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