土寄せとは、どんな作業ですか?
土寄せは、株元に土を寄せる、もしくは畝間の土を畝に盛ることで、培土ともいいます。
根菜類の根部肥大促進、ネギの葉鞘(ようしょう・図1)部を白く長くするためやホワイトアスパラガスの茎の軟白、株の倒伏防止、防寒が主な目的ですが、そのほか畝間に溝ができることで水はけを良くする、畝間の除草効果もあります。
〇土寄せの効果
1.倒伏(風害)を防止する
ダイコン、ニンジンなどは、台風などで株が倒れると、胚軸(根と子葉の付け根をつないでいる軸の部分・図2)が折れたり、曲がり根の原因になります。これを防止するため、強風が吹く前に株元に土を寄せて、倒伏を防止します(図3)。
【左・図2】ダイコンの胚軸
【右・図3】ダイコンの土寄せ
2.根部の緑化を防止する(根が光に当たるのを防ぐ)
ニンジンやジャガイモ、サトイモは根に光が当たると色素ができて緑色に変色します。ニンジンでは肩部が緑色になる青首(写真1、2)になり、ジャガイモでは緑化した部分にソラニンやチャコニンといった毒素ができてしまいます(写真3)。これらを防止するために、土寄せを行います。
【左・写真1】土寄せをしていないニンジン
【中央・写真2】抽根して(根部が地上に出て)肩部に光が当たると緑色(青首)になる
【右・写真3】土寄せ不足でイモが光に当たって緑化したジャガイモ
3.水はけを良くする
畝間の土を畝に盛る土寄せを行うと、土寄せによって畝が高くなり、畝間に溝ができることで、水はけが良くなります(写真4)。
【写真4】土寄せをしたニンジン。畝間の土を寄せて高畝にし、水はけを良くする
4.軟白
根深ネギでは葉鞘部に土を盛って光を遮ると、葉鞘部の軟白化と葉鞘の伸長が促進されます(写真5)。遮光された部分は葉緑素が分解されて白くなり、苦みの減少、繊維の発達が抑えられて柔らかくなり、食味が良くなります。遮光すると茎葉の伸長が速まり、ネギは葉鞘が長く伸びます。
【写真5】収穫期の根深ネギ
植え溝に1~2回土を入れて平らにし(図4の1、2)、それから土寄せを行います。
土寄せは、畝間に伸びているネギの根を切るので、一度に多くの土を盛らず、葉鞘が5㎝ほど伸びるたびに、3~4回に分けて行います(図4の3~6)。
図4 根深ネギの土寄せのやり方