べたがけ栽培の効果と使い方を教えてください
たねをまいた後の畝や作物の上に直接、被覆資材をかけて栽培することを、べたがけ栽培といいます。
被覆資材は、光をよく通す性質と通気性をあわせもつものが使用されるため、換気が不要です。支柱もいらないため、手軽にかけられることが特徴です。
ベたがけ栽培に適するのは、草丈が比較的低い野菜で、コマツナなどの葉菜類、コカブやダイコンなどの根菜類、エダマメやラッカセイなどのマメ科野菜です。
べたがけに使用する資材は、おもに不織布が用いられます。気温が低い秋から春には、吸湿性があり保温性が高い「長繊維不織」というタイプのものが使用されます(写真1)。
【写真1】 たねまき後に長繊維不織布をべたがけをして発芽と初期生育を促す
気温が高い時期は、害虫や風による被害防止を主な目的として、より通気性が高い「割繊維不織布」(写真2)のほか、防虫ネットや寒冷紗が使われます。
【写真2】 コカブに割繊維不織布をべたがけして栽培。おもな目的は虫害防止
〇べたがけの効果
1.発芽と生育を促す、寒害を防止する
べたがけはさまざまな場面で使われますが、その一つが保温による発芽と生育の促進です。草丈の低い葉菜類や根菜類に不織布をべたがけすれば、春のたねまきを早めることができます(写真1)。
また、低温期の野菜の生育促進(写真3)や冬の寒害防止に利用できます(写真4)。
【写真3】 春まきダイコンの発芽と生育促進をするため、長繊維不織布をべたがけ
【写真4】 冬のレタスの寒害を防止するため、割繊維不織布をべたがけ
2.防風・防虫・防鳥
コマツナなどの葉菜類やコカブやダイコンなどの根菜類は、台風前に防虫ネットや寒冷紗などで茎葉が動かないようにべたがけすれば、強風によって茎葉が折れたり傷つくのを防ぐことができます(写真5)。 【写真5】 台風前に防虫ネットをべたがけしたダイコン。べたがけは台風被害の防止に高い効果がある
気温が高い時期には虫害が多発しますが、たねをまいたら直ちに割繊維不織布や防虫ネットでべたがけすれば、虫害を防止できます(写真2)。
エダマメやラッカセイなどマメ科野菜をたねまきしたあと、べたがけをすれば鳥害を防げます。本葉が出たら資材を除去します。