家庭菜園の堆肥の作り方と使い方

指導◎岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q生ごみや枯葉を利用して堆肥を作りたいです。どんな方法がありますか?

A 生ごみや枯葉などは、ほとんどのものが堆肥になります。ただし、生ごみを利用する場合は、塩分や油分が多く含まれるものは適しません。プラスチックや金属の混入にも注意が必要です。枯葉を利用する場合には、広葉樹の枯葉が適しています。マツやスギなどの針葉樹の葉はあまり適しません。
 色々な材料を混ぜ合わせて、水分を60%程度(ギュッと握って手に水分が付く程度)に調整し、出来る限り大きな山(発酵熱が逃げないようにするため、高さ1m程度は必要)を作って堆積します。1週間程度で60℃以上まで温度が上がれば成功です。その後は、2週間に一度切り返して、2か月ほど経ったら、更に1か月に1回ほど切り返しながら、半年ほど熟成させれば完成です。ただし、このような本格的な堆肥作りは、原料の水分調整や、熱が逃げないように大きな山を積むことなどが必要で、家庭菜園ではかなりハードルが高いです。
 家庭菜園向けの簡易な方法として、菜園の片隅で「土の力」を借りて、手頃な大きさの容器の中で堆肥を作る方法を紹介します。
 まずは、ポリバケツ等を用いて容器を作り、畑に設置してください。
①深さが40cm以上の、なるべく大きめの蓋付きの容器を用意する(使い古したポリバケツで良い)。
②容器の底をのこぎりなどで切る。
③10cmほどの深さまで畑に埋めて、雨水が浸入しないように周りを踏み固め、蓋をかぶせる(コンポスターと呼ばれる、釣鐘を伏せたような形の専用容器も市販されています)。
 容器の準備ができたら、十分に水分を切った生ごみや、枯葉を容器の中に入れ、材料が隠れる程度に上から土をかぶせます。1~2週間に1回かきまぜながら、生ごみと土とを同様に投入し続け、容器がいっぱいになったら全体を大きくかきまぜて、蓋をしたまま2~4か月ほど放置(気温が低いほど長めに)して熟成させると堆肥が完成します。
★この方法で堆肥を作成する場合は、以下の点に注意が必要です。
①容器の設置場所は、水はけや日当たりが良いところが適す。水はけが悪い場合には、容器の周りに排水溝を掘り、水の逃げ道を確保する。悪臭やハエの発生は避けられないことにも留意して、設置場所を選ぶ。
②容器に入れる生ごみは、水分を十分に切る。水分が多いと必ず失敗する。乾いた落ち葉を混ぜると水分調整に役立つ。
③かぶせる土は乾いた土を利用する。雨の多い季節には、予め乾いた土をビニール袋などにストックしておくと良い。夏は悪臭やハエの発生が多いので、多めに土をかぶせる。冬は少なめでも良い。
★堆肥の使い方
 完成した堆肥は、たねまきや植えつけの2週間以上前に散布し土と混ぜて、畑に馴染ませてください。原料の生ごみは栄養豊富なので、堆肥には肥料分が含まれます。それを勘案して、元肥に施用する化成肥料の量はほぼ半減が可能です。生育状況を見ながら追肥を施用してください。ダイコンやコカブなどの根菜類を栽培する場合は、たねまきの1~2か月以上(低温期ほど長め)前に、堆肥を散布して下さい。堆肥散布からたねまきまでの期間が短いと、根菜類は岐根や裂根などが発生し品質が低下します。

img_01

2020.09更新

閲覧数ランキング