作付面積がもっとも多いお米は、1956年に誕生した超ロングセラーの「コシヒカリ」です。もちもちした粘りと甘み、つややかで香りがよいなどの食味が支持され、全生産量の約3割を占めています。もちろん、気候や土壌、水質、栽培方法などにより、同じコシヒカリでも、産地によって食味が異なります。多くの県で栽培されており、「山梨県産梨北米こしひかり」など、それぞれ産地の銘柄として数えられます。
作付割合の2~4位は、コシヒカリを親に品種改良されたひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまち。コシヒカリとこれらで全生産量の半分以上※²になり、コシヒカリ系の人気ぶりがうかがえます。
一方で、新潟県では、うるち米の作付面積の7割がコシヒカリでしたが、食の多様化へのニーズと気象災害や地球温暖化などによる収量・品質低下を回避することを目指して、品種改良が進められてきました。そうしたなか、2017年に暑さに強い品種「新之助」が誕生。コシヒカリとは異なるおいしさで、粒がほぐれやすいのに粘りが強く、甘みのあるお米です。同じく2017年に石川県で誕生した「ひゃくまん穀」は、コシヒカリより2週間ほど遅く収穫する晩生品種で、農作業のピーク分散を可能にしました。粒が大きく、お米のうま味がしっかりと感じられます。
右上の甘くもちもちしたお米(福、笑い・あきたこまち)は、冷めてもおいしいので、おむすびなどに向いています。食べ応えがあり、甘みのあるお米(だて正夢・梨北米)は、肉系の洋食におすすめ。左上の甘くしっかりしたお米(新之助・ひゃくまん穀)は、魚のうま味を引き立ててくれるので和食向き。左下のさっぱりしっかり系[富富富(ふふふ)・青天の霹靂(へきれき)]は、パラパラ食感に仕上がるのでチャーハンやパエリアなどに最適で、サラサラとしたスパイスカレーにもよく合います。ルウカレーなら、右下のあっさりもちもち系(あきろまん・風さやか)がおすすめです。
メニューに合わせてお米のタイプと料理の相性を並べましたが、日本のお米は、どんなおかずにも合うので、自分好みのお米を選ぶことが一番です。たくさんの種類のお米があるので、いろいろ試して、この秋はこれぞ自分好みというお米を見つけてみてください。
※1 農林水産省「令和5年度産産地品種銘柄一覧」より
※2 (公社)米穀安定供給確保支援機構「令和3年産水稲の品種別作付動向について」より