ユネスコ無形文化遺産に登録された【協同組合】

共助の精神で活動する「協同組合」は、次世代に引き継ぐべき人類の財産です

昨年11月に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「協同組合」を無形文化遺産に登録したのをご存知でしょうか?
日本は全国で約6500万人の組合員が活動する、世界でも有数の協同組合社会です。
なぜ、今、世界中が協同組合を盛り上げる動きを見せるのか?
協同組合の価値や役割を改めて考えてみましょう。

ユネスコの無形文化遺産には、2013年に「和食・日本人の伝統的な食文化」が登録され、和食の魅力が世界中に発信され、和食ブームとなったことが記憶に新しいですね。その他、能楽、人形浄瑠璃、歌舞伎、雅楽、結城紬、和紙、山・鉾などが登録されています。
 2016年11月30日、ユネスコは「協同組合の思想と実践」を無形文化遺産に登録しました。協同組合は、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の精神で、同じ思いや願いを持つ人たちが助け合い、力を合わせ、自分たちのくらしをよくしていこうという相互助け合いの組織です。株式会社は利益の追求が目的ですが、協同組合は組合員のくらしの向上を目指しています。
 19世紀のヨーロッパ産業革命のもとで生まれたこの協同組合の思想は全世界に広まり、日本でもほぼ同時期の江戸時代後期、天保の大飢饉で苦しむ中、二宮尊徳が「報徳社」という農民扶助のための組織を作り多くの人々の命を救いました。その後、社会運動家の賀川豊彦が社会福祉の大切さを説き、社会保険制度の実現に努力し、人々を貧困から解放するために「共済」事業を始め、近代日本に「協同組合」が浸透する大きな役割を果たしました。こうして、古くから助け合いの精神を持っていた日本は、現在、約3万3000にものぼる協同組合が組織され、加入している組合員は全国で約6500万人といわれる、世界でも有数の協同組合が活動する社会となっています(下図参照)。
 無形文化遺産登録決定にあたりユネスコは、協同組合を「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」としています。全世界で展開されている協同組合のアイデアと実践が、人類の大切な財産であり、受け継ぎ発展させていくことが求められていることを、国際社会が評価したものと考えられます。
 グローバル経済がもたらした貧富の格差は世界各国で問題となっています。米国でも2011年に上院が協同組合を促進する決議を満場一致で採択するなど協同組合を盛り上げる動きがみられます。しかし日本ではユネスコに登録されたことも取り上げられず、知らない方も多いかもしれません。一人ではできないことを、みんなの力で実現する協同組合は、時代も国も超え重要な役割を果たしています。

なるほど情報

地域とくらしを支えるJA
 農業協同組合(JA)は農業にかかわるサポートはもちろんのこと、地域のライフラインを担っています。過疎地や震災時には「移動金融店舗」が巡回して金融サービスを行う他、食料品・日用品も積み込み、銀行とスーパーマーケットの機能を発揮している例もあります。
 また、JA職員は地域の担い手でもあるため、消防団に参加したり、自宅訪問や声掛け運動でお年寄りのケアを行い、組合員や家族が安心して暮らせるよう「見守り活動」などを始めています。JAならではといえるのがファーマーズマーケット(直売所)です。現在、全国に約1700ヵ所展開し、地産地消に役立っています。こうした活動は地域にお金を循環させ、地域経済を支えることにもつながっています。
 企業は儲からないと撤退してしまいますが、JAなど協同組合はその地域を離れません。国などの公の制度では補いきれない部分を協同の力で支えていく、こうした地域に密着した活動は、地域のことを熟知し、地域と一体となって人々を支える協同組合だからこそ取り組めることなのです。

2017.10更新