多様なニーズに応え効率化をはかる【野菜の出荷規格】

野菜の出荷規格は、生産・流通の合理化を促進し消費者の利便性を高めています。

野菜の出荷用段ボール箱に、S、M、Lなどの階級や、「A」や「B」などの等級が書いてあるのを見たことはありませんか。これが産地で決められた出荷規格です。
出荷規格は、産地の青果物の評価を高め、形や大きさが揃っていると物流面では梱包・運搬しやすいなどの利点があります。
一方、出荷の手間やコストを考え、規格の簡素化もすすめられています。

 スーパーには大きさ、形、色などが揃い、キズなどの傷みもなくきれいで美味しそうな野菜が整然と並んでいます。生産者が良品出荷に向けて努力を重ね、それぞれの野菜ごとに決められた出荷規格に合わせて選別・出荷しているからです。
 出荷規格は、大きく等級(形状や色つやなど品質、形)と階級(サイズ、重量)に分けられ、包装方法まで揃えて出荷されています。たとえばある県のきゅうりの出荷規格は、A等級では曲がりの程度が2cm以内、4cm以内だとB等級になります。1本の長さが23cm以上25cm未満で重さが120g以上140g未満でMサイズ、21cm以上23cm未満、100g以上120g未満でSサイズ。さらに、5kgの箱詰めがMサイズで42本、Sサイズが52本とぴったり入る本数が決められています。形や大きさが揃っていると、ムダなく箱詰めができて作業効率もよく、箱のなかに遊びがないので輸送中に揺れて商品が傷んでしまうこともなく、梱包や運搬のしやすさはトラックの積載効率を上げ、流通の合理化につながります。
 一方、生産者は、形や大きさが整ったものから高く売れるという消費実態があるため、出荷規格にあった野菜を生産する努力をします。産地で出荷規格を統一することにより、品質のバラつきがなく商品性が向上すれば、市場や出荷先との取引も円滑になり、農業所得がアップして経営の安定につながります。
 過去には競合する他産地より高く売るために独自の厳しい出荷規格で差別化をしたり、販売先からの多様なニーズに応えて規格の細分化が進んだこともありました。しかし近年は、生産者の高齢化、後継者不足などにより生産基盤の維持が困難になるなか、形や大きさにこだわるあまり農家の手間が増え、手取りが減っては本末転倒となってしまうため、JAグループでは様々な面から規格の簡素化に取り組んでいます。
 たとえば、販売先(生協やスーパーなど)との協議により販売手法を工夫し、通常の市場流通品より規格の幅を大きくとった「不揃い規格」などの規格で流通しているものもあります。また、野菜出荷量の約6割を占める惣菜などの業務用で求められるのは重量や大きさなど加工作業性を重視した規格のため、極力規格を簡素化し、労働コストや包装資材費など出荷コストの削減や省力化をすすめています。
 料理によって、好みによって、選ぶ野菜は多種多様です。また野菜を買う場所もスーパーや生協、ネット通販、直売所など販売チャンネルは多様化しています。スーパーなどで出回らない珍しい野菜も比較的簡単に購入できます。選択肢は増えていますが、野菜の消費量は、すべての年代で摂取目標(一人当たり一日350g)に達しておらず、特に20~30歳代では241gと不足が目立っています。日本の野菜の生産技術、流通のしくみは世界に誇れるレベルです。商品選択の幅も増えているので、もう一品、もう一皿、野菜料理を食べて消費量が増えることを願っています。

きゅうりの出荷規格の例。A等級(上)とB等級(下)の箱詰め例 です

2017.12更新