食べられるのに捨てられる【食品ロス】前編

食品ロス削減は日本だけの問題ではなく、世界の食料危機、環境問題にも影響しています

食べ残しや売れ残りなど、食べられたはずの食べものが捨てられてしまう「食品ロス」。
日本では年間約621万トンもの食品ロスが出ています。この量は日本人1人当たり毎日茶碗1杯分の食べものを捨てていることに相当します。食料自給率の低い日本は大量の食べものを輸入しながら、その一方で大量廃棄をしています。
食品ロス削減のため、私たちは何ができるのか、2回シリーズで考えてみましょう。

foodloss

 日本の年間の食品廃棄量は食料消費全体の3割にあたる約2800万トンにものぼります。この中で、食べ残しや売れ残り、賞味期限を超えたものなど、本来食べられたはずなのに捨てられてしまった「食品ロス」は約621万トン。これは飢えに苦しむ人たちに向けた国連(WFP)による世界全体の食料援助量約320万トンの2倍に相当します。
 人類の9人に1人、約8億人が栄養不足といわれ、栄養不良で5歳を前に命を落とす子どもの数は年間500万人というなか、世界でも年間13億トンの食料が廃棄されているといいます。食べものを捨てるということは、食べものそのものだけでなく、生産に費やされた土地や水などの限られた資源や労力までムダにすることにほかなりません。食品ロスは、世界の食糧問題だけに止まらず、ゴミ処理や地球温暖化(省エネ、CO削減)など環境問題にまで及びます。2015年の国連サミットでは、2030年までに世界全体の1人あたりの食品廃棄量を半減することを目標にした「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、国際社会共通の課題となっています。
 弁当、総菜などの売れ残りを大量に捨てているのはコンビニや小売店だと思っている方も多いでしょうが、食品ロスの内訳は事業系339万トンに対し、家庭系が約282万トンと、半分近くが家庭から排出されています。
 事業系では、ラベルの印刷ミスなどで出荷できなかったものや規格変更で撤去されたもの、期限切れで販売できなくなった在庫品、飲食店で食べ残した料理など、食品の製造・流通・販売といった様々な過程でロスが生じています。
 食品流通業界全体で食品ロス問題を検討する部会が設置され、返品や廃棄期限の見直しや賞味期限の見直し、それにともなう安全性やリスク検証などがすすめられています。飲料や菓子など賞味期限が3カ月を超える食品は、メーカーが自主的に表示していた「年月日」表示を「年月」表示に切り替え、流通廃棄を削減する動きも出てきています。
 ほかにも品質に問題のない規格外品や余剰在庫を、フードバンク活動を通じて福祉施設などに寄付する取り組みや、食品の容器や包装を改良することによって賞味期限を延ばすなど、食品ロスを減らすため様々な取り組みが広がっています。
 平成28年度の日本の食料自給率は38%と、前年より1%減りました。海外から食料を大量に輸入しながら廃棄している日本と、食料援助を必要としている人たちがいる現実。まずは食品ロスについて知り、関心をもつことが大切です。食べものを意識して「使いきる」「食べきる」ことから始めてみませんか。

なるほど情報

宴会で料理を残さず食べる
「3010(さんまるいちまる)運動」

新年会や歓送迎会など、何かと宴会が多い季節です。飲食店で発生する食品ロス量は国内全体の約5分の1に相当します。提供された食事のうち、食堂やレストランでは約4%、宴会では約14%が食べ残しとなっています。そこで、環境省や農水省では宴会時の食べ残しを減らすキャンペーン「3010運動」を推進しています。この運動は、宴会開始30分は席を立たずに料理を味わい、お開き10分前には自席に戻り、残った料理を食べるというもの。簡単なルールなのに効果絶大、幹事の呼びかけで食べ残しが4分の1に減った例もあります。
せっかくの料理も残せばゴミになってしまいます。さっそく次の宴会から「3010運動」を実践して、食べ残しゼロを目指しましょう。

農林水産省:外食時の「おいしい食べきり」全国共同キャンペーン

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/tabekirican2016.html

参考:消費者庁「食べ物のムダをなくそうプロジェクト」
http://www.caa.go.jp/adjustments/index_9.html

2018.01更新