国内の食料生産能力は?【食料自給率】前編

国内生産による食料供給能力に不安…
先進国のなかで食料自給率は最低レベルです

皆さんは日本の食料自給率について考えたことはありますか?食料自給率は国内の食料消費を国産でどの程度賄えているかを示すもので、国の政策の指針として、食料・農業・農村基本計画に目標を定めて向上させるとあります。農林水産省の昨年8月発表では、2016年度はカロリーベースで38%と前年から1ポイント下落しました。ひと口に「食料自給率」といっても見方やとらえ方がいろいろあります。前・後編に分けて考えてみましょう。

 食料自給率の示し方には、単純に重量で計算することができる品目別自給率と、食料全体を供給熱量で換算するカロリーベースの自給率、食べものを金額で換算する生産額ベースの自給率があります。食品の重量からカロリーと金額で換算したうえ、各品目を足して算出します。畜産物については国産であっても輸入した飼料を使って生産された分は、国産には算入していません。
 自給率の高い米の消費が減り、飼料や原料を海外に依存している畜産物や油脂類の消費が増えたことから、1965年には73%あった日本のカロリーベースの食料自給率は下がり続け、ここ20年、40%前後で低迷してきました。2016年度の38%は米の大凶作でタイ米を緊急輸入した1993年度に次ぐ史上2番目の低さ。政府が2015年に決めた45%という食料自給率の目標には遠く及びません。北海道での大雨による畑作物の不作が影響したということです。一方、生産額ベースの自給率は、米や牛肉の値段が上がったことを背景に2ポイント増の68%になっています。
 諸外国のカロリーベースの自給率はどうでしょうか。カナダ、オーストラリアは200%を超え、米国、フランスも120%超、ドイツ95%、英国63%と高い水準を堅持しています。基礎食料である穀物自給率では、さらに日本は28%と劣っており、人口1億人以上の国で30%を切る国は日本しかありません。
 内閣府が行った世論調査(2016年)で、将来の食料供給に不安があると答えた人は83%、その理由は「国内生産による食料供給能力が低下する恐れがあるため」と回答しています。休耕田を復活させ、担い手が安心して農業生産に取り組み、農村で暮らし続けられるような環境を整えることが急務といえます。
 食料の生産と供給は、地域の条件に合った多様な生産を行うことにより、農地や水の利用、畜産を通じた資源の循環、沿岸の豊かな漁業生産などが食生活を豊かにし、環境を守る重要な役割を担っているのです。国民は安全な食料の生産・供給を求めています。
 国産の農産物が選択されることにより、食料自給率は上がります。毎食もうひと口(17g)ごはんを多く食べれば、カロリー自給率は1ポイント上がるといわれています。その年の作物の豊凶でも上下します。天候に左右されるのは避けられませんが、30%台という水準の低さ、2017年の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」で、前年にはあった「食料安全保障の確立」の文言が消えていることなどが懸念されます。
 次号では国内の食料の潜在的な生産能力を示す「食料自給力」について考えます。

なるほど情報

輸入依存度が高く、食料難のリスクも
日本は世界第2位の農産物純輸入国です。輸入先はアメリカが1位で24.5%、以下中国、オーストラリア、タイ、カナダの5ヵ国で全体の約6割を占めています。特定の国への輸入依存度が高ければ、当然リスクも大きくなってしまいます。
スイスの食料自給率(カロリーベース)は50%ですが、欧州の中では下位です。2017年9月に食料安全保障を憲法に明記するかどうかを問う国民投票が行われ、圧倒的な賛成で可決されました。自給率38%の日本の状況はスイスより厳しいというのに食料安全保障の議論は進んでいません。世界人口は増加を続け、食料が足りなければ輸入で、という時代は終わりつつあります。
安全な食料の生産・供給を願うのであれば、一人ひとりが真剣に考える時期がきています。

2018.03更新