牛乳は国産100% 【牛乳】

日本の牛乳を、日本でつくる意味を
みんなで考えてみませんか

牛乳は母牛がもたらす恵みであり、生鮮食品なので長期保存や備蓄ができません。新鮮で安全安心な牛乳を安定供給するため、酪農家は毎日休むことなく、牛の世話をし、乳を搾り続けています。JAグループも全力でサポートしていますが、厳しい経営環境や後継者不足などで、酪農家の数は減る一方。このままでは日本の牛乳が飲めなくなってしまう日が来るかもしれません。

 昨年の北海道胆振東部地震では、大規模停電と断水によって道内の乳業工場が操業を停止し、酪農家は断腸の思いで生乳(搾ったままの牛の乳)を廃棄しました。牛乳や、チーズやバターといった乳製品は食卓に欠かせない食品ですが、近年、その消費量に国内の生産量が追いついていないのが実態です。
 背景には、日本の酪農家が減り続けていることがあります。2018年の酪農家戸数は1万5700戸で、10年間で8700戸(約36%)も減りました。酪農は、やりがいはありますが、決して楽な仕事ではありません。牧場では365日、朝・夕の1日2回、乳搾りをし、餌やりや牛舎の掃除なども行います。牛の餌や燃油の価格高騰、乳搾りや牧草の栽培に使う機械の更新に必要なお金なども、経営に重くのしかかります。さらに、自然災害や異常気象の被害を受けるリスクもあります。こうした経営の難しさに加え、高齢化が進み後継者がいないことなどから、酪農家は減り続けているのです。
 そんな厳しい状況の中でも、暮らしに欠かせない牛乳を消費者の食卓に届けるという仕事への誇りと情熱を胸に、毎日、牛と向き合い、生産に励んでいる酪農家たちは各地にいます。ですが、生乳は工業製品のように、簡単には供給量を増やせません。母牛は子牛を生んで初めて、お乳を出します。そのため、乳が搾れるようになるまでには産まれてから2年以上かかるのです。
 そして、生乳はとても傷みやすい生鮮食品です。搾った乳はすぐに冷やして低温に保ち、製造・流通の各段階でも念入りに品質検査を行い、安全安心な牛乳が届けられているのです。こうした製造・流通を担う乳業メーカーや運送会社も、コストの上昇で経営が圧迫されています。
 酪農には、農村地域で資源を循環させる中核としての役割もあります。例えば、牧場からでる牛の糞を堆肥として米を育て、稲わらは牛の餌として牧場に戻り、そしてまた、堆肥になるという循環型農業を生み出しています。さらに、耕作放棄地で牧草を育てたり牛を放牧することで、国土の保全や、里山の美しい景観を守る役割も、酪農は担っているのです。
 4月から、牛乳の店頭価格が上がりました。その背景として、生乳の取引価格が引き上げられたことがあります。厳しい経営環境にある酪農家が、収入を確保できるようにして、生乳の生産を立て直そうというものです。また、生乳だけではなく、紙パック等の資材費や物流費などのコスト増が、牛乳の店頭価格に反映されるかたちになりました。
 日本の牛乳は日本でつくりたい――。
美味しい牛乳を、誰でもいつでも買うことができる。そんな当たり前の日常が続くように、酪農や乳業の関係者だけでなく、小売業者や消費者のみなさまにも、日本で酪農が営まれていることの意味を、これからも一緒になって考えていただけたらと思います。

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6月1日は「牛乳の日」

2017年度の日本の牛乳・乳製品の消費量は、生乳換算で1217万トン。これに対し生乳生産量は729万トンで、不足は乳製品のかたちで輸入に頼っています。
世界の牛乳・乳製品の生産量は約8億トン(生乳換算)ですが、ほとんどが自国内で優先的に消費され、輸出されているのは1割にも満たない量です。輸出国はオセアニア、米国、EUなどに限られ、干ばつなど異常気象で生産量が減少すると、国際市場はひっ迫し、価格は高騰します。すでに国際価格の水準そのものも上がっています。牛乳や乳製品のような基礎的な食料は輸入に頼らず、自分の国で生産していくことがとても大切です。
6月1日は「牛乳の日」、6月は「牛乳月間」です。この機会に、改めて国産の牛乳のさまざまな価値を考えて、応援してもらえると嬉しいです。

参考資料:(一社)中央酪農会議「まもりたい日本の牛乳」
http://www.dairy.co.jp/

2019.05更新