日本酒造りに適した米【酒造好適米】

酒造り専用米として
100品種以上が栽培されています

米を原料とする日本酒の起源は、水稲栽培が始まったとされる約2000年前にさかのぼります。
食べて美味しい米があるように、日本酒を醸すための特別な米があります。
その中でもとりわけ醸造適性の高いものを「酒造好適米」と呼びます。
全国で100品種以上の酒造好適米が栽培され、香りや味わいなどバラエティ豊かな日本酒が誕生しています。

img_extra_l

 江戸時代以降、米の品種改良が行われるようになり、明治に入ると「雄町」や「神力」「愛国」「亀の尾」など収穫量や耐冷性に優れた食用の在来品種が開発されます。日本酒は米のでんぷんを麹が分解し、できた糖を酵母によって発酵させることで作られますが、「雄町」を代表とするいくつかの品種は酒造りへの適性が高かったため、酒造り専用米として作られるようになっていきました。
 酒造好適米と食用の米の大きな違いは、粒の大きさと米の中心の「心白」の大きさです。米の表層部分に含まれるタンパク質やビタミン等は、日本酒の製造において、多すぎると雑味の元になるので、美味しい日本酒を造るためには表層部分を削る必要があるとされます。酒造好適米は、削りやすくするため粒が大きくなるように品種改良されてきました。また、米の中心の白くて不透明な部分「心白」はでんぷん質が多く含まれ、組織のすき間が多い部分です。酒造好適米は炊いて食べるとパサつきを感じますが、酒造りでは麹菌の菌糸が入り込みやすく、繁殖がしやすいメリットがあります。「心白」はタンパク質の含有量が少ないので、「心白」だけを削り出して造った日本酒は雑味の少ない味わいになります。
 普段私たちが食べている米の精米歩合は90%ですが、本醸造酒は70%以下、吟醸酒は60%以下、大吟醸酒は50%以下と定義されています。より多く精米した白米を低温でゆっくり発酵させることで、特有の芳香(吟香)を有するようになりますが、手間やコストがかかるため、値段も当然高くなるというわけです。なお、近年では酒造りの技術が向上し、あえて磨きを抑えた米で醸すことで、米のうまみを生かした芳醇な味わいを売りにする商品も登場しています。中には、食用と同じ精米歩合90%の商品もあります。
 酒蔵からのニーズが多い品種には、兵庫県で生まれた「酒米の王様」と呼ばれる「山田錦」と、新潟県で生まれ北陸地方を中心に全国で幅広く栽培されている「五百万石」があります。この2品種で酒造好適米全生産量の約6割を占めます。この他、長野県の「美山錦」、岡山県の「雄町」、本誌「ふるさと探訪」で紹介した広島県の「八反錦」など、全国で107品種(2017年度)が栽培されています。
 美味しい酒造りになくてはならない原料米ですが、その生産量は日本の米の生産量の2〜3%とみられ、さらに酒造好適米となると、食用の米よりも栽培が難しく収量が少ないことなどから1%ほどしかない大変貴重な米なのです。
 全国に酒蔵は約1500軒、お酒の種類は2万種類にも及ぶといわれています。自分好みの日本酒をみつけて、料理とお酒のマリアージュを楽しんでみませんか。

輸出専用ブランド「TOKYO Z1」誕生

農林水産省によると世界的な日本食ブームで、2018年の日本酒の輸出量は26,000klとこの10年で倍増し、日本酒の全出荷量の5%となっています。輸出先は71ヵ国にも及び、日本酒の味わいは世界中の人々から愛され、求められるようになってきています。
JA全農インターナショナル(株)では、小澤酒造(株)、日本酒類販売(株)とともに、輸出専用日本酒ブランド「TOKYO Z1(ゼットワン)」を開発し、今年7月からロンドンで販売を開始しました。これに先立ち2018年9月には、大阪の堂島麦酒醸造所が英国ケンブリッジシャー州に清酒醸造所を開所。JA全農インターナショナル(株)が納入した日本産の酒米を原料として、清酒が造られています。海外で現地生産される清酒への酒米供給を通じて米の輸出拡大にも取組んでいます。

2019.12更新