日本の秋の味覚【柿】

古より栄養補給源としても愛されてきた「柿」。
渋柿、甘柿、品種もいろいろ楽しめます

日本の柿の歴史は古く、縄文や弥生時代の遺跡から柿の種が見つかっています。
奈良時代には日本各地で栽培されるようになりましたが、渋柿だったので熟柿や干し柿にして食べられていました。
鎌倉時代になると渋柿の突然変異で甘柿が誕生し、甘柿は日本原産の果物とされています。
正岡子規の名句「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」が詠まれた日であることにちなみ、10月26日は「柿の日」に。改めて、渋柿と甘柿の違いや特徴、栄養価などを探ってみました。

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 柿は実を食べるだけでなく、皮を漬物に利用したり、ヘタや種は漢方薬に、葉は寿司やお茶に、柿渋は染料として使われるなど、日本人の生活に深く関わってきました。
 みなさんは「柿」といえば渋柿、それとも甘柿、どちらを思い浮かべますか?中国から日本に伝来したといわれる当初の柿は渋柿で、干し柿や熟柿(じゅくし)にして渋を抜いて食べていたと考えられています。平安時代の法典「延喜式」(927年)には柿が栽培されて、干し柿・熟柿を祭礼時の供え物として使っていたことなどが記されています。甘柿は鎌倉時代に突然変異によって偶然生まれたものが始まりで、渋味がなくそのまま食べられる柿は日本固有種とされています。江戸時代にはたくさんの品種が生まれ、現在では1000種以上あるといわれています。
 果樹として栽培される柿は渋みによって「甘柿」と「渋柿」とに分けられます。柿の渋みは果肉に含まれるタンニン(シブオール)によるものです。甘柿は木で熟していく過程でタンニンが水に溶けない不溶性タンニンに変わるので渋味を感じなくなります。甘柿にあるゴマと呼ばれる斑点は、タンニンを含む細胞が黒く固まったもので、甘柿かどうかを見分ける印のひとつです。渋柿はタンニンが水に溶ける状態のまま残っているので、渋みを感じますが、炭酸ガスやアルコールなどを使って渋抜きをすることで甘い柿になります。皮をむいて干すと渋みも抜け、糖度も増して、風味のある「干し柿」に仕上がります。
 農水省の2017年特産果樹生産動態調査によると、甘柿生産量の約60%を占めているのが「富有柿」です。一方の渋柿は「平核無(ひらたねなし)」が約28%、平核無の枝変わりの「刀根早生(とねわせ)」が約27%でこの2品種で55%を占めます。ふるさと探訪で紹介した柿はこの2品種を「おけさ柿」として出荷しています。
 「柿が赤くなれば、医者が青くなる」「柿は二日酔いの妙薬」などの言い伝えが残るほど、柿は栄養価の高い果物として知られています。とくにビタミンCとβカロテンが豊富です。ビタミンCは免疫力を高めて風邪を予防する働きがあり、βカロテンは体内でビタミンAに変化し、粘膜を丈夫にしウイルスなどから体を守るのに役立ちます。食物繊維やカリウムも多く、高血圧の予防にも有効といわれています。また、柿に含まれるタンニンは、アルコールの吸収を妨げるといわれています。昔からの言い伝え、生活の知恵には、このように栄養の根拠があったわけですね。
「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べ、たねなしは舌で食べる」といわれるように、富有柿は果肉が柔らかく、次郎柿は硬め、平核無はねっとり柔らかな食感が特徴です。秋が深まり、さまざまな品種の柿が出回っています。食べ比べて好みの品種を見つけてみるのをおすすめします。
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2020.10更新