
── 家庭菜園に取り組む人が多くなりましたが、最近のトレンドを教えてください。
西辻 コロナ禍において3つの波がありました。まず緊急事態宣言中に一番増えたのは家の中でのインドアファームです。水耕栽培キットやベランダ菜園の需要が大きく伸び、ホームセンターの園芸コーナーでの購入が増えて、通販ではその種などが多く売れました。
緊急事態宣言が解除されたタイミングから一気に伸びたのが貸し農園・体験農園でした。ここでは3密を避けたレジャーとコロナ禍で健康を考えたヘルスケアという観点が考えられました。
最後の波がテレワークとワーケーションです。弊社の農園でもパソコンを打っている人がいましたし、クラインガルテン(滞在型農園)や農家民泊の需要が高まり、ワーケーションが進みました。
一貫して言えることは、野菜の栽培ですからその瞬間で終わるものではなく、ずっと続くということであり、この3つの波が重なって今日、家庭菜園・都市農業ブームがやってきています。
── テレワークの導入により地方への関心が高まっていますが、家庭菜園は食生活や農のある暮らしを見直すきっかけとなりますか?
西辻 もちろんきっかけとなります。でも、実際に行動に移すためにはその地方との人間同士の関係性を構築することが必要条件となります。テレワークなどで通勤に割いていた時間などが省ける分、地域の人と関わり合ってそこで同じ釜の飯を食べ、一緒に農作業をしてみるという入り方をすると、それが行動につながると思います。
── 今後の「自産自消」の輪の広がりへの期待感はいかがでしょうか。
西辻 創業期から目指している社会が、自分で作ったものを自分で食べる、つまり「自産自消ができる社会」です。奇しくもコロナ禍により、多くの人々が現代社会の脆弱性を感じることになり、あらためて自然への理解から始まって農との接点を持ち、自分の健康へとつなげていく社会がやってきて、それが自産自消とシンクロすることになりました。コロナ禍でこの世界のすばらしさに気づいてもらい、農のある暮らしと自分の仕事や家族とのバランスをとることにトライしてもらえると自ずともっとよい社会になるのではないかと思います。
コロナ後の社会経済の変化の方向性と農のあるくらしは親和性が高いことが分かりました。農業や農山漁村地域との関係者人口が増えるよう全農もさまざまなサポートを実践していきます。
プロフィール
西辻 一真(にしつじ かずま)
1982年福井県生まれ。京都大学農学部卒。株式会社マイファーム創業者、代表取締役。2010年農林水産省政策審議委員、2016年総務省「ふるさとづくり大賞」優秀賞受賞。2018年東京農業大学客員教授就任。
株式会社マイファーム https://myfarm.co.jp/


2017年4月からApronWEBサイトを公開し、3年分のバックナンバーや旬のイチ押しメニューが選べるエプロンバイキングなど、本誌にはないWEBならではの情報量や限定企画で楽しんでいただいております。特に「わくわく菜園づくり」は、本誌を参考に初めて挑戦してみた、うまくできた、イラスト付きでわかりやすいなどの投稿が多く寄せられています。そこで、WEBサイト新コンテンツとして「わが家の菜園」を新設します。家庭菜園で奮闘中の様子や生育途中での失敗、こんなの採れた!など、大切に育てている菜園の情報を写真とエピソードを添えてご投稿ください。採用させていただいた投稿は4月から「わが家の菜園」に順次掲載させていただきます。
皆さま自慢の写真をお待ちしております!
Apron WEBマガジン
「わが家の菜園」応募はこちら