野菜や果物は収穫されたあとも、蓄えた糖やビタミンなど栄養分を消費し、呼吸しています。呼吸作用が激しいほど、味や栄養に関係する成分をどんどん消耗し、水分も蒸散させるため、品質や鮮度が劣化してしまいます。ほとんどの野菜は水分が90%前後ありますが、収穫時の水分から5%が失われると、しおれて商品性を失うといわれています。さらに注意が必要なのが「エチレン」です。野菜や果物は植物ホルモンのエチレンの作用で熟成、老化していきます。収穫したあとも呼吸を促進し、老化を早めるだけでなく、周りの野菜にも影響を及ぼしてしまいます。例えば、エチレン生成量の多いメロンと感受性の強い葉物野菜などを一緒にすると劣化が早まります。逆にエチレンの活用法として、リンゴとキウイフルーツを同じポリ袋に入れるとキウイフルーツが追熟することが知られています。
新鮮に保つためには、まず呼吸を抑えることです。野菜の品温を10℃下げると呼吸が1/2~1/4になるといわれ、栄養分の分解や呼吸熱による水分の蒸散、エチレンの生成を抑えることができます。野菜によって保存の最適温度が違うので、家庭の冷蔵庫の中では冷蔵室と野菜室を使い分けたり、じゃがいもやなすなど低温障害のでる野菜は冷暗所で保存するようにしましょう。野菜はポリ袋などに入れて乾燥を防ぐことが保存の基本です。また、カットした野菜は切り口をラップで包んでポリ袋に入れます。
アスパラガスや小松菜など垂直方向に生長する野菜は、寝かせて置くと立ち上がろうとしてエネルギーを消費するので、立てて保存すると日持ちがよくなります。
よく使う野菜の保存方法を一覧にしたので参考にしてください。冷蔵庫に入れたからといって過信は禁物。早めの消費を心がけましょう。その後の使い道を考えて、長く保存したいのであれば、すぐに茹で小分けにして冷凍すれば、使い勝手よく保存もできます。
産地でも、費用は掛かりますが、野菜の呼吸を抑える特殊な袋に入れて出荷するなど、鮮度保持のための努力をしています。どうぞ美味しいまま、たくさん野菜を楽しんでください。

野菜の保管場所の状態などによって鮮度が変化する場合があるので、食べる前によく確認してください。