国産原料(米ぬか)から生まれる【こめ油】

玄米由来の栄養成分を含む「こめ油」を
賢くとり入れましょう!

揚げ物や炒め物、ドレッシングなど、料理に欠かせない植物油。
コロナ禍で家での食事が増える中、いつものサラダ油から、「えごま」や「あまに」、「グレープシード」など素材や栄養成分にこだわった油への関心が高まっています。
植物油のほとんどは海外からの輸入原料で作られますが、こめ油は国産の米ぬかが原料です。
玄米由来の栄養成分や、酸化安定性に優れたこめ油の特長を探ってみました。

 脂質は炭水化物、タンパク質と並ぶエネルギー源。植物油はその大事な供給源です。世界的にみても日本はさまざまな植物油が流通している珍しい国です。たとえば、アメリカでは大豆、カナダは菜種、イタリアやスペインなどではオリーブ、インドネシアやマレーシアなどではパームが生産され、それらの原料から作られる植物油が国内で消費され、輸出もされています。
 日本では、(1)油糧原料を国内で搾油した油と、(2)輸入した油(主として粗油)を精製したものが植物油として流通しています。2019年の植物油(食用)総供給量は278万トンで、菜種油(約38%)、パーム油(約28%)、大豆油(約18%)の3種類で80%以上を占めています。パーム油は全量が輸入、国内で搾油されている植物油もその原料はほぼ輸入に依存しています。米ぬか以外の国産原料は菜種、落花生などがありますが、搾油量はごくわずかです。ちなみにサラダ油は料理などに生で使える油として開発されたもので、原料は様々、油の精製度合いを高め香りやクセをなくしたものです。
 こめ油は玄米を精米したときにでる「米ぬか」(米の外皮と胚芽)からできる油です。玄米の約8~10%が米ぬかで、米ぬかには20%程度の油分が含まれています。この油分を圧搾や抽出してできる貴重な植物油がこめ油です。こめ油にはオレイン酸とリノール酸がバランスよく含まれています。ビタミンEとトコトリエノールや、γ(ガンマ)オリザノールなど玄米由来の抗酸化作用のある栄養成分が含まれているため、油が酸化しにくいという特長があります。また、油の食物繊維といわれる植物ステロールも他の植物油に比べ多く含まれています。
 素材本来の風味を保つので、ポテトチップスや揚げせんべい、即席めんなど加工食品にも広く用いられています。嫌な臭いが少なく、揚げ物への付着物も少なく、油切れがよくカラッと揚がります。冷めても美味しいので、家庭での揚げ物、特にお弁当にはおすすめです。サラサラとした口当たりで使いやすく、風味がよいのでマリネやドレッシングなどにも合います。
 米ぬかはこめ油に使われる他、キノコ栽培の培地や漬物用、家畜の飼料など様々な用途に使われています。米の消費量が減少すると、米ぬかも少なくなってしまいます。国産原料にこだわる学校給食では、こめ油を指定する学校も多く、原料の供給減で価格が上昇するなど影響が出てきています。こめ油の製造過程で副産物として発生するワックス分はインクやろうそく、リップグロスなどに用いられるなど、お米は白米として食べるだけでなく、加工品としても余すことなく利用されています。
 日本の2019年度の食料自給率(供給熱量ベース)は38%です。供給熱量の15%程度を占める油脂類の自給率は3%しかありません。国産原料100%の油はこめ油だけといっても過言ではありません。こめ油の需要は強く、製油メーカーの生産意欲も高いのですが、課題は米ぬかの安定調達です。国内で生産されているこめ油は6万8千トン、輸入されているこめ油が3万3千トンあります。米の消費量が増えて米ぬかの発生量も増え、輸入こめ油が国産に置き換われば、食料自給率の向上にもつながるのではないでしょうか。
 油の摂り過ぎは肥満や生活習慣病などのリスクを高めてしまいますが、油を控え過ぎても疲れやすくなったり、体の抵抗力が落ちたり、肌あれなどが起きやすくなります。ビタミンは脂溶性のものもあるため、食べ物から栄養素を効果的に吸収するためにも油は重要です。質のよい油を賢く選んで食生活を豊かにしましょう。

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エーコープマーク品はJAのプライベートブランドです。「こめ油」はビタミンEが補える栄養機能食品です。

2021.04更新

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