家庭菜園 記事一覧

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ナス

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

比較的育てやすい人気の夏野菜。収穫期間が長いので、水やりと適切な追肥が大事です

 ナスの原産地はインド。高温を好み、蒸し暑い日本の夏でもよく育ちます。植えつけの頃はまだ十分な温度が足りないので、畑にマルチを敷き、あんどん囲いやホットキャップをすると安心です。草丈が20〜30cmになったら、これらを外して本支柱を立てましょう。
 ナスは生育期間が長く次々と実がなるので、様子を見ながらこまめに追肥を行います。株を疲れさせないためにも実は早めに収穫し、乾燥が苦手なので土が乾いたら水やりをしましょう。株の勢いが衰え、実つきが悪くなってきたら、枝を切る「更新剪定」をして株を若返らせ、秋ナスを楽しみましょう。
 連作障害が出るので、同じナス科の野菜は4〜5年空けてから育てましょう。また、共通の害虫を防ぐため、ジャガイモの近くに植えないこともポイントです。

植えつけ

本葉が7~9枚で葉と茎の節間が詰まり、茎が太くて1番花が咲き始めている苗を選びましょう。耐病性のある接ぎ木苗なら、連作障害にも強く安心です。苗は十分に水やりを行い、根鉢を崩さないように取り出し、根鉢の上面が地面と同じ高さになるように注意して、植え穴に植えつけます。

4本の支柱を立てて肥料袋などをかぶせる「あんどん」囲いや「ホットキャップ」をかぶせておくと、保温効果が高まります。草丈が20~30cmになったら外しましょう。

芽かき

1番花の実(1番果)が大きくなり始めたら、1番果より下の勢いの良いわき芽2本を残し、それより下のわき芽はすべて取り除きます。

支柱立て

主枝に長さ1mほどの支柱を立て、2本の側枝も伸びてきたら枝に沿って支柱を立てて3本仕立てにします。

追肥・水やり

1番果の収穫が始まった頃から、化成肥料(8-8-8なら40g、14-14-14なら20g程度)を施用します。2週間に1回程度が目安で、枝の伸び方や果実の肥大の仕方を観察しながら加減してください。土が乾いていたら追肥の後に水やりすると、肥料の効きが速くなります。

収穫

株に負担をかけないように1~2番果はやや早く小さいうちに収穫します。3番果以降も取り遅れないよう、適期に収穫しましょう。

更新剪定

7月下旬頃になると株の勢いが衰え、実つきも悪くなってきます。おいしい秋ナスを収穫するために、太い枝を3~4本残し、伸びてきたわき芽や込み入った枝を切り詰める更新剪定をします(株全体を1/2から1/3くらいまで思いきって剪定)。こうすると、新しい枝葉が伸びて約1ヵ月後に再び収穫できます。剪定後は追肥を必ず行いましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間以上前までに、1m2あたり完熟堆肥2kgと苦土石灰100g(前作で石灰類を散布している場合は省略)を散布し、深く耕しておきます。ナスの根は深く張るので、できるだけ深いところまですき込んでください。
ナスの施肥量は他の野菜に比べるとやや多目です。ただし生育の初期に肥料があまり効きすぎると「蔓(つる)ぼけ」といって、茎葉ばかりが繁茂して果実の着果や着色が悪くなる場合があります。これを避けるため、元肥には化成肥料と有機肥料を併用するか、またはCDU化成などの緩効性肥料の利用をお勧めします。化成肥料と有機肥料を併用する場合には、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら100g、14-14-14なら50g)と油かす(5-2-1など)100gを併用し、緩効性肥料を利用する場合にはCDU555(15-15-15)100gを、植えつけの1週間前までに散布して、土に混ぜ込んでください。


●ナスの栽培スケジュール

(プランターでも畑でも栽培できます)

スケジュール
※地域や品種によって多少の違いがあります。
※遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。

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野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ミニトマト

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

ベランダ菜園で人気の夏野菜。病害に強い接ぎ木苗を植えつけましょう。

 ミニトマトは味が濃く甘みの強い品種が多く、色や形もさまざま。強い光を好み、多湿を嫌うので、日当たりの良い場所に置いて管理しましょう。生育適温は20~30℃、たねから育てられますが育苗日数が2ヵ月程度かかるため、購入苗を植えつけるのがおすすめ。病害に強い「接ぎ木苗」を選ぶと初心者でも安心して育てられます。
 主枝が成長してくると本葉のつけ根からわき芽が出てきます。わき芽を放置すると栄養が分散してしまうので、主枝1本に栄養を集中させるためにわき芽はかき取ります。実つきが良くなり、風通しも良くなって病害虫が発生しにくくなります。かき取ったわき芽は捨てずに育苗ポットなどに差しておくと根づいて成長しますよ。連作障害があるので、次の植えつけは新しい培養土を使用してください。

苗の準備

本葉が7~8枚で第1花房の花が蕾から咲き始めたくらい、茎は真っすぐで葉の緑色の濃いものを選びましょう。

植えつけ

苗をポットごと水につけ、根鉢にたっぷり水を含ませておきます。根鉢を崩さないように取り出し、深植えをしないように根鉢と土の上面が同じ高さになるように植えつけます。底から水が流れ出すまで水をたっぷり与えます。寒さが残るうちは、ホットキャップやビニール等で風よけをしましょう。

支柱立て

本葉が10枚位になったら、長さ2m前後、直径1cm程度の支柱をそれぞれの株の脇にしっかり差し込みます。
茎を誘引して麻ヒモなどで支柱に結わえます。成長に合わせて茎が倒れないように結んで支えましょう。

わき芽かき

トマトは主枝1本仕立てが基本です。主枝の成長に伴って本葉のつけ根からわき芽が出てきます。このわき芽は5cm位になるまでに、晴れた日にこまめに手で摘み取りましょう。風通しが良くなり病害虫がつきにくくなりますが、葉もよく観察して被害にあったらすぐに取り除きましょう。

追肥

第1果房の収穫が終わった頃に、1株あたり化成肥料(8-8-8なら3g=スプーン1杯程度、14-14-14なら1.5g=スプーン半分程度)を株元に撒きます。その後は次の段の収穫が終わるごとに同程度を基本に、生育を観察しながら加減して施用してください。

水やり・摘芯

水やりは、実がなるまでは土が乾燥したら底から水が流れ出すまでたっぷり与えます。実が大きくなり色づいてきたらやや乾き気味程度で水やりしてください。主枝が支柱の先端まで伸びたら、1番上の花房から葉2~3枚上の部分を摘芯します。

収穫

開花から50日程度、ヘタの回りまでしっかり色づいてきたら収穫適期です。1個ずつハサミを使って収穫しましょう。

●ミニトマトの栽培スケジュール(コンテナ栽培)

スケジュール

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野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

スイカ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

高温と強い日差しを好みます。水はけの良い場所を選び、人工授粉をして育てましょう。

 スイカは極端に連作を嫌うので、土壌病害に強い接ぎ木苗を購入し、4〜5年はウリ科の野菜を栽培していない場所を選びましょう。アフリカのカラハリ砂漠原産なので、畑にポリマルチを張って地温が十分に上がってから植えつけます。ホットキャップなどで保温すると、遅霜の心配もなく成長がスムーズです。
 蔓(つる)ぼけ防止のために、元肥は控えめにし、追肥で生育を調節します。また、雌花が咲いたら人工授粉をして確実に着果させるのも、蔓ぼけを防ぐことになります。受粉後40日前後(大玉)が収穫の目安なので、ラベルに受粉日を書いておくと便利です。栽培時期が高温多湿なので、風通しを良くしてべと病やうどんこ病、アブラムシなど病害虫の発生に注意し、被害にあった葉は早めに摘み取って処分し、広がるのを防ぎましょう。

植えつけ

本葉4~5枚で茎が太く、しっかり根の張った接ぎ木苗を選びましょう。植え穴を掘り、根鉢を崩さないように浅めに植えつけます。土を戻し、株元を押さえて植えつけた後、たっぷりと水やりをします。
ポリマルチを張り、ホットキャップを被せて換気の穴を開けます。暖かくなったら外しましょう。

摘芯・整枝

親蔓が伸びて本葉5~7枚(節)以上になったら、先を摘芯します。わき芽の子蔓が30cmくらい伸びたら、生育の良い子蔓3~4本を残し、残りの子蔓は摘み取ります。蔓は絡まないように伸ばしましょう。

人工授粉

受粉は午前中(開花から1~2時間以内がベスト)に行います。雄花を摘んで、18節目以降(24節目ぐらいまで)の雌花に受粉させます。受粉日をラベルなどに書いて収穫の目安にしましょう。

摘果

1蔓に1果を基本に形の悪いものなどを摘果します。大きなスイカを収穫するため、実のついていない遊び蔓を1本残すと良いでしょう。

追肥

果実が鶏卵大になった頃に、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら100g、14-14-14なら50g)を、蔓の間にパラパラと撒いて、土となじむように軽く水やりしてください。果実が肥大する時にカリウムをたくさん吸収するので、追肥には速効性のカリウムを含む化学肥料が適しています。

玉直し

実が大きくなってきたら、果実の下に泥はねを防ぐための藁などを敷きます。色むらがなく形の良いおいしいスイカにするため、2週間に1度、果実の位置を変える「玉直し」をしましょう。

収穫

大玉スイカは受粉後40日前後、積算温度900~1000℃になると食べ頃といわれています。受粉日のタグを参考に、実がついている節の巻きヒゲが根元まで枯れていることなどを目安に適期を見極めて収穫しましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間以上前に、1m2あたり完熟堆肥2kg、苦土石灰100g(前作で施用していれば不要)を散布し、深く耕しておきます。元肥は植えつけの1週間前に、1m2あたり油かす(5-2-2など)または有機配合肥料(6-6-6など)200gを散布し、土に混ぜ込みます。元肥にはゆっくりと効く油かすのような有機肥料、または有機肥料をブレンドした有機配合肥料が適しています。これらが入手できない場合は、化成肥料(8-8-8なら100g、14-14-14なら50g)で代用してもOKです。生育初期に肥料が効きすぎると、蔓ばかりが伸びて雌花がつきにくくなるので、元肥は多すぎないように注意してください。


●スイカの栽培スケジュール

スケジュール

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