比較的育てやすい人気の夏野菜。収穫期間が長いので、水やりと適切な追肥が大事です
ナスの原産地はインド。高温を好み、蒸し暑い日本の夏でもよく育ちます。植えつけの頃はまだ十分な温度が足りないので、畑にマルチを敷き、あんどん囲いやホットキャップをすると安心です。草丈が20〜30cmになったら、これらを外して本支柱を立てましょう。
ナスは生育期間が長く次々と実がなるので、様子を見ながらこまめに追肥を行います。株を疲れさせないためにも実は早めに収穫し、乾燥が苦手なので土が乾いたら水やりをしましょう。株の勢いが衰え、実つきが悪くなってきたら、枝を切る「更新剪定」をして株を若返らせ、秋ナスを楽しみましょう。
連作障害が出るので、同じナス科の野菜は4〜5年空けてから育てましょう。また、共通の害虫を防ぐため、ジャガイモの近くに植えないこともポイントです。
植えつけ
本葉が7~9枚で葉と茎の節間が詰まり、茎が太くて1番花が咲き始めている苗を選びましょう。耐病性のある接ぎ木苗なら、連作障害にも強く安心です。苗は十分に水やりを行い、根鉢を崩さないように取り出し、根鉢の上面が地面と同じ高さになるように注意して、植え穴に植えつけます。

4本の支柱を立てて肥料袋などをかぶせる「あんどん」囲いや「ホットキャップ」をかぶせておくと、保温効果が高まります。草丈が20~30cmになったら外しましょう。

芽かき
1番花の実(1番果)が大きくなり始めたら、1番果より下の勢いの良いわき芽2本を残し、それより下のわき芽はすべて取り除きます。

支柱立て
主枝に長さ1mほどの支柱を立て、2本の側枝も伸びてきたら枝に沿って支柱を立てて3本仕立てにします。

追肥・水やり
1番果の収穫が始まった頃から、化成肥料(8-8-8なら40g、14-14-14なら20g程度)を施用します。2週間に1回程度が目安で、枝の伸び方や果実の肥大の仕方を観察しながら加減してください。土が乾いていたら追肥の後に水やりすると、肥料の効きが速くなります。

収穫
株に負担をかけないように1~2番果はやや早く小さいうちに収穫します。3番果以降も取り遅れないよう、適期に収穫しましょう。

更新剪定
7月下旬頃になると株の勢いが衰え、実つきも悪くなってきます。おいしい秋ナスを収穫するために、太い枝を3~4本残し、伸びてきたわき芽や込み入った枝を切り詰める更新剪定をします(株全体を1/2から1/3くらいまで思いきって剪定)。こうすると、新しい枝葉が伸びて約1ヵ月後に再び収穫できます。剪定後は追肥を必ず行いましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス
指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)
植えつけの2週間以上前までに、1m2あたり完熟堆肥2kgと苦土石灰100g(前作で石灰類を散布している場合は省略)を散布し、深く耕しておきます。ナスの根は深く張るので、できるだけ深いところまですき込んでください。
ナスの施肥量は他の野菜に比べるとやや多目です。ただし生育の初期に肥料があまり効きすぎると「蔓(つる)ぼけ」といって、茎葉ばかりが繁茂して果実の着果や着色が悪くなる場合があります。これを避けるため、元肥には化成肥料と有機肥料を併用するか、またはCDU化成などの緩効性肥料の利用をお勧めします。化成肥料と有機肥料を併用する場合には、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら100g、14-14-14なら50g)と油かす(5-2-1など)100gを併用し、緩効性肥料を利用する場合にはCDU555(15-15-15)100gを、植えつけの1週間前までに散布して、土に混ぜ込んでください。
●ナスの栽培スケジュール
(プランターでも畑でも栽培できます)

※遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。