生育適温は20~30℃で、温暖な気候と日当たりのよい場所を好みます。トウモロコシは雄花の花粉が風にのって雌花にかかることで受粉する「風媒花」で、同じ株の花粉よりも他の株の花粉の方が受精しやすい「他家受粉植物」です。そのため1列よりも2列以上で植える方が受粉の確率が高まり、粒ぞろいがよくなります。確実に受粉させるためには人工授粉がおすすめです。また、違う品種が近くにあると交雑しやすいので、品種は同じものを揃えるようにしましょう。
草丈が高くなるわりに根の張り方が浅いので、土寄せをして風で倒れないようにします。実が甘くなってくると害虫やハト、カラスなどにも狙われやすくなるので、実にネットをかぶせるなどの対策を工夫するとよいでしょう。
連作障害が出にくいので、輪作のローテーションに入れやすいとても重宝する作物です。
畑にマルチを張り、深さ3cm程のまき穴を作り1ヵ所2~3粒の点まき。土をかぶせて手のひらで軽くおさえてたねと土をなじませ、たっぷり水やりしましょう。ポリポットにたねをまいて暖かい場所で育苗してから畑に植えつけてもOK。
鳥に食べられないように不織布をべたがけにするか、寒冷紗をトンネル状にかけて予防します。
7~10日で発芽します。本葉3~4枚になったら生育のよい1株を残して、他の株は根元からハサミで切り取ります。
ポット育苗の場合も間引いて1本立ちにした苗を植えつけます。
間引きが終わり、雄穂が出る前(たねまきから約45日後)に、化成肥料(8-8-8)50g/m2を施用し、株元に土寄せします。収穫前に台風に襲われることがあります。風が吹いても倒れないように、しっかりと土寄せしてください。
先端の雄穂(雄花)から花粉が出ているか確かめて切り取り、違う株の雌穂(雌花)の絹糸にふりかけてやりましょう。雄穂を切り取ることで、害虫被害を減らすことができます。
1株あたり2~3個の雌穂がつきますが、実の入りをよくするために一番上の雌穂に絹糸がでてきたら、それ以外はかきとります。かきとった雌穂はヤングコーンとして楽しめます。
絹糸(雌しべ)が出てから20~25日頃が目安です。絹糸が茶褐色になり、皮の上から手で触ってみて張りがあり、先端まで膨らみがあるようなら収穫適期です。
鮮度が落ちるのが早いので、収穫後すぐに調理しましょう。
●土づくりワンポイントアドバイス
指導:岡本 保(JA全農
肥料研究室技術主管)
土壌への適応性は広く、あまり土を選びませんが、水はけの悪い過湿な土は嫌います。またトウモロコシは根を深く張らせてしっかりした株を作ることで、雌穂の先端まで実が入った良質な実が得られます。このためには、排水性がよく作土の深い土づくりが肝心です。たねまきの2週間以上前に完熟堆肥2kg/m2を散布して、可能な限り深く耕しておきます。また、前作で石灰類を施用していない場合は、堆肥と同時に苦土石灰100g/m2も散布します。
元肥はたねまきの1週間前に、化成肥料(8-8-8)150g/m2を散布し、できるだけ深く土に混ぜ込みます。
●トウモロコシの栽培スケジュール
(ベランダでも畑でも栽培できます)