April

トマト

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

家庭菜園を代表する人気の夏野菜ですが、高温多湿の日本の夏は苦手です。特に雨にあたると病気などのトラブルが発生しがちです。
雨よけ資材などを利用すると、失敗が少なく糖度もアップしますよ。

 トマトは高原地帯原産で、日当たり、水はけがよく、多少乾燥した畑を好み、昼夜の温度差の大きい条件でよく生育します。マルチを張ると気温が低い時期でも初期生育が促され、雨水が浸み込まないうえ、雑草の心配も少なくなります。
 仕立て方はいくつかありますが、葉のつけ根から出てくるわき芽をすべて摘んで、主枝の生長を促す「主枝1本仕立て」が基本です。大玉からミニトマトまで対応可能で、養分が主枝に集中するので品質のよいトマトをたくさん収穫できます。第1果房に確実に実をつけさせるため、花を軽く揺すったりしてやるとよいでしょう。
 また、株が倒れないようにしっかりした支柱が必要です。2条植えで4株以上育てる場合は丈夫な合掌式支柱がおすすめです。初心者は中玉系の品種を選び、1条植えで4~6株程度なら直立支柱にすると育てやすいです。

苗の準備

双葉がしっかり残っている、茎は真っ直ぐで太く、節と節の間が詰まっている、葉はきれいに開き厚みがある、病害虫の被害がない、第1花房の花芽がついているか花が咲いているもの、などをポイントに苗を選びましょう。連作障害や病害虫が心配なら接ぎ木苗を選びます。

植えつけ

事前に苗をポットごと水につけ、根鉢にたっぷり水を含ませておきます。根鉢を崩さないように取り出し、深植えをしないように根鉢と畑の上面が同じ高さになるように植えつけます。水をたっぷり与えた後、仮支柱を立てて麻ヒモなどで結んで固定します。
霜の心配がなくなってから植えつけます。防風、防寒対策としてトンネルがけをしてやってもいいでしょう。

支柱立て

本葉が10枚ぐらいになったら本支柱を立てます。合掌式ではなく垂直に支柱を立てる直立支柱の場合は、長さ2m前後、直径2cm程度の太めの支柱を用意し、苗の脇にしっかり支柱を押し込みます。

誘引・わき芽かき

【誘引】茎が倒れてこないように、麻ヒモなどで支柱に結わえていきます。ズレないようにしっかり結び、1週間に1回くらい確認して必要に応じて結び直しましょう。
【わき芽かき】わき芽が3~4cmくらいに伸びたら、晴れた日の日中に随時手で折り取り、主枝の生長を促します。

雨よけ

市販の雨よけ資材を購入して設置すると、病気を防げ、実の裂果の心配もなくなります。

追肥

追肥は1段果房がピンポン玉程度の大きさになった頃から、1m2あたりNK化成(16-0-16)20g程度を施用します。2週間に1回程度が目安ですが、茎の太さや葉の大きさ、果実の肥大のしかたなどを観察しながら、こまめに加減してください。

摘芯

主枝が支柱の先端まで伸びたら、一番上の花房から葉2~3枚をつけて摘芯します。余計な花や実に養分がとられず充実した実ができます。

収穫

実が十分に色づき完熟したものからハサミでヘタの部分を切り取ります。

●土づくりワンポイントアドバイス
指導:岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)
植えつけの2週間以上前までに、1m2あたり完熟堆肥2kgと苦土石灰100gを散布し、深く耕してください。トマトの根は深く張るので、スコップ等を用いて丁寧に耕し、堆肥と苦土石灰を、出来るだけ深いところまですき込んでください。
トマトは肥料を比較的多く必要とする作物ですが、生育の初期に肥料があまり効きすぎると、茎葉ばかりが繁茂して、花が咲いても実がならないことや果形が悪くなることがあります。これを避けるため、元肥には効き目が穏やかな油かすなどの有機肥料と、効き目が速い化成肥料とを併用することをお勧めします。例えば有機肥料として油かす(5:2:1)を利用する場合は、1m2あたり化成肥料(8-8-8)と油かす各100gを、植えつけの1週間前までに散布して、土に混ぜ込んでください。

●トマトの栽培スケジュール(ベランダでも畑でも栽培できます)
トマトの栽培スケジュール

2021.04更新

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