
たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンの五大栄養素が豊富に含まれている牛乳。
母牛から搾った乳(生乳)を加熱殺菌しただけの自然のままの食品です。
酪農家は朝晩の搾乳や牛の世話に加え、良質な牧草や飼料用トウモロコシも育てており、牛が快適に過ごせるように一年中休まず働いています。
関東地区で販売する「農協牛乳」の主産地である群馬県吾妻地域で、一頭一頭に寄り添いながら酪農経営を行う関牧場を訪ねました。
自家育成で子牛から健康に


群馬県北西部、新潟県や長野県と接する吾妻郡中之条町。町の8割を森林が占め、西に草津白根(しらね)山、南に榛名(はるな)山を望む地で、関牧場は約75年前から酪農を営んできました。2020年に3代目の関千鶴さんが経営を引き継ぎ、約1ヘクタールの敷地に母牛45頭と、育成牛(成長途中の牛)21頭を飼育しています。
「私は4人兄弟の3番目で、牧場は兄が継ぐものと思い旅行会社に就職したのですが、兄が家を出てしまい両親から継がないかと打診され、悩んだ末に就農を決意しました」と千鶴さん。就農当初は作業をこなすのに精一杯でしたが、牛に話しかけたり触れたりして観察していくうちに日々の変化に気付くように。毛艶や目つきの観察、耳が冷たいときはカルシウム不足を疑うなど、一頭一頭としっかりコミュニケーションを取り、体調不良などのシグナルを見落とさないようにしています。
関牧場では、全頭を牧場内で種付けから出産、育成まで一貫して行う自家育成で管理しています。
「乳量を出せる健康な牛に育てるためには、子牛の頃からたくさんエサを食べられる体づくりが重要です」と、千鶴さん。生後1カ月半で離乳させる牧場もある中、胃を発達させるために哺育期間は倍の3カ月。その後、12〜14月齢で人工授精をし、22〜24月齢で出産、乳牛となります。
産まれた時の体重は40kgほどですが、成牛になると約600kgにもなります。エサは1日に牧草約10kg、デントコーン(飼料用トウモロコシ)約20kg、さらにたんぱく質や脂肪などを補給する濃厚飼料が約10~12kgにも及びます。毎日約30~35Lの乳を出しますが、暑さに弱いので夏場は乳量や乳脂肪分が減ってしまいます。
「近年は猛暑が続くので、牛舎の屋根に遮熱塗料を塗ったり、搾乳場所にソーカーと呼ばれる高温時に自動噴射するシャワーを設置したりと、暑さ対策はさまざま手を尽くしています」と、千鶴さん。




堆肥と牧草生産、地域連携で循環型酪農
自家育成だけでなく、エサづくりや糞尿処理も自分たちで行うのが関牧場のこだわり。隣接する自家用の田んぼは40アール、牧場から車で10分ほどの場所にある牧草地とデントコーン畑で24ヘクタールあり、農地は町で有数の広さを誇ります。
デントコーンは断裁・密封した後、約3カ月寝かせることで乳酸発酵し、サイレージという長期保存ができるエサになります。
「普段は両親や夫と4人で飼養管理と農作業をしていますが、夏は人を雇ってデントコーンの収穫作業を一気に進めます。牧草は多年生なので、背丈が腰くらいまで伸びたら定期的に刈り取って牧草ロールに。いつも朝から晩までやることがあって大忙しです」と話す千鶴さんですが、牛の世話をする姿は楽しそうです。
糞尿は堆肥化し農地の土づくりに活用するほか、近隣の農家に還元しています。牛舎に敷いている敷料は、町の製材施設からおがくず、近隣の農家からもみ殻を提供してもらい、藁などと合わせたもの。地域で連携体制を築き、循環型酪農を実践しています。
「肥料価格が高騰しているので、良い堆肥を作って地力を底上げする試みにも挑戦していきたいですね」と、千鶴さん。さらに「これからも牛たちと向き合い、地域に根づいた役割を果たしていきたい」と力強く話してくれました。

牛乳は、糖質とたんぱく質をバランス良く摂取できるので体温調節がスムーズに行えるようになり、熱中症予防にも役立ちます。サイダーで割ると、ミルクのうま味に爽快感がプラスされ、スッキリした後味になります。千鶴さんのおすすめは、牛乳、冷凍ブルーベリー、はちみつを混ぜたシェイク。また、牛乳、ヨーグルト、冷凍いちごを入れてラッシーにするのもおいしいそうです。母牛の恵みに感謝しながら、自家製カフェドリンクで涼やかなティータイムを楽しむのはいかがですか。
(2025年10月中旬取材)

●関牧場
【牛乳】生産概要
飼養頭数:66頭
出荷乳量:430t
主な出荷先:JAあがつま