
弥生時代から栽培が始まったとされ、煮豆だけでなく、豆腐、納豆、みそ、しょうゆなど、さまざまな加工品にもなる大豆。
湿気に弱く、梅雨のある日本では収穫量が安定しないため、食用大豆の自給率はわずか24%にとどまっています。
国を挙げて国産大豆の増産に取り組む中、収穫量アップが見込める新品種「ふくよかまる」が2017年に福岡県で誕生しました。
栽培に力を入れるJA柳川で、その特長を聞きました。
8年かけて育成された九州の気候に合う新品種

一口に大豆といっても、黄大豆(きだいず)、黒大豆、青大豆、赤大豆などいろいろな種類があります。日本では主に黄大豆を大豆と呼び、煮豆用、豆腐用、納豆用など用途に合わせた品種を栽培しています。
有明海に面した柳川市では古くから干拓が進み、灌漑(かんがい)によって稲作や畑作が行われてきました。大豆の栽培は、1970年代に始まった減反政策をきっかけにスタート。連作障害対策から1年目に大豆と麦、2年目に米と麦の二毛作を行い、「2年4作」のローテーションで生産が行われています。
「大豆は夏に種をまき、晩秋に収穫します。これまで主流品種だった『フクユタカ』は、7月中旬が種まきの適期でしたが、梅雨の長雨によるまき遅れが課題でした。その対策として、7月上旬から種まき可能な新品種『ふくよかまる』を導入し、2023年に管内の全面切り替えが完了しました」と話すのは、JA柳川 営農部農産振興課の木原政嗣係長。
ふくよかまるは、約8年かけて育成され、17年に「ちくしB5号」として品種登録された大豆です。23年に「大豆が大きくふくよかに育ち、幸福を届ける」との思いを込めて「ふくよかまる」の名でブランド化。県内は25年に切り替えが完了し、大分県にも栽培が広がっています。

「大豆栽培は発芽をそろえることが重要です。種まきから2日間は、強い雨が降ると地面が固くなり芽が出ないため、天気予測が大切。でも、3日後以降は逆に水分が必要で、雨が降らないと発芽しても成長が止まってしまいます。近年は異常気象で予測がなかなか難しいです」と話すのは、JA柳川 普通作研究会の山口安雄会長。大豆150アールのほか、米、麦、ナスも栽培しています。大豆は湿気に弱いので、柳川市内の畑には、あらかじめ地下に透水性の排水パイプ(暗渠・あんきょ)が設置されています。このパイプを通じて、土壌の余分な水分がクリーク(堀)へと流れ出ます。以前は暗渠の蓋を常時開放し、積極的に排水していました。しかし、近年は猛暑による干ばつ対策で、種まき後に暗渠の蓋を閉じています。土壌水分が保持されると生育中に水分を得られ、大豆の実がぷっくりと大粒になります。
カラカラの茎が目安 コンバインで一気に収穫


11月の大豆畑は莢も茎も茶色一色。葉が落ちてから数日後を目安にJAの職員が畑をチェックし、茎が折れるくらいカラカラになったら、グループごとに専用のコンバインを使って一斉に収穫を始めます。
「ふくよかまるは、茎の一番下に付く莢の位置(最下着莢高・さいかちゃっきょうこう)が地面から高く、収穫しやすくなりました」と山口会長。さらにコンバインのスピードを少し落とすなどして刈り残しが出ないように注意します。1日約2ヘクタール刈り取って4〜5tを収穫し、JAのカントリーエレベーター(穀物の乾燥調製貯蔵施設)に出荷します。

カントリーエレベーターでは、まざり込んだ莢や枝を取り、数日間乾燥させます。
「乾燥機を使うと豆に熱がこもるので、冷風を当てながら少しずつ乾燥させます」とJA柳川の木原係長。その後、形や色、大きさを各選別機で分け、袋詰めして出荷します。12月のピーク時は1日150tに上ります。
「国産大豆のニーズは高いので、地域一丸となり栽培方法を研究して、大粒比率7割、10アール当たりの平均収量270kgを目指したいです」と、山口会長は今後の目標を話してくれました。

ふくよかまるは、生産量の半分は豆腐や油揚げに、残りは豆乳などに加工されます。たんぱく質含有量が高くて甘味もあり、豆腐や豆乳にすると風味の良さが際立ちます。大豆はごはんと一緒に食べると互いの栄養の不足分を補い合い、たんぱく質の利用効率が高まるのでおすすめです。国産大豆を使った豆腐や豆乳、納豆などを選んで、おいしくバランスの良い食生活を送りたいですね。
(2025年11月中旬取材)

●JA柳川
【ふくよかまる】生産概要(2024年実績)
生産者数:775人
栽培面積:1353ヘクタール
出荷量:2417t
主な出荷先:全国
