何もなくても、たまごさえあればなんとかなると、日々大活躍してくれるたまごを常備している家庭は多いと思います。たまごは尖った方(鋭端)を下にパックされていますが、その理由は丸い方(鈍端)よりも尖った方が、強度があるためです。また、丸い方には空気の部屋(気室)があり、それを下にすると気室が卵内を移動して品質劣化が早まることも。たまごは購入したら尖った方を下にして、冷蔵庫で10℃以下で保存しましょう。冷蔵庫のドアポケットは開閉による衝撃や温度変化が起きやすいのでおすすめできません。
たまごは食卓に黄色い彩りを添えてくれます。さまざまな食材と相性がよく、組み合わせ次第で立派なごちそうになります。苦味・渋み・辛み・酸味などをまろやかにする味の緩衝作用や、主成分のタンパク質は熱を加えると固まる熱凝固性があり、卵焼きや茶碗蒸し、卵豆腐、プリンなどが楽しめます。また、卵白は混ぜると泡立ちがよく、均一で消えにくい泡を作ることができる性質があるため、スポンジケーキやマカロン、マシュマロなど様々なお菓子作りにも生かされています。卵黄が持つ水と油をつなぎ合わせる乳化性を利用して、マヨネーズやアイスクリームなども作られています。
栄養面では、私たちが体内で作ることができない9種類の必須アミノ酸をすべて含み、その必須アミノ酸すべてが必要量を満たし、「アミノ酸スコア100」(※1)と評価される質のよいタンパク質を含んでいます。卵白はほとんどがタンパク質で、その他の栄養素は卵黄に含まれています。食物繊維とビタミンC以外は、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど多くの栄養素を含んでいるため「完全栄養食品」とも呼ばれています。高齢者は「フレイル予防」(※2)のため、筋肉の材料となるタンパク質をしっかり摂取して、筋肉量を保つのが大切です。たまごの良質なタンパク質をとり、健康寿命を延ばしましょう。かつてはコレステロールを気にしてたまごを控える方もいましたが、その後の研究で、たまごの摂取量とコレステロール値や心筋梗塞のリスクとの因果関係はないことが確認されています(※3)。
他にも赤ちゃんの脳の形成や記憶力、学習能力を高め、高齢者の認知機能に効果が期待される「コリン」、免疫力を高める働きのある「シアル酸」、骨の形成をサポートする「ビタミンD」、貧血を予防する「葉酸」「鉄分」、二日酔いに効く「メチオニン」、髪の成長を促し頭皮の健康にも役立つ「ビオチン」、強い抗酸化作用で肌荒れ防止や血行をよくする「ビタミンE」など、体にうれしい栄養素がいっぱいです。
たまごの食料自給率は97%(カロリーベース、2020年)で、安全性の高さが認められて香港などアジア圏への輸出も伸びています。私たちの健康と食生活をしっかりサポートしてくれる「たまご」を、毎日の食卓にとり入れ健康な体づくりを目指しましょう。
※1 アミノ酸スコア(特定保健指導の実践的指導実施者育成プログラム参照/厚生労働省)
※2 「Frailty(虚弱)」の日本語訳で、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと。
※3 例外的に高LDLコレステロール血症の方などコレステロール吸収や合成能力が高い場合もあるため、たまごの適量については主治医とご相談下さい。
どんな食材とも相性抜群【たまご】
たまごは今日も食卓を彩り
元気なからだづくりをサポートします
日本は年間1人当たり340個のたまごを消費する、世界第2位の消費国です(1位はメキシコの380個。2020年)。その理由の1つに、日本の生食文化があります。海外では原則、たまごは加熱して食べるものですが、日本では当たり前のように生食することができます。というのも、日本ではたまごは生食を前提とした厳しい衛生管理のもと生産され、賞味期限の表示制度も浸透しているから。だから、「たまごかけごはん」や「すき焼き」などで安心して生たまごを楽しむことができるのです。
今回は私たちの食生活に欠かせない、愛すべき「たまご」の魅力について紹介します。
2022.02更新