S-GAPで未来まで安全安心なトマトを
関東平野の中央部に位置する北川辺地区は、利根川と渡良瀬川に囲まれた肥沃な土壌で、埼玉県内約4割のシェアを誇るトマト産地です。
「”木甘坊”は、JAほくさい北川辺とまと研究会が生産するトマトで、2003年にネーミングを募集して、地域の児童からの応募をもとに”木で甘く熟したトマト”をイメージして名づけられました」とJAほくさい営農渉外担当の須賀大輔さん。
「10月上旬に苗を植えつけ、12月中旬から7月上旬まで出荷が続きます。ハウスでの促成栽培で、最盛期は4~6月。最盛期には1日7000ケース(1ケース4キロ)を出荷します」
光センサーによる選果機で大きさ、形を計測して選別され、一つひとつの玉の情報がトレースできるようになっています。センサーで選別された後、さらに人の目でチェックして箱詰め。
「出荷するときはまだ色は浅いです。割れや傷みが出ないよう、消費者の方のお手元に届く頃にちょうど赤く熟すタイミングで収穫し、出荷しています」と、須賀さんは説明してくれました。
細かな手入れと研究の積み重ね
「今、メインで栽培しているのは”麗容(れいよう)”という品種です。形が丸くて美しく、酸味がほどよく甘みとコクがあります。その他にもいくつかの品種を栽培して、毎年、どの品種が良いかを研究しています」と話すJAほくさい北川辺とまと研究会の会長、山中克己さん。15アールのハウスでトマトを栽培する経験45年以上のベテラン生産者です。
ハウスで温度、湿度を管理するといっても、天候ひとつで全く変わってきます。樹勢や枝、葉の具合を見て、一株ごとにそのタイミングに適した調整が必要で、いかに手を入れるかが重要なのだとか。
「樹に勢いをつけたいときは、葉を多くして光合成を活発に、実に養分を取られないよう花を摘み取ったり、実の数を調整します。基本は1段に4玉になるよう摘果して、上に枝を伸ばしていき、多ければ15段くらいまでになります」と、山中さん。
受粉はマルハナバチが働きます。蜂を使うと種が入ってゼリー状の部分が多くなり、形もきれいに丸くなり、旨みも増すとのこと。
「咲き終わった花が実についたままだとカビの原因になるので取り除きます。実がなると、玉に光があたるよう葉を取っていく。ただ、そこで取り過ぎれば樹勢が弱くなってしまいます」。他にも、結露しないようファンで風を通し、一方で乾き過ぎないように水やりの量やタイミングを見計らったりと、時期や日ごとに管理が違ってくるので「長年やっていても常に勉強が必要」と山中さん。毎月、研究会を開いて情報を交換し合い、互いの畑を視察して検討するなど、北川辺とまと研究会は一丸となって「木甘坊」の品質向上に努めています。
毎年、北川辺地域の数カ所の幼稚園、保育園、小中学校の給食に「木甘坊」を寄贈しており、子どもたちにもすっかりお馴染みです。ひとり1個ずつ、丸ごとガブリ!おいしい!と笑顔でいっぱいになるそうです。
「木甘坊」を見つけたら、ぜひ丸ごとどうぞ。その”素直な”おいしさを感じてみてください。
●JAほくさい「北川辺とまと研究会」
【トマト(木甘坊)】生産概要
生産者:23名
栽培面積:約7ヘクタール
年間出荷量:約1700トン
主な出荷先:東京、青森、県内など